14.ルサンチマンとチャラお~扉の修理がめんどくさい~
ここはUFOの中。ぱおんぱおんおじさんが座布団に座り、ちゃぶ台に向かっている。窓の外からはこれから征服する予定の地球の都市が見下ろせる。
「それにしても、草津の温泉まんじゅうは実に美味しいぱお~ん!」
「ぱおんぱおんおじさんよ、二人はまだ来ないのか?」
「知らないぱお~ん。でも、二人で漫画やゲームを買ったりしている所を昨日見たぱお~ん」
「なるほど。地球の娯楽を楽しんでいるのか。別に構わないが、作戦会議に遅刻するのはやめてくれないかな~」
「僕に言われても困るぱお~ん」
今、ぱおんぱおんおじさんと話していたのは、スーツにカバン、ブーツというめっちゃサラリーマンな恰好だった。カッシーナ達が予想していた、〈宇宙三大皇帝〉の上司である。
しばらく待つと、引き戸が開き、〈宇宙三大皇帝〉残りの二人が入ってきた。
「ああ、遅れたワ★めんごめんゴ★そんな顔しないでヨ~★許してちょんまゲ★」
――〈チャラお〉六十歳。チャラい。「チャラいおじさん」を略して「チャラお」である。
「いいな、いいないいないいなぁあああ。遅刻してない。チャラおにウザ絡みされていないから、ぱおんぱおんおじさんだけ遅刻してない。いいな・・うらやましいな。いいなぁああああ」
――〈ルサンチマン〉常に誰かに嫉妬するか、羨ましがっている。陰キャ。非リア。影が薄すぎて他に特徴がない。
全員が座布団に座ったところで、上司が口を開いた。ぱおんぱおんおじさんたちは草加せんべいを傍らに置いて、しっかり耳を傾けている。しかし、せんべいのバリバリという音が大きすぎるので、あまり聞こえない。
「ということで、カッシーナ一味は思った以上に危険なのだ。ということで、チャラおとルサンチマン。二人で確実に潰してきてくれ」
「了解★これから、そのカッシーナとかいう奴をシバいて来るヨ★ルサンチマン、ついてきナ★」
「いいな、いいな、いいな。僕に指示をだせるなんて、いいなあぁああああぁあ。まあいいや、ついていこう。ありがたく思えよぉ?」
***
僕は今、夕飯の買い物から帰ってきたところだ。一軒家の目の前で、ポケットの中の鍵を取り出している。すると、後ろから知らない声が聞こえた。
「いいなぁああ。新しい家。夢があるなぁ。いいなぁあああ。うらやましいなぁあああああ!」
危険だ。そう判断して、即座に飛びのく。すると、さっきまで僕が経っていた所でレイピアが空振っていた。
「オ?これを避けるのカ★オレ、ルサンチマンのレイピアは結構認めてたんだけどナ★君はそれ以上に認めざるを得ないようダ★」
新手。気配の大きさからして、ぱおんぱおんおじさんと同じ、〈宇宙三大皇帝〉だろう。一気に二人来るなんて、想定していなかった。かなり厳しい戦いになるだろう。
身構えた直後、レイピアのせいで穴の開いた扉から、らっきょうマンたちが応援に出てきた。お家防衛線の始まりだ。
チャラおの独特な喋り方。あの喋り方は失敗したね。最後の文字を毎回カタカナにするのってかなり面倒くさい。