とある奴隷少年が死ぬまで。
僕はどうして生まれてきたのだろう。
日光を浴びずに毎日毎日地下でピッケルで地下通路を掘る日々。
辺りは「カン、カン」と、何人もの奴隷が僕と同じようにピッケルで掘る音だけが支配していた。
身体はボロボロで、休めば見張りの人に鞭を振るわれ、体中に残る傷跡。
周りの奴隷が死ねば新たに奴隷が追加されて、誰も未来を望まない。
「くそうっ………!!」
これが普通なのか?
世界中どこを回っても奴隷と貴族という階級制度が設けられているのか?
作業を止めることはないが、目から伝った雫が地面に落ち、土に吸い込まれていく。
助けなんか来るはずもない。
そもそも奴隷を助けようと思う奴なんて地球上どこ探してもいない。断言できる。
ただ死ぬまで同じ作業を繰り返すだけ。
「おいお前、休んでねーで手を動かせ!おらぁ!」
「うっ……!いだ………い!」
もう限界……無理……。
「おいなに倒れてんだよ!早く起きろ!」
ピッケルを落とし僕は地面に倒れこむ。
僕は何不自由なく生活している人たちを恨むだろうか。
逆に彼らは奴隷の僕たちのことをどう思ってるだろうか。
哀れみの目を向けられるだけだろうか。
いやそれはないか。
奴隷に哀れみの目を向けることなど、神を冒瀆するのに等しい。
世界でたった一人僕が死んだって地球は止まることなく回り続ける。当たり前だ。
畢竟、僕は生まれながらにして死んでいるんだ。
もっと言えば死ぬために生まれてきたのだ。
僕も普通に生きたかったよ………。
勉強して、友達作って、結婚して、子供も作って、旅をして………。
まだまだたくさん。
そんな人生送りたかったな。
「こいつだめだ。死にやがった」
どう思いました?