泣き虫な甘えん坊 時雨・甘衣
こんにちは。お疲れ様です。一月でたくさん更新できるように、引き続き頑張ります。
読んで頂きありがとうございます。
鍵穴に、鍵を入れて捻る。が、手応えがない。鍵穴から、空回るような音が聞こえてきた。
どうやら、鍵がかかっていないようである。
不用心だ。オートロックのマンションとはいえ、都会なんだしその辺りはちゃんとして欲しいものだ。
まぁ、おそらくは俺の帰りを待っていたから鍵を閉めなかったのだろうが。
「ただいま〜〜」
自分が入った後、俺は玄関の2つある鍵を2つとも閉める。
いつもと違って、出迎えがない…………ってそりゃそうか。朝の5時だもんな。さすがの甘衣も寝てるか。
靴を脱ぎ、コートをクローゼットにしまうと、自室へと行くため廊下を通る。
一つ一つ部屋を見て歩き回り、甘衣を探す。
「ぐすっ、ぐすっ」
すると、寝室からすすり泣く声が聞こえてくる。
「ぐすっ、時雨が、時雨が、朝まで帰ってこない……きっと、ぐすっ、女の子にお持ち帰りされたか、お持ち帰りしてるんだ……ぐすっ、私は、捨てられたんだ……」
俺が寝室に行けば、そこでは俺の枕に顔を埋めながら泣いている女性、戸瀬甘衣がベッドでうつ伏せになり震えていた。
「あの〜〜甘衣さん?メッセに送ったよね、仕事が長引くって」
「そんなの、文章ではなんとでも言えるじゃん!!」
「なら、俺の身体を確かめてみる?」
俺が彼女の近く、枕元まで行き自分の身体を差し出すように立つ。
「……時雨!遅い!!おかえり!馬鹿!!」
すぐさま俺の身体に抱きつく甘衣。
ギリギリと強まっていく抱擁。
「馬鹿って……ひどいな、仕事してたのに」
「なによ、どうせ女物の香水の匂いか、いかがわしいホテルのシャンプーの匂いが…………くんくん」
「そんな匂いするなら嗅がせないっての」
「あ、あれ?どっちの匂いもしない」
「な?」
「で、でも汗を染み込ませた服を後から着れば誤魔化せるような……」
「んな手の込んだ事するかよ。俺なら堂々と浮気するね」
びしっと言い切ってみる。
「威張んな!…………まぁ今回は浮気してないみたいだからいいけど」
「前に浮気した事あるみたいな言い方するなよ!今までも浮気した事ねえだろ?!」
「無いけど、無いけど当たり前じゃん!私を人妻にしておいて浮気とかありえないし!」
「そらそーだ。よしよし」
俺は甘衣の隣に座り、彼女の頭を撫でる。
「頭撫でれば私の機嫌治ると思ってるでしょ」
「治らねーの?」
「ふふ、治るけど」
「なんで頭を撫でられると気持ちよく感じるか知ってるか?」
「知らない」
「褒められる時に頭を撫でられる事が多いだろ?」
「うん」
「だから、頭を撫でられると褒められてると思って嬉しくなるわけ。脳の勘違いみたいなもん。いや、暗示の方がわかりやすいか」
「へえ、なら、殴られた後に頭を撫でられてた人は、頭を撫でられるとほっぺが痛くなるのかな?」
「お前な、発想がバイオレンスなんだよ」
甘衣のほっぺたをひっぱってみる。
「いひゃい、ほおをひっぱひゃなひで」
「ま、んな事はどうでもいいんだ。甘衣、ずっと泣いてたわけ?」
彼女は俺の太ももに頭を乗せ、膝枕の体勢になり、俺は甘衣の頭を撫で続ける。
「3時くらいまでは、いつもより遅いんだろうなぁ、で済んだよ?でも、5時過ぎる頃には、もう疑いが確信に変わり始めて……夫が他の女にとられているって考えると悲しくて寂しくて……」
「とられてねーっつーの。まったく、心配性なんだから」
「本当に?時雨、まだ私のモノ?他の女と遊んだりしてない?」
「してないしてない。そんな暇ない、深夜居残りするくらいには忙殺されてるから」
「なら忙しくなくなったら遊ぶ?」
「んなわけないでしょーが。怒るぞ?」
「ご、ごめん」
彼女の頭に軽くデコピンをする。
「いたっ?!何するの!」
俺の顔を睨む甘衣。
「人を疑っといて……あろう事かありもしない夫の浮気を疑ったんだ、これくらいで済んで良かったと思え」
「古いし!その亭主関白的な考え方古いから!!前時代的な考え方だから!!」
「なーにが亭主関白だ。財布の紐も、基本的な命令権も、全部握ってるのは甘衣だろ?よく言うよ」
「ふ、普通だし!!女性の社会進出が盛んなんだし!!私も社会に進出してるだけだし!!」
「まったく、俺が自由にできるのは自分の貞操くらいか」
ふと、思った事を呟いた。
「は?」
直後、もの凄い形相で睨んでくる甘衣。般若と般若を睨み合せてもさらにその上を行くような顔である。
「何それ意味わかんないんだけど、それって自由に浮気するって事?!命令権とか財布の紐とかどうでもいいから時雨の貞操は私のモノでしょ?!」
「いや、そうは言ってないだろ。それになんで俺の貞操が甘衣のものなんだ…………いや、結婚してるんだし、貞操義務とかあるし、法的にはそれで合ってるのか」
「そうだよ!!私は正しいの!!私は絶対!!口答えしないで!!」
「もはや言葉の暴力だな……気をつけろよ、そこらへん浮気の原因になるぞ」
「えっ?!」
「これは俺のことじゃないし威張る気は全くないから勘違いしないで欲しいんだが、配偶者のためにも仕事してるのに、仕事中にしてもいない浮気を疑われているなんて知ったら、相手を嫌いになってもしょうがないだろ。それこそ浮気されるぞ」
「浮気してないか気にしてたら浮気されるって事?!」
「皮肉だが、そう言う事だ」
俺は他人事のように言い放つ。
「わ、私、気にしすぎ?ウザい?」
ようやく自覚したのか、顔を青くする甘衣。
「ああ、気にしすぎだ。まぁ今日みたいに朝帰りとかの日は気にしてもおかしくないが」
「なら……!」
自分は大丈夫なのだと思ったのか、表情を明るくする彼女に、俺は言い放つ。
「いや、甘衣毎日じゃん。帰ると毎日泣いてるじゃん」
「だ、だって、実は休みとってて、仕事行くふりして浮気してたらとか考えたら……」
「凄いな、俺はそんなこと思いつかねえよ。そんなくだらない事に有給使いたくない」
実際浮気をしたら、甘衣が色々言ってくるだろうし、何をされるかわからない。そんなリスクを負って、さらに貴重な有給を消費してまで浮気をしようとは思わない。
「や、やっぱり私との!2人の時間に使いたい?!」
笑顔で訪ねてくる甘衣に、俺は真顔で答えた。
「いや、普通に寝てたい」
「ぐっ……」
がくりと落ち込む甘衣だったが、すぐに活力を取り戻す。
「寝るって、私と?!」
「いや、普通にって言ったじゃん。睡眠だよ睡眠。俺は惰眠を貪るのが何よりも好きなんだよ」
「ねぇ私達まだ新婚だよ?!惰眠より愛を貪ろうよ?!」
「いや、いいだろ。毎日毎日そんなんやってたら感覚おかしくなる」
「愛に溺れようよ!!」
「幸せとか愛とか、そういう目に見えないものは、何かと比較して初めてわかるものだと思うんだよな。毎日砂糖しか食べないんじゃ甘いものも甘いと思えなくなるって。普通の日常があるからこそ、たまにいちゃついた時の幸せ度が跳ね上がるんだろ」
「その理論なら、毎日糖度を上げていけばいい!!最初は米の甘みからはじまり、次の日は茶菓子、その次の日はジュース、その次の日は砂糖!!みたいにずっと糖度を上げていけば常に幸せがマックスの状態でいられる!!」
甘衣の熱烈な言葉に、俺は思わず唸る。
確かに、それはそうだ。比較で良さを感じたいのならば、ずっと価値を上げていけばいい。
「でも、それってすぐインフレしないか?」
「できる!!私なら、私達なら昨日よりも愛を大きくできるよ!!」
「ごめん、俺はちょっと自信ないわ。ていうか無理だわ」
「なんで?!ねえ私達新婚だよ?!新婚だよ?!わかってる?!」
「いや、新婚だろうと熟年夫婦だろうとアツアツなところはアツアツだよ。最初だからアツアツって、その後は落ちていくだけじゃん。俺そんなの嫌だよ」
「いやいや、それならなおさら常に愛を大きく!ラブをプラスしていく方向で行くべきじゃない?!」
激しく訴える彼女に、俺はあくびを立てる。
「俺疲れて眠いんだけどさ、明日休日だし寝ていい?」
彼女を膝の上から降ろし、タンスから出したパジャマに着替える。
「私だって眠い!!でもこれは語り尽くさねば気が済まない!!」
「なら夢の中で語り合おうぜ。おやすみ」
「ええっ?!そんな!寝ないでよ!!」
慌てる彼女に構わず、俺は2つ並んだうちの1つのベッド、自分のベッドで寝る。
「も〜、人が一生懸命話してるのに酷いなぁ。まぁいいや、私も眠いし泣き疲れたし、一緒に寝よ」
彼女は平然と、自分のベッドではなく俺のベッドに潜り込んでくる。
「腕、抱きついていい?」
俺が答えるまでもなく、彼女は俺の右腕に抱きつく。
「甘衣の夫なんだ、甘衣の好きにしたらいい」
「なら語り合おう!」
「それはもう勘弁してくれ」
さすがに疲れが出てきたようで、俺は意識を無意識へと引きずりこまれる錯覚に陥る。
「……ところでさ、時雨」
「なに、眠いんだけど」
少しだけ不安そうな声に、閉じかけたまぶたを無理して開く。
「子供欲しい」
「ぶふっ?!」
それはあまりにも唐突で、思わず吹いてしまった。
「あ、あの、甘衣さん?子供って、子供?」
「そう、私達……私と時雨の子供」
少し強く抱きしめられる俺の右腕。
「なんで?なんで子供が欲しいの?」
「…………色々理由はあるけど」
「例えば?」
少し黙ってから、彼女は口を開いた。
「浮気の抑制」
「だーかーらー、浮気はしないって!もう少しまともな理由あげろよ」
「お母さんになりたい」
「なるほどね。他には?」
「純粋に、時雨と私の子供は凄く可愛いと思うから、会いたい。たぶんアイドルとかになれると思わせられるレベルのスペックを秘めてると思う」
「すでに親バカだな。もしもの未来が思いやられる」
「子供が欲しい理由を聞く方が間違ってる。自然の摂理には背いてないし、おもちゃを欲しいと思っている子供になんで欲しいのって聞かないでしょ?」
俺は少し笑ってから、彼女の頭を撫でた。
「悪かった。俺も別に子供は嫌いじゃないから」
「なら子供つくろ?」
突然ベッドの上で起き上がる甘衣。
「え?」
すると、なにを思ったか彼女は着ていたパジャマを脱ぎ始める。
「つくるって、え?今?!いやいやいや、無理無理無理!!!」
「私は今すぐ子供欲しい。最近してないし。ていうか、結婚してからまだ10回してない?!」
「婚前交渉はたくさんしてたみたいに言うな。俺は結婚してからしかした事ねえよ」
はだけようとする彼女に無理やり服を着せると、俺は訂正した。
「うん、知ってる。あのたどたどしさは笑っちゃった」
「お前も初めてだったじゃねーか」
「今の論点はそこじゃないの。私達は、少なすぎると思う。新婚だよ?!毎日が普通だよ!!毎晩毎晩夫が激しくて〜〜とか言いたい!!」
「それは知らない」
「時雨だって嫁が求めてきて眠れないんです……とか上司に言いたくないの?!」
「いや意味わかんねえよ。それ聞く方がつらいだけだろ」
諦めたのか、再び俺と同じベッドに潜る甘衣。
「他人の幸せが自分の幸せとは限らない」
天井を見つめながら言った。
「他人の幸せが自分の幸せじゃないとも限らない」
俺の言葉は即座に否定され、思わず頭を抱えたくなる。
「あのなぁ」
「子供が欲しいの、私は」
目と鼻の先で、僕をギラギラと見つめるその目は、瞳孔が開いている。
「無理やりは勘弁してくれ」
「…………………………わかってるし」
「おい待て今の沈黙はなんだ?!俺は半分くらい冗談のつもりだったんだが?!」
「無理やりじゃ幸せは生まれないなんてわかってるし!!2人プラス子供の幸せな生活がしたいの!!」
「そうか。わかった、今の甘衣は今の俺には手に負えない。今日は疲れてるから、その話はまた今度」
「え〜〜?!今話そうよ!!」
「眠くて疲れてるから正常な判断ができない気がするんだ。寝ぼけてオーケー出したくない」
彼女との子供についてならば、俺はゆっくりと時間をかけて正常な判断を出来る時に決めたい。
「今決めよう!!ぜひとも今決めよう!!」
「俺寝るわ。勝手に決めてろ」
「酷い!」
あまりの積極性に、呆れた俺は眠りについた。
ーーー
「起きて!!子供つくろ!」
激しく叩かれるお腹。重みを感じる腰付近。
ゆっくりと目を開けると、甘衣が全裸で俺の腰の上に乗っかっていた。
「どんな起こし方だよ…………いや、寝ぼけてるのか」
俺は再び目を閉じて眠りにつく事にした。
「ね〜な〜い〜で〜〜!!子供は?!私子供欲しい!!」
幻聴がうるさくて眠れないので、再び目を開けば、そこには一糸纏わぬ甘衣がいる。
「……幻聴でも幻覚でもないのか。俺の嫁はこんな過激な事をするのが趣味なのか」
「心外!これでも抑えてる!!」
バシバシと叩かれる衝撃を胸元で感じながら、俺は自分が寝ぼけていない事を悟る。
哀しいかな、これは現実のようだ。
「…………この前ネットサーフィンをしていたら見たんだが」
「うん。話逸らしても逸らさせないからね」
「そんな気はない。むしろその話だよ」
「続けて?」
「既成事実、って言葉あるだろう」
「うん」
「まぁ未婚のカップルとかで既成事実って言ったら、大体子供が出来たっていう話だったり、婚前交渉をしたとかいう話なんだが」
「私達結婚してるよ」
じいっと俺の顔を見つめて来る甘衣は、少し苛ついているようだ。爛々と光る瞳の間、眉間に少しシワが寄っている。
「わかってる。そこで、まぁ女性が既成事実を作ろうと色々企んでいる事を知ってかなり衝撃を受けたんだが」
「う、うん。私はそんな事してないよ?」
おい甘衣。なぜ目を逸らすんだ。
「とあるコメントでは、相手の事を考えられもしないのに既成事実なんて、そんな事で生まれた結婚生活がうまくいくわけがない、結婚に対するその意思意欲を相手に伝えるべき、と。残酷な事を言うと、既成事実を作ろうが、結婚を拒否する男もいる、とも」
「うん。私は、何も関係ない。ちゃんと正攻法で時雨を自分のモノにしてるし」
「おい、甘衣?」
「なっ、ななななにも企んでなかったし!!」
今度は、俺が甘衣をじいっと見つめる。
「俺は結婚する前、もっと言えば甘衣と出会う前までは、創作物に出て来るようなヒロインに言い寄られたり、無理矢理されて既成事実を作られたりなどに憧れた事がある」
「だ、だよね!既成事実とかつくってもいいよね〜〜〜!!」
安心したのか、笑みがこぼれる甘衣。俺は勘違いしている甘衣に言い放つ。
「だが、甘衣という恋人が出来て、さらに嫁にまでなった今、切実に思う。無理矢理は、絶対に!!やめてくれ!!!」
「な、なんで?憧れてたんじゃ……」
「単純明快な理由だよ、怖いんだ。安定した生活を続けられるか不安がある中、突然襲われていきなり予期せぬ子供をつくられる。怖いに決まってるだろ?」
「……」
「大事なのは、お互いが話し合う事だと思うんだ。話し合って、いつ子供をつくるのか、計画をしっかりと立てる。少なくとも俺は、俺達はそうするべきだと思う」
真面目な顔で話すと、あからさまにしゅんと力をなくす甘衣。
俺は上半身だけ起き上がり、彼女の肩に布団をかけると、彼女の頭を撫でた。
「なにが言いたいの?」
「服を着ろ」
「うっ」
「なにも、子供をつくらないって言ってるんじゃないよ。俺はまだ早いんじゃないかって思う、って事」
「まだ、って、ならいつ?」
「少なくともあと1年くらいは欲しいかな」
これでも、俺の中ではだいぶ譲歩したのである。
「長いよ!!長すぎる!!その間私は何をしたらいいの?!」
「する事は色々あるけど、子供を育てるための環境整備とか……それは置いて置いても、やる事はあるよ」
「何?!」
ピリピリしているなぁ、甘衣。そんなに子供が欲しいのか。まぁ、朝1番に裸で起こしてくるくらいだしなぁ。
「2人の時間を楽しめばいい。子供ができるって事は、すなわち2人だけの時間はしばらくなくなるって事なんだから」
「!!!」
どうやら、それは盲点だったようだ。口に手をあてて驚いている。
「ふ、ふっ、2人だけの、時間が、なくなる……」
「いや、子供が独り立ちすれば、そう、老後とか?ならまたゆっくりと」
「そんな!老後なんて時雨きっと疲れて何もしてくれない!!」
「それはわからないが、2人の時間が惜しいならまだ子供は作るべきじゃないと思うけど?」
「ぐっ……時雨が正論」
「な?」
彼女は唇を噛みしめる。
「でも、子供欲しい……っ」
「幸せなジレンマなことだな」
俺はしみじみ感慨にふけった。
「悩むこっちは幸せじゃ無い!!時雨も真面目に考えて!!」
おっと、怒られてしまった。
「でも、ま」
「何?」
「なんだかんだ言っても、俺はお前が好きだし。結局はお前の意思を尊重するんだろうな」
そもそもの話で言えば、俺は結婚する気すら全くなかったのだ。しかし、結局は甘衣の意思通りに結婚してしまった。
現状に不満があったり、決して嫌なわけではない、むしろ幸せを感じている。流されているつもりはない。
俺はきっと、甘衣に甘いのだ。
「時雨……」
困ったように笑う俺に対して、甘衣は下唇を噛み締めた。
「子供はまだ先だけど…………新婚だし、理性は溶かしちゃってもいいよね?」
「へ?い、いや、今まだ……」
枕元の時計を見る。そこには、午前5時12分と表示されている。
「5時だぞ?」
「うん、知ってる。今日が終わるまでにまだ19時間もある、ねっ!」
羽毛が衝撃を伝える音を鳴らし、俺の目と鼻の先には甘衣の顔が迫る。
「……あ、甘衣、さん?」
「ふふ、私の理性、美味しく食べてね?」
ペロリと舌なめずりをする甘衣。
「い、いやちょっ……」
「時雨のうざったい理性も、私が食べちゃうね?」
「心の準備ができてな」
「いっただっきま〜〜す!!」
迫り来る甘衣を見て、俺は諦める。
戸瀬時雨、23歳。今の結婚生活に幸せを感じている。
これは前回述べたとっておきのものではありません。ストックです。だいぶ前から出そうか迷っていたものを出しました。
迷っていた理由は、あまりに内容が他の話と被るからです。
間隔が狭まらないように頑張ります!!
感想、評価、ブックマークありがとうございます!!
気に入っていただけると嬉しいですが、やはりこれは私の趣味ですので、個人的価値観ですので、それを皆様に押し付ける気はさらさらありません。
ただ、なんとなくこれは晒した方が皆様のためなのでは?と自分で読んでいて思ったので、小説家になろうへ投稿しています。
長くなりましたが、言いたいのは、「読んで頂いて本当にありがとうございます!!!」という事です。
ありがとうございます!!




