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永平寺はブラック企業!? ――月給3000円、不眠不休の厨房で学んだ「完璧じゃなくてもいい」  作者: 佐藤 堅明


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第2話:山門の「圧迫面接」と、正直すぎる仲間

『一挙三話公開』


今回は、私が永平寺の門を叩いた「修行初日」のお話です。今思い出しても足の感覚がなくなるような、雪の日の出来事でした。

平成十八年三月四日。その年は後に「平成十八年豪雪」と呼ばれるほどの大雪で、永平寺はしんしんと降り積もる深い雪に包まれていました。

 この日が、私の「上山じょうざん」——つまり修行の入社初日でした。


 永平寺の門を叩くには、まず独特の儀式があります。門にある木版を三回打ち鳴らすと、中から古参の和尚さんが現れ、雷のような声で怒鳴るのです。

「貴様ら! 何しにここへ来た!!」


 そこからは、一人ずつの「問答」が始まります。

「修行がしたいです!」「家でやれ!」

「永平寺が好きです!」「好きだからどうした!」

 何を言っても一喝される、凄まじい緊張感です。そんな中、私の隣にいた仲間の答えが今でも忘れられません。


「坐禅がしたいです!」と答えた彼に、和尚さんが「お前はどこの大学だ?」と問いかけました。

「駒澤大学(仏教系の大学)です!」

「なら授業で坐禅はしただろう?」

 畳みかけられ明らかにテンパった彼が、雪の中で放った言葉は……。


「サボってやりませんでした!!」


 ……思わず耳を疑いました。そこは嘘でも「やりました」と言うところだろうに。

 あまりの正直さに、恐ろしい形相をしていた和尚さんも、笑いを堪えるのに必死な様子でボソリ「……正直なやつだな」と。隣にいた私も、吹き出したいのを必死に堪えながら、雪の中で震えていました。


 その後、古参和尚さんは奥へ引っ込み、私たちは門の外で二時間、雪に埋もれながら待たされます。

 極寒の中、じっと耐えながら「あいつ、あんなこと言っちゃって大丈夫かな……」と考えていたあの時間は、今思い出しても不思議な静寂に満ちていました。


 次の話は早くもバキバキのボッコボコに心をへし折られた、ある夜の魂の叫びをお贈りします。


合掌

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

この時、隣で「サボりました!」と言い切った彼とは、その後過酷な修行を共にする大切な戦友となりました。


次回は、門をくぐった後に待っていた「さらに理不尽な洗礼」についてお話しします。

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