3.食品ロス~主にらっきょう~
らっきょうマン一号は、腰に付けた革製のポーチに手を突っ込む。すると、ポーチから出てきた手にはいっぱいにらっきょうの皮が握られていた。
「行きますよ。〈らっきょうの皮スプラッシュ〉!」
手を握り、大量のらっきょうの皮を投げてきた。シュバババッ!かなりのスピードだ。避けるしかない。しかし、数が多すぎる。一番被弾する数が少ないのは・・・。上だ!直感を信じてジャンプする。
「甘いですね」
次の瞬間、らっきょうの皮全ての軌道が一気に上を向いた。すさまじい速度で全身に当たる。予想外の出来事に驚いて着地に失敗し、無様に転んでしまった。
「カッシーナ!大丈夫?」
「大丈夫なはずがないでしょう。私は歴史上最強の〈らっきょうマスター〉なのです。らっきょうの飛ぶ角度、スピード、近くにあるらっきょうの感知。全てが歴代最強。カッシーナ王子、あきらめてくれましたか?」
らっきょうマン一号が言い終わらないうちにカッシーナが起き上がった。
「弾速は速いけど、所詮らっきょうの皮だ。威力が低すぎるよ、全然痛くない。」
「なんですと⁉」
いくら「最強のらっきょうマスター」であっても、その「らっきょうマスター」という職業自体がとても強いとは言えない。つまり、井の中の蛙状態なのである。フッフッフ、ハッハッハ!これでは僕にはかなわない。
ズボンを脱いで、シャッ! パンツを脱いで、シャッ!
「いくぞ!〈おなら砲〉!」
全てのらっきょうの皮が黄色い閃光に飲まれて消滅する。らっきょうマン一号もその光に飲まれて悲鳴を上げる。無理もない。殺人級の悪臭なのだ。下手な拷問より強力。技の持ち主である僕もそう思う。
「グッ・・!まさかここまでの威力とは・・・!」
このまえの鬼と言い、今のらっきょうマン一号と言い、最近は強めの敵とよく出会うな。出力一割に耐えたのはこれで三人目なのだ。
「これでは私も奥の手を見せるしかないですね。我が意思に応えよ!〈らっきょうロボR〉!」
いきなり空から人型ロボットが飛来する。全長五メートルは超えそうだ。そしてそのコックピットにらっきょうマン一号が乗り込む。周りには人だかりができている。恥ずかしい。こんな変なロボットが動くはずがないではないか。ぼくまでらっきょうマン一号の仲間だと思われたくない。
「私は今までいろいろな発明をしてきました。五十個のらっきょうを十秒で成長させるボックス、らっきょうの皮をむいて分解する装置。その全てはらっきょうを動力として動きます。このロボットも例外ではない。らっきょう一層分につき約一時間の連続戦闘が可能なのです」
なんかよく分かんないけど、とにかくすごいことは分かった。では、らっきょうロボのお手並み拝見と行きますか。
「らっきょうパンチ!」
ロボットの右腕がこちらに向かってくる。とっさに避けたが、直径一メートルほどのクレーターができている。とんでもねー威力だ。
「らっきょうキック!」
ロボットの左足がこちらに向かってくる。頑張って避けたが、直径一メートルほどのクレーターができている。やべー威力だ。
気のせいか?パンチとキックの感想文がほぼ同じ構成になっている気がする。作者には文章を作る能力が無いようだ。なんで小説を書いているんだろうね。
「らっきょうの皮スプラッシュ!」
それ、ロボットもできるのかよ⁉相変わらず威力が弱いが、追尾機能、ペチペチとウザい感覚、大量の弾で視界が遮られる。なんかムカつくな。さっさと決着にするか。といっても、ウザい思いをさせられた仕返しだ、簡単には倒さないぞ!
ズボンを脱いで、シャッ! パンツを脱いで、シャッ!
「〈激臭領域〉!」
バチバチッ シュー・・・ ボンッ!
らっきょうロボRがショートした。火花を散らし、煙を吐く。挙句の果てには右肩が爆発。右腕が取れてしまった。
流石、僕の必殺技の一つである〈激臭領域〉だね。
効果はバツグンだ!
ロボットが壊れたので、らっきょマン一号はコックピットから出てきた。
「今回はあなたの勝ちです。ですが明日の午後三時半、駅に来てください。リベンジマッチをお願いします」
意外。もっと負け惜しみっぽいことを吐き散らかすかと思っていた。ちょっと見直したよ。
らっきょうマン一号は「〈らっきょうワープ〉!」叫び、どこかに消えてしまった。
今回はストーリーがたいして進んでいないね★