その⑥
わたしは闇の中にいた。
昨晩と同じ何一つ無い深い闇・・・・
きっと昨日の夢の続き・・・
生暖かい風が肌にあたり消える。
気づけば後ろに『彼』が立っていた。
「待っていた。今日は何を話そうか・・・それと我はお前の名を知らない。」
彼の名はダーク。世界を支配しようとしてた独裁者さんだったらしいが、千年間封印されちゃってその間メッチャ反省して今は罪悪感に駆られすっごい悩んでる最中らしい。
「またこの夢・・・続け様に見るとは思わなかったわ。」
ブツブツとそう言いながら苦笑するわたし。
「当たり前だ。お前にはここに辿り着けるように手にマークを付けたからな。」
聞こえないよう小さい声で呟いたつもりだが彼にはどうやら丸聞こえだったようだ。
そして彼の言葉に掌を見ると薄っすらと模様が輝いておりそして次第に消える。
あ~・・・昨日の・・・
「まぁ良いわ。よく分かんないけど・・・
わたしはミリエル=ハード。ミリエルで良いわよ。
ってちょっと失礼して・・・」
わたしはその場に座りだし、手で彼も座る様指示をする。
「まぁ・・立ち話しってのも何だし・・・」
彼はおとなしくわたしの前に正座で座り込む。
・・・正座って・・・まぁ良いけど・・・
「さてさてさて・・・何を今日は話そうか?」
ダークは考え・・・
「人の言う『愛』が理解出来ない。『好き』は何となく理解出来るが・・・」
・・・え~・・・・・分かんないんだ・・・・あ~・・・でもわたしもそれは難しい・・・
「愛かぁ~・・・・愛にも色々あるからね・・・母親が子供を守る事も愛だし、自分が嫌だと思う事を人にしないってのも愛の一つだし・・・恋愛ってのも愛の一つかな・・・そう!愛があれば自分を犠牲に出来たり出来るのよ!死を惜しまないって事ね。」
わたしの言葉にダークは首を傾げた。
・・・あかん・・・この説明じゃ伝わってない・・・・
わたしは深く考えてある答えを導き出した。
「好き以上の事よ。あなたは昨日わたしに言ったわよね?『これは好きという感情なのか・・・』ってね。単なる好きはまだ表面なの。愛は好きの好きの好き!って事・・・」
だが彼はまだ理解出来てないのか、頭を横に傾げ過ぎて倒れかかっていた。
・・・・ノー!!!!・・・・
わたしは慌てて彼の頭を元の位置に戻す。
・・・・あかん・・・ほんとあかん・・・わたし人間失格だわ・・・・
「ゴメン・・・説明下手で・・・」
「いや・・・良い。こちらこそ難しい事を聞いてすまない・・・言葉では表されないって事だけは分かったから・・・」
わたしと彼は正座で互いに頭をペコペコと下げて謝る。
わたしはある事をふいに思い出し彼のホント真ん前に立つこともせずそのまま移動する。
「ちょっと失礼して良いかな?」
「?」
ダークは首を傾げながらも、どうぞと手で指示をする。
わたしは恥を忍んで顔を赤くさせながらも彼の体を抱き寄せて背中をポンポンと弱く叩いてみる。
「何をやっている?」
平然と呟く彼。
「わたしが怖い目にあった時にこうやって落ち着くように抱き締めてあげるってのも愛の一つだと思うわ!」
今日の体験をそのまま実演するわたし。
「そうか・・・」
言うとそのまま彼はわたしの背中に手を回す。
わたしの心臓がやたら高鳴る。
・・・・恥ずかしい・・・何やってるのよわたしは!!!夢の中だけど!!!・・・・
「何かドキドキしない??」
わたしの必死の言葉に彼は沈黙し・・・・
「ドキドキ・・・?我よりお前の方がドキドキしている様だが・・・」
・・・・駄目だわ・・・・必死に実演したのに全然分かってもらえない・・・・
「・・・だが・・・我はお前を離したくは無い気持ちになる・・・・」
・・・・あっ!!!・・・・
「多分!!!それだわ!!!それ!それが愛よ!」
わたしは彼から離れ両肩に手をポンと置いて目を輝かせながらそう叫ぶ。
「そうか・・・これが・・・」
本当に分かったのかは定かでは無いが、面倒臭いのでわたしはそーいう事にした。
「ふっ!わたしが愛について教える事はもう無いわ。次の疑問は何かしら?」
とっととこの話題から離れたくて違う質問を要求する。
だが・・・彼はわたしの体を抱き寄せる。
「え!?ちょっと??」
驚きびっくりするわたし。
「知りたかったんだ・・・・今まで・・・愛を・・・
我には元々愛という感情は備わっていなかった。我は人の生み出した恐怖や悪意で構成された者。」
突然わたしを抱き寄せたまま語り出し始めた。
「だが封印されて人の感情が分かる内、愛という感情を知るようになった。だが理解には至らなかった。だから助かった・・・これが愛なんだな・・・」
言って彼はわたしから離れ笑みを浮かべた。
「!?」
わたしは一瞬目を疑った、彼から離れて彼の体全体を見ると、若干白くなりつつあったの
「ダーク・・・ちょっとそれ何??」
わたしの問に首を傾げ自分の長い髪に目線を移した。
「!?」
彼もまた驚きの表情をしわたしをチラチラ見て何が起きているのか目で訴えてくる。
・・・・いやいやいや・・・・わたしに分かるわけがないし・・・・
彼の体は全て白くなり周りの闇も次第に白く染まる。
「ふっ!よく分かんないけど・・・ダーク・・・わたしはあなたに名前を付けなければいけないようね・・・」
何かかっこつけた感じの口調でわたしはそう言うと・・・
「お前に任せた。我の名は元より人に勝手に付けられた物。お前に任せる。」
彼は笑みを浮かべわたしにそう言うと、自分の体の様子が余程気になっているのか無理な体制になりつつ全体を見ようと頑張りだした。
・・・・白いしな~・・・・ホワイトっていうのも安易過ぎるし・・・・
「リッカルドでどう?普通の人っぽい名前でしょ?意味は、力強い支配者的なものかな?
あなたは愛を知った事できっと白くなれたのよ。それで、もしそこから出れたらあなたは良い支配者になれると思うわ。」
また口先三寸で適当な事を言ってみる。まぁ夢だし・・・・
わたしの言葉に彼は一瞬考えて弱々しく笑みを浮かべ・・・
「ここから出ようとは思わない。これが全てに対して罪を犯した報いだからな・・・
名前は有り難く受け取っておこう。」
・・・・頑なな奴・・・・
・・・・でもまぁ、千年かかって解けない封印が今解けるわけも無いし、要らぬ期待をさせてまた黒く染まっても駄目だし・・・これ以上の発言は控えないと酷だわ・・・・
そして辺り全体の光は一層光を放ち出し。
「そろそろ行くのか?」
彼の言葉に頷くわたし。
「また遊びに来い。今度はお前の話しを聞いてやろう。」
そう言うと彼はわたしに手を振ってきたのでわたしも手を振り返し、気付けばそこは温かい布団の中だった。




