15.戦闘中~腹痛が痛い~
アクロバティックな素早い動きで殴りかかってくるチャラお。超高速のレイピアで隙をついてくるルサンチマン。素晴らしいコンビネーションだ。
「閃光弾!」
ライプニッツが閃光弾を十個ほど取り出し、地面にばらまく。まばゆい光で、奴らは目がチカチカするはずだ。
「〈ちゃらちゃらアクセサリー〉!」
技名なのかよくわからない掛け声で、チャラおが何かを投げた。ちゃらちゃらとぶら下げていた、金属アクセサリーの数々だ。するとそのアクセサリーは膨張し、金属の反射で閃光弾の光を無効化したのである。
お手製の閃光弾が無駄になって、ライプニッツはとても悔しそうだ。
「ゲへへへへェ!ボクの閃光弾を防ぎきるとはねェ!そう!実験体はそうであってくれ!」
訂正。全く悔しそうではない。
それより、いつのまにか敵に合わせて分担がされている。ルサンチマンは僕とらっきょうマン。チャラおはライプニッツ、ヨシ、ヨリ。本当なら、僕は一人でルサンチマンの相手をしてもいいのだが、らっきょうマンは「相手が奥の手隠し持っている可能性もある。そうした場合、一人では対応しきれない可能性もある。二人で戦った方が安全だ。」と言ってついてきたのだ。
僕と一緒に戦うのなら、完璧なおなら耐性のある、らっきょうマンかライプニッツが適任だ。しかし、ライプニッツはチャラおとの戦いに熱中しているのでらっきょうマンが一番よかった、という訳でらっきょうマンと二人で戦っている。
戦況はこちら側に不利な状態で硬直している。家の真ん前で戦闘しているので、通行人が足を止めて見物しているようだ。ここで、見物人の方から聞こえた、この戦いの感想を紹介してみよう。
・推定六十代 女性「よくできたヒーローショーね。最近のアニメは分からないけど、かなり演出に凝っているわ。あの爆弾なんて、本当に爆発しているみたい。」
・推定二十代 男性「なんか道路でお尻を出しておならをかましている奴がいるんだが。目を合わせてはいけない。絡まれてはいけない。そーと離れるのだ。僕よ・・・。」
・推定七歳 男性「あの技・・・一見らっきょうをまき散らしているだけに見える。だが、スピン、投げる角度、そして、風向きや空気抵抗なども考慮して敵への追尾機能を実現しているようだな。とくに、おならを連発する変態。あの人はまだ、ぼくでは歯が立たない。この世界も、まだまだ楽しませてくれそうだ。」
といった感じだ。そして、まだ形勢逆転はできていない。このままでは負けてしまう。地球は滅ぼされたくない。とても発展しているし、人は優しいし、娯楽がたくさんある。ここで負けるわけにはいかないのだ。
***
しばらく戦っている。このままだとジリ貧だ。しかも、ここで重大な問題が発生したのである。
「・・・腹が痛い」
「王子、大丈夫ですか⁉」
「不味いわね。ヨシ、ヨリ、早く敵を片付けるのよ!」
お腹が痛い。こういう場合、うんちを出せば良くなるとよく聞く。しかし、家の真ん前の道路であるここにトイレは無いし、トイレがあっても戦闘中にブリブリするなんてできるはずがない。
腹痛を我慢しながら戦うことは、思ったより難しい。〈黄金の棒〉、つまりうんちを出してしまえば楽になるだろうが、昨日はカレーを食べていないので使えないのだ。〈黄金の棒〉はあくまでもカレーなのである。
少しずつ確かになっていく、でっかいうんちがお尻の穴を塞いでいる感覚。どんどんおならが出づらくなっていることが、その感覚が間違っていないということを証明している。
「王子、不味いです・・・。このままでは、何とは言いませんが垂れ流しながら戦闘するしか・・・ッ!」
「あと、うんちって直接書くのはどうかと思うよ!あくまでボクの意見だけどね⁉でも、やめていおいた方がいいと思う!」
というわけで次の話は、うんち を う〇ち と書きます。よろしく!
「うんち」と「う〇ち」ってあまり違いがない気がしてきた・・・。