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翌日。

登校2日目にしてベルさんがかなり過保護になりました。まる。

まぁ、わたしってば初日からアレだったし、なんなら王太子(笑)の心をへし折った訳だし、仕方ないかなぁ…。


でもさ。



「流石に恥ずかしいのですが?ベルさん!!」


「しかしだな、昨日の事を考えたら信用出来そうなアーデルハイド侯爵令嬢殿とマクシリア辺境伯嬢殿の2人に任せないと安心できないのだが?」


「あのですね?連絡手段も無く、事前連絡も無しにあの2方に会うのは難しいと思いますよ!?」


「そうかも知れないな、だから早めに来て馬車の停留所で待ってるんじゃないか。」


「過保護にも程がありますぞ、御館様。

あと、これでは最早奥様がブロッサム性を名乗る意味が皆無ですな。」


「うるさいぞシェパード。」


「当然の事を言ったまでですぞ。

せめて私めとカリンにお任せくだされば良いものを。」


「心配なんだ。」


「過保護ですねベルさんっ!!」



これ、なんて羞恥プレイ??

普通に待つどころかベルさんに後ろから抱きしめられてる状態だよ??

皆の視線が痛いよ!

羨望やら嫉妬やらの色々な目が向けられてるのが辛いですっ…!!

もしこれで2人が先に登校してたら遅刻ギリギリダッシュの地獄が始まるんだけど!?


「その時は私も共に走るから問題ない。」


問題しかありませんが!?


早く来てルリアさんとビビアンちゃん!!


と思って居たら知っている紋章が付いた馬車…マクシリア辺境伯家の馬車が止まり、中からルリアさんとビビアンちゃんが降りてきた!


良かったぁぁぁっ!!!

ルリアさん達の方もわたしに気付いたみたいで、こちらに向かって歩いてきた。



「あら…?おはようミーシア!

…と、軍務卿閣下!?ご無沙汰しております!!」


「おおおおはよござます軍務卿閣下!!」


「あら、ルリアさんにビビアンちゃん…会えてよかったです…♪

ベルさん?友達のルリアさんとビビアンちゃんが来たので離してくださる?」


「……仕方ないな。」


「…あの、ミーシア…様は本日は閣下とご一緒ですか?」


「…なぜ急に敬語になるのですか?ルリアさん。

昨日と同じく気軽に話して下さって構いませんよ。」


「いえ、しかし…


「つm…婚約者のシアが良いと言っている。

普段通り接してやってくれ。

そちらのアーデルハイド嬢もな。」


「はっ!承知しました閣下!!」

「は、はひぃ!閣下ぁ!!」


「ではな、シア。

マクシリア嬢とアーデルハイド嬢も、シアを頼む。」


「はい、またお家で。お帰りお待ちしていますね?」


「「ハイ!閣下!!」」



力強く返事をしたルリアさんと情けない声(可愛い)を上げたビビアンちゃんはビシッと直立して右手を握り、左胸に当てる、騎士としての最敬礼をした!!

え、なんで??

っと、ミーシア知識…!

成る程、辺境伯家や騎士達は皆ベルさんの部下の様なもの(軍務卿>辺境伯≧騎士団長>(略)>騎士志望の学生)になるからその娘であり騎士候補であるルリアさんと、その伴侶となるビビアンちゃんは将来的には上司になる【軍務卿のアスベル様】には頭が上がらない、と。

あれ?だとしたら原作ビビアンって上司である辺境伯様の娘を袖にして浮気したって事に……うわぁ……社会人としてもクズだったあのビビアン君。

ビビアンちゃんがマトモで本当に良かったぁ〜!


と、ベルさんが職場に向かったのでわたしはルリアさんとビビアンちゃんを伴って歩き始めた。



「…という事よミーシア。

アタシみたいな辺境伯領の住人は総括の軍務卿閣下には頭が上がらないのよ。」

「ですです…!」


「成る程。

ですが、軍務卿なのはあくまでもわたしのおっt…婚約者のベルさんです。

わたし自身が偉い訳ではありませんし、お二人は畏まらなくても構いませんよ。

お友達でしょう?」


「でも将来的には公爵夫人よね?流石に体裁くらいは気にしなさいよ?

…まぁ、淑女してないアタシに言われたくないでしょうけど。」


「体裁…ですか。

それは一理ありますね?ですが学生の時くらいは親しい人とは気軽に接したいものです。

会って2日目の方に言う事でもないでしょうけど。」


「ぼ、ボクはその方が良いかなぁ…?

ミーシアちゃんとは気軽に話せますし、えへへ…。」


「……可愛いですねビビアンちゃん。」


「ビビはアタシの自慢の婚約者よ!可愛さは折り紙付きだわ!」


「分かります。」


「ふ、ふたりして頭撫でないでくださぁ~い…!?

……気持ちぃですけど。」(ボソッ)


「あははっ、ごめんね!」

「あら、ごめんなさい。」
















「なんですの?あの“ミーシア”は。わたくしの知る【紅の氷華】のミーシアとは全く違いますわ…!“ビビアン”もそう…でも………

(あのミーシアとビビアンなら、味方になってくれそうだしお友達になれそう…?ミーシアはゲームより遥かに落ち着いて見えるし、ビビアンはゲームより穏やかな雰囲気になってるし…。)

















「と、到着、ですね!」


「ええ、無事に着いたわね!

…それにしても視線をかなり集めていたけど。

主に男子から。」



それでも近付いて来ないのはわたしの既婚者アピールもそうだし、同性とは言えお互いの瞳の色をしたイヤリングを着けてる2人も婚約者同士に見えるからだろうね。

オマケに、ルリアさんに関しては騎士候補だから学園内での帯剣許可書が生徒手帳に刻まれてるから剣を持ってるのもあるかな?



「うーん…ベルさんが言うにはわたしは男性からの視線が集まりやすいらしいです。

それに、ルリアさんもビビアンちゃんも美しいですし。

不快にさせたならごめんなさい。」


「アタシとしてはビビにやらしい視線がこなければ構わないわよ?」


「ぼ、ボクも、ルリさんを取られなければ構いませんっ!!」


「そうですか…?ではこの話は終わりですね。」



本当に仲が良いなぁ…この2人。

教室まで歩いてくる時もずっとルリアさんがビビアンちゃんと腕を組んでエスコートしてたし。



(さて、このSクラスには攻略対象もエリカさんも皆揃ってるはず。

エリカさんや宰相の息子や魔導師君は…っと。)



ちなみに王太子はまだ来てない。

昨日の一件で完全に心が折れたりして無ければ―



「おはよう、ミーシア姫!」


「……おはようございます、王太子殿下。

ですがわたしは名前呼びを許した覚えはありませんよ?」



うわ、その王太子が登校してくるなりいきなりわたしに絡んできた…!

え、昨日の今日でそんな事する??

アホ過ぎるのか強メンタルが過ぎるのか…!



「っ!やめてください…!」


「ははっ。照れてる君も可愛いよ、姫。」



いや、狂ってないかなこの殿下!?

しかも頬を撫でてくるし!キモチワルイッ!!

しかもなんで耳まで触ってく―


パチンッ



「―え?」



イヤリングが、外された…?

いきなりの事に呆然。それがいけなかった。

そのまま反対側のイヤリングまで外された…!

そして殿下はそのままイヤリングをポケットにしまっちゃった!!



「か、返してください!」


「ははっ、なんで?」


「はい?」


「君は軍務卿に脅されてるんだろう?

大丈夫、王太子たる僕が助けてあげよう!

さぁ、このイヤリングに付け替えてあげよう。」



そう言って、取り出したアクアマリンのイヤリングを付けようとして来たらからわたしは咄嗟に手で振り払った!



「やめてください!わたしには婚約者が居るんですよ!?」


「それで?婚約者なんでしょ?

いや、今はイヤリングを着けてないから君はフリーだよ。

だけどそんなに言うなら僕が新たな婚約者になって軍務卿から君を助け出してあげよう!」


「わたしとベルさんは相思相愛なので必要ありません!!

そ、それに殿下にも婚約者が居ますよね!?」


「勿論エリカとの婚約は破棄するよ、元々僕の意思とは関係が無いからね。

結婚するなら君の様な可憐な見た目をした麗しい女性が良い…!

それに、そこの君…!」


「ひゃ、ひゃいっ!?」


「あはは♪反応も可愛いね!

可憐な君も今日から僕の婚約者にしてあげよう!

なぁに、僕は未来の王だ!側妃にする権利はあるさ!!」


「っ!お言葉ですが殿下!ビビは私の婚約者です!

いくら殿下でもそれは非常識過ぎますよ!!」


「あ?なんだお前は。僕はお前の様な気の強い女は嫌いなんだ。

不敬罪で処刑するぞ。あぁそうだ、僕に逆らうなら反逆罪で家も取り潰し、一族郎党処刑だ。」


「……は?なん…で……。」



本当になんでさ!?

王太子に処刑を言い渡されて恐怖で膝を付くルリアさん……

そうだよ、いくら見た目が凛々しくて女騎士候補だろうと13歳の女の子なんだ、王太子に死ねとか言われたら怖いに決まってる…!!

…実際には軍務卿であるベルさんや宰相であるバルディア公爵閣下の仕事なんだけどね!!


わたしは夫が軍務卿だからこそそれが分かっているし何よりベルさんが守ってくれるのは分かってる!

だから抗うよ!全力で!!



「ふ、ふざけるのも大概にしてくださいよ殿下!

やってる事が滅茶苦茶過ぎます!!」


「あはは♪怒ってる顔も可愛いねミーシア姫♡」


「ひぃぃ…!」



うわ、思わず淑女の仮面を貫通して情けない悲鳴が……

いや、本当にキモチワルイッ!!聞いてよ!人の話っ!!

助けてベルさんっ!!事案ですぅぅっ…!!


………って、イヤリング取られたんだった!!

しかも、転移魔法陣の魔力の補充が完了してないから仮に通信が出来たとしてもベルさんは馬で駆け付けるしか無いよ!!


わたしがあわあわしていたところで事態派変わらない…!

それどころかクズ王子が気持ち悪い笑顔(本人は爽やかな笑顔のつもりなんだろうけど)でアクアマリンのイヤリングを付けようとしてくる!!

もう、だめ、2日目にして伝家の宝刀を抜く事になるなんて…!



「やめてください!

わ、わたしは公爵夫人です!!

既婚者に手を出すのは例え王族であってもこの国では禁じられています!!」


「ははっ!イヤリングも指輪も着けてないのに何をいっているのさ、姫。

そもそも13歳では結婚出来ないよ。

さぁ、これで君は僕の婚約者だ!!ははっ!軍務卿め!

ミーシアを奪ってやったぞ!ざまぁみろ!!」



わたしは指輪が見えるように左手を見せたのに、それでもガン無視してイヤリングを嵌めてきた…!!

なんで!?なんでなのさ!?

わたし、こんなのと再婚させられるの…?

違うなぁ……わたし、既婚者だから、浮気の罪で王太子もろとも処刑だぁ…………

こんな事になるなら、無理してでもベルさんと子作りしておけば良かった…そしたら、子供を産むまでは生きれたのに……ごめん、ごめんね…ベルさん……


わたしが諦めた…その時…!



「はぁ…たった2日目にして…やってくれましたなぁ……殿下。

ここまで愚かで欲望に忠実だとは。」


「なっ…!誰だこの爺さんは!」


「シェパードさん…?」


「はい、シェパードですぞ奥様。」

「いだだだだ!?」



シェパードさんがスゥッと現れて殿下の腕を捻り上げた!?

更にカリンが現れてわたしの耳からアクアマリンのイヤリングを外してアメジストのイヤリングに付け替えてくれた!?

って、いつの間に!?なんでシェパードさんとカリンが!?


…というお顔をされていますな?奥様。

お忘れですかな?私めとカリンの役目を。」


「私達は何時でも奥様の護衛をしていますよ。」



あっ…!

そうか、影か!!

すごぉい!2人とも忍者的なアレなんだね!?



「ちなみにですが、すぐに動かなかったのは決定的な状況を撮影する為ですぞ、お許しくだされ奥様。」


「いえ…いえっ…!ありがとうございます、シェパードさん!!」


「はっはっはっ。この私めにお任せあれですぞ。

既に証拠映像は国王陛下にも宰相閣下にも、勿論御館様様にも提出済み。

(陛下はアレですが御館様と宰相閣下は信頼できますぞ。)

王太子と言えど禁忌を犯した者の末路は…言わずもがな、ですなぁ…?ライトリーク殿??」


「くっ…!不敬な!僕は王太子だぞ!未来の国王だぞ!!

言わばこの国の神だぞッ!!お前達も不敬罪だぁぁぁッ!!」


「………ハァ。ここは教室で他の者達の目もあるのに見苦しいですな。

では私めはコヤツを連れていきますぞ。」


「なっ!?何をする!!放せ!放さんかぁぁぁぁっ!!」


「…黙らっしゃい犯罪者め。」

「ムゴォッ!?ふぐぅ…!モガァッ!!」



わぁ…本当に終わってるなぁ…王太子……

ゲームや漫画ではここまで酷くなかったはずだけど?

俺様系ならぬ僕様系のライトリーク王太子殿下って。


しかも2日目にして再起不能…どころかこれ、人妻に手を出した重罪で問答無用極刑コースだよね??

わたしは拒絶してたのに無理矢理イヤリングを変えられた映像があるから無罪になるだろうし(無ければ一緒に処刑)、逆に王太子は罪が更に重くなるはずだし。


既に破綻してるね、原作。

どうなるんだろうね、コレ。







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