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無気力な悪魔、肉を食らう。



「それで、早速だけど、ダーリーは何か困っていることない?あたし、力になるわ!」


 イシュはお隣さんさんになって嬉しくなったのか。ふんすと鼻息が聞こえるように何か手助けできないかと張り切っている。


 ん〜...そうだなぁ。。。お、ちょうど良いものがあった。


「あー、それならイシュ、こいつをどうにか出来ないかな?」


 俺が取り出したのは化け物熊の皮だ。こいつの敷物にしたいのだが、どうやら毛皮を革にするには「なめす」という作業がいると聞いたことがあるが、具体的に何をすれば良いか俺は分からないかった。


「この毛皮を敷物にして使いたいんだが、いまいちどう処理をすれば良いか分からなくて困っていたんだ。何か分かるか?」


「毛皮?ちょっとこっちに渡してちょうだい。」


 そのまま毛皮をイシュに渡すとイシュは毛皮に手を添えた。


「うんうん、何とかなりそうね。私に任せて!」


そういってイシュは呪文のようなものを唱えると、水の球体を出現させた。魔法を発動したのだ。そのまま、球体に毛皮を入れた。


 球体の中で毛皮がぐるぐる回っている。洗濯機の中で洗われているようだった。それを終えてイシュが球体から毛皮を取り出し、手を添えた。びしゃびしゃに濡れた毛皮を乾かしたようだった。


「はい!必要な処理は終わったわよ!」


受け取ると、毛皮だったものがお店に出せそうなフカフカの革になっていた。


「うお!まじか!何をしたかよく分からなかったけど、毛皮が綺麗になっている!ありがとう!これで気持ちよく寝れるよ!」


 そう礼を言うとイシュは自慢げな顔つきになっていた。


「ふふん!水の精霊のあたしにとってこれくらい楽勝よ!普通は数日かかる処理なんて一瞬で出来るんだから!」


 すごいドヤ顔している。けれど、敷物を作ってくれて感謝だ。俺にはできないことだった。これで怠けの質があげられる。最高である。この敷物があれば、固い床で寝なくて済むのだ。


「いや〜、本当にありがとう、イシュ。さらにお礼をさせてくれ。化け物熊の肉があるんだが一緒に食べないか?ご馳走するよ。」


「え!そんな別にお礼とか良いのよ〜。ま、貰えるものは貰っておくわ!ぜひ、ご馳走させてちょうだい!」


「よし、じゃあ俺の家に来てくれ。」


毛皮を持ち、イシュを家まで案内する。


「ここだ。早速、食事の準備をしよう。」


 俺は毛皮を大事に家にしまうと、そこら辺の石を円に並べてかまどを作る。燃やす木は薪にした木を使う。かまどに木を入れ、魔法で火をつける。化け物熊の肉を魔法を使って食べやすく切り、切り分けた肉に木の棒を刺した。


 そのまま、火に刺した肉を近づければ、ワイルドすぎる串焼きの完成だ。


「よし、イシュ、あとは焼き上がるまで待ってくれよ。ただ、味付けできないから肉の味しかないけど。」


 この森の中には、味を付ける調味料なんてない。調味料をつけずただ焼くだけの質素な料理になってしまった。


 ただ、この食べなくても良い悪魔の身体になってから初めての食事。異世界でのはじめての食事。これが最高の調味料だろう。


 肉の旨そうな匂いがしてくる。綺麗な赤身の肉がこんがりと焼きあがってきた。簡単なかまどだが、意外と上手く焼けた。


 2本の串焼きをかまどからとり、イシュと一本ずつ分けた。


「ほら、イシュ。焼けたぞ。食べてみてくれ。」


「ありがとう!あたしも再生して初めての食事だから楽しみだったの。早速、頂くわね。」


イシュが串焼きに齧り付く。


「あつっ、あつっ!ふんふん.....これ!美味いわね!ダーリーも早く食べなさいよ!」


イシュがそう言って、すぐ食べるのに戻った。綻んでいるイシュの顔を見ると、美味いようだ。


「どれどれ...本当だ!美味いな、これ!」


 あの化け物熊の肉ということで臭みがありそうと思ったが、そんな事は無かった。脂は少ないが、肉の旨みを感じている。味を付けていなくても、物足りなさを感じない!噛むほど肉本来の旨さが滲み出てくる。


「焼き加減も悪くなかった!上手く焼けているぞ!....もう、一本食べよ!」


「ダーリー、もうあたしにも一本頂戴!」


二人してすぐ一本食べ終わると次の串に手をつける。久しぶりの食事に楽しさと感動を覚え、一心に食べてしまった。感動で胸が満たされる。


 ここまでの充実感を感じているのはイシュがいるからだろう。一人ではなく他人に飯を振る舞い、一緒に食べるという行為はこんなに満たされるのか。


「ちょっと!ダーリー!無くなったわよ!次の串も用意してよ!」


「おい!礼とはいえ、食べ過ぎだろ!俺より5本も多く食べてるじゃないか!」


 どうやら、イシュは食い意地もあるらしい。もしかしたらイシュも再生して初めての他人との食事で楽しさと感動に満たされたかもしれない。


 そうして、二人で全ての肉を食べきり食事を終えた。イシュと別れ、家に入り寝床に着いた俺は心地よい満腹感を感じて毛皮の上で目を閉じた。


 ここまで読んで頂きありがとうございます。

 投稿が空いたのはアカギを観て麻雀したい欲が爆発して、あらがえず麻雀していたからです。

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