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無気力な悪魔、家をつくる。

悪魔、少し頑張ります。

 

 おはようございます。いきなりですが、悪魔、家を作りました。実は岩の上で寝た時から数日経っいる。


 あの後、目が覚め、岩から起きた俺は我慢の限界を感じていた。拠点となる所が枝を合わせただけの即席のシェルター。俺は流石に快眠することができなく怠けるにも怠けられないと感じた。家を作ろう。今まで家を作っていなかったのは、十分な広さの開けた場所がないからだ。木を魔法で処理し無理やり開けた場所を作ることも考えたが、木を一本一本抜いて地面を均してそこに家を作ると考えたらなんだかとても億劫な気がして、やりたくなかった。


 だが、我慢の限界だった。動くには億劫だったが何とか這い出て、辺りを散策した。かなりの距離を歩いたと思う。3日ぐらい歩いたのかな。正直かなり疲れた。身体は元気なのだが、精神的に疲れた。


 そういえば俺の服装の事を話していなかった。異世界に転生して悪魔になったのだから普通は全裸になってしまうはずだ。確かに意識が目覚めた当初は全裸だった。ズボンも無ければ靴もない。悪魔の身体的には全裸である事にあまり不快感を感じることはないが、人間だった俺には精神的に違和感を感じた。初めは葉っぱや枯れ草が服の代わりにならないか試行錯誤していたが、魔法があった。そう、因果の法則を超える魔法に掛かれば服を生み出すことも簡単だった。


 服装はゆったりした襟がついていない白いシャツに伸縮が効く黒いズボンを生み出した。地味で目立たず、すぐ怠けられる。そんな服を目指した。


 森を歩くための靴の代わりにくるぶしと足の指の付け根を紐を引っ張って固定できるサンダルを作った。靴はいちいちに紐を解いたり結んだりして固定するのが面倒だから嫌いだった。森の中を歩くのにサンダルは適さないが悪魔の脚には関係ない。窮屈さや億劫さを感じないサンダルは好きだ。


 しかし、万能に思える魔法も万能では無い。魔法で顕在させたものは発動させている間、ずっと魔力を使うのだ。魔法で布団を作れないかと試し、顕在させたが魔力をずっと消費していた。


 別に気にするほどの消費ではないが、少し引っかかりを感じる。例えるなら靴の中に小石が入っていて歩く時にその小石が気になってしまう感覚だ。気にしなければ良いかもしれないが、怠ける時に少しでも煩うことがあってはそれは意味がない。


 100%の怠惰を楽しみたいのだ。人間だった時はそんな事許されなかったが今の俺は許される状況だ。だったら何も煩うことがない精一杯の怠惰をしたい。だから、布団や住居などを魔法で顕在させていない。魔法で顕在させているものは着ている服だけに留めている。あぁ、布団が欲しい。

 

 まあそんな事をぶつぶつと独り言で言いながら3日ほど歩いた。

 

 すると、鬱蒼としていた森の中に少し開けた場所を発見した。陽の光を木が遮って薄暗い印象だった森の中に、そこだけ陽の光が地面まで届いていた。明るい。暖かくて気持ちよさそうだ。俺はそこを拠点にする事に決めた。

  ここまで開けた土地なら家が作れる。日当たりも良くて最高だろう。

 

 家を作る事は難しいが、悪魔なら簡単だ。材料は周りに沢山ある。俺は見上げるほどの大木に手を当てて魔法を発動させた。木と接着している掌から光が漏れる。すると木が切れているのだ。悪魔の怪力を以て切れた木を他の木に引っかからないように開けた場所に倒す。


 切り落とした木に刃を縦横に入れて余すとこなく切り分けるイメージで魔法を使った。すると立体パズルが崩れるように大木はするりと様々な形にばらける。丈夫な柱になりそうな角材、壁や床になりそうな平たい角材、補強に使えそうな細身の角材などなどにに切り分けられた。


 その作業をもう4、5回ほど繰り返せば十分な量の木材ができた。木を切る事、運ぶ事なんて悪魔の力を使えばケーキを切り分け各々の前に置いていくことのように簡単な事だ。悪魔様々だ。


 あとは木材を使って家を建てるだけだ。立派な家じゃなくて良い。ただ俺が横になれる空間、少し作業や生活できる空間があればそれで良い。6畳ほどあれば十分だろうか。


 平らな角材を適度な長さに切りそろえた木材を基礎になる角材の上に載せて魔法を使い木材同士を接着剤を使ったかのように繋げる。あとは箱の骨組みを作るように四隅に柱を立て、縦横の辺を作る。骨組みの強度をつけるために入り口となる面以外に斜めに木をいれ補強する。あとは平たい角材で壁を作り、屋根を作れば、木材でできたお豆腐の完成だ。ドアを作るのは難しかったが、以前住んでいた家のドアの構造を思い出し魔法で再現した。滑らかさは少しないが機能するからこれで良い。


 しかし、完全に豆腐だ。まあ、某有名ブロック建築ゲームも最初は豆腐建築からだ。これも立派な家だ。万歳、マイホーム。


 いやぁ、作業してても思ったがこの悪魔の身体、すごいな。普通だったら数台の重機と十数人の職人が数日かけて行うような作業を一人で1時間ほどでやり遂げてしまうとは...。なんて便利な身体なんだ。


 あー頑張ったら眠たくなってしまった。頑張りすぎてしまったと思う。作った家で寝よう。おやすみなさい。


 そのまま俺は吸い付くように床に横になった。床の硬さが少し気になったが新築の木の香りを嗅ぐと達成感に少し胸が満たされて、俺は目を閉じた。


読んで下さりありがとうございます。

悪魔、家を作りました。家というか小屋ですが。丸太のログハウスには憧れますが、現実で作ると手間暇掛かって大変そうです。

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