説教
「君ねぇ、軽々しく死にたいなんて言うもんじゃあないよ。親含め家族だっているんだろう?きっと悲しむよ」
「はぁ...そうですか。とは言ってもですね、先生。僕、自分が死ぬことに、今生きてることにだって興味がないんです。どうだって良いんです。でも、だから死にたいんです。誰かが悲しむといったって、死んでしまった僕には関係のないことになるはずですし、やっぱりどうだって良いことなんです。そもそも、僕が死にたいといった、その理由の発端は貴方たちじゃあないですか。言われたって微塵も嬉しくない言葉を丁寧に取り繕って優しい人を装って、いざ僕が何かすれば嫌な顔をしたのは貴方たちだったじゃあないですか。避けられているようで、憎まれているようで。そりゃあ僕だって自分のことを最初から嫌いであったり、どうでもよいと思ったりしていた訳ではないと思います。好きになってみようかとも思いました。でも、今まであったことの欠片を思い返すうちに、こうなってしまいました」
「......貴方たちは僕のようなことを言う人に様々なことを言います。でも、それらが全部無価値であることを証明したのは貴方たち自身だ。貴方たちは僕のことなんて見えていないし、見たくもないんだ」
「私も、他の人だって、君の全てを忘れていた訳でも、嫌っていた訳でも無い。これは本当だと私は思う」
「そんなこと言っても全部価値がないって僕はさっき言ったじゃあないですか...。それに、貴方が言ってくれなくとも、自分でも死ぬべきでないことなんて知っているんですよ。僕の考えに出口はないことだって分かっています。信じられますか?死なないことは僕の一つの原理でさえありました。でももう、駄目なんです。もう信じられないんです...」