美の価値観が違う世界 舞・留姫
あの、すいません。始めに言っておきます。いつも通りかもしれませんが……今回は酷いです!!わろしな感じです。けふのさきほど書いたのですが、いや、笑っちゃいますね。
あの、マジレスはしないで、ただ笑って頂けると嬉しいです!「なにこれ〜〜?!ぐちゃぐちゃなんだけど〜〜!」と。わざとではありませんがわざとやっていると思って頂けるとありがたいです。
本当はここに投稿するものとは全く関係ないものを作っていたはずなんですが……気づいたら投稿できるものが出来上がっていました良ければ読んでください。
第1巻 序章 〜〜2人の出会い〜〜
現代で平安顔と言われ続けていた少年、舞。
「時代が違えばモテてたのにね〜〜」
「平安時代ならイケメン的な?」
「超ウケる〜〜」
そう言われる事に飽きた舞は、現代からタイムスリップをする
平安時代、ある少女は不細工と言われ続けており、舞はそんな彼女に一目惚れをする。
「そんな、私が可愛い?お歯黒も白粉もしてませんよ?」
「いや、君、僕の世界だったらすごく可愛いよ!アイドルになれたと思う!」
「あ、あいどる?申し訳ありません……なにぶん学がありませんから」
「えっと……女性版歌舞伎、というか、役者、かな?」
「役者さんですか?男前だからって、不細工をからかうのはよしてください。私なんて……」
「いや、いやいや、男前?いや、誰が?」
「誰って、あなた様ですよ?お言われになるでしょう?」
「あ〜〜、まぁ平安顔とは言われるよね、うん」
「平安の世ですから……当たり前では?」
「……僕、未来から来たんだよね」
「未来、ですか?お戯れ……にしては、そのお召し物は……東洋のもの、でしょうか?」
「あはは、これは未来の日本……って、そっか。大和国?というか、ええっと、まぁ1500年くらい後の、寺子屋……はまだないか。えっと、勉学を教えてくれるところ、かな」
「勉学を………ッ!無礼をお許しください!!」
「や、やめてよ!だから、未来から来たんだって!未来じゃ身分差なんてほとんど無くなってるんだよ!僕は一般人!!君と同じ……かはわからないけど普通の人!」
「お戯れでは……」
「ないから!ほら、これ見てよ」
制服のポケットからスマートフォンを取り出して見せる舞。
「これは……光っております!!」
「スマホって言うんだ。未来の、僕くらいの歳の子は基本的にみんな持ってるかな。えーっと、基地局がある向こうだと電話、遠くにいる人と話せたり、地図が見れたり、ゲーム、えっと、遊び道具が入っていたり。動画……えっと、動く絵?も見れるかな」
「はぁ……本当でらしたのですね」
「僕、仙道舞。16歳。君は?」
「私は東堂留姫です。数えで18です」
「げっ、2つ年上……ごめんなさい……って、数えなら、17歳か。やば、それでも歳上……」
「言葉遣いなどお気になさらず。殿方に無礼な言葉など言えません……」
「え、そ、そういう世界観なの?ここは」
「世界観?風習の事ですか?そうですが……」
虐げられる少女、留姫とタイムスリップした少年、舞。この2人の出会いが、やがて世界を救う事となる。
ーーー
第9章 〜〜2人の結婚〜〜
時代改変により人類を滅ぼそうとするタイムスリッパーを2人の力で倒し、新たな新政府を作り上げた2人。しかし、英雄である2人も、恋には奥手だった。
「ごめん、やっぱり交際はできない……」
「そんな、留姫の事がお嫌いになられたのですか?!」
「いや、そうじゃない。それはむしろ逆だよ。留姫さんはいつも魅力的だよ。とても惹かれる」
「でしたらなぜ……」
「そんなに好きな人の相手が、僕みたいな不細工じゃ可哀想だよ」
「不細工だなんて……私はとても男前だと思います!!どの役者にも引けをとりません!!いえ、一番です!!」
「それは、この世界では、でしょ?僕の世界にいたら、君はとても人気があったはずだよ。僕なんて目じゃないよ……」
「私の世界は平安です!!未来なんて知りません!!あなた様に捨てられたら、私はもう、一生独り身で死んでいくしかありません!!後生ですから……」
「君を僕の世界に連れていければ、きっと僕よりも良い人を見つけられ」
「私が好きになったのはあなたです!!舞様なのです!!他の方などと、簡単におっしゃらないでくださいまし!!」
「……留姫さん。でも、」
「私は、とても醜い自分が嫌いでした!!しかし、あなた様は、舞様は、私が綺麗だと、可愛いと、そうおっしゃってくださいました!!嬉しかった、とても、嬉しかったのです!!私は、あなたのためならば、死ぬ事すら厭いません!!」
「そんな、死ぬなんて……僕なんかのために、ダメだよ…………」
「いいえ、一緒になってくださらないのでしたら、私は心中します!!」
「心中って……」
「狂言や戯れではありません!私は!!それだけの覚悟を……いえ、今お決めになってください!!私とあの崖から飛び降りるのか!!一緒になってくださるのか!!」
「いっ……そ、それは……ずるいよ、そんな言い方」
「ずるくて結構!!卑怯でもしなければあなた様のような殿方に相手にはして頂けません!!はなから、舞様を他の女子と分け合うつもりなどないのです!!」
「……ごめんなさい、やっぱりダメだよ」
「ッ……」
「僕なんかじゃ……」
「お覚悟を!!」
舞めがけて、崖の上を走り出す留姫。その目は海と舞を見据えている。
「そ、そんな、本気で……?!」
冷や汗を背中で感じた彼は、逡巡し、退路を探す。
真後ろは、断崖絶壁。30メートルはあるだろう崖下では、波がぶつかり白い飛沫となる音が響く。
正面に意識を集中させたのもつかの間、舞の正面には留姫がいた。
彼女は両手を前に突き出し、そのまま走る。
「る、留姫さ……」
死ぬなら自分だけ、そう言おうとした彼は、どうしたらいいのかわからずただ立ち尽くす。
このまま留姫を避ければ、留姫のみが死に、受け止めれば、恐らくはどちらも死ぬ。
ならばーー。
せめて彼女を抱き抱え、岩肌から彼女を守れれば。彼女だけは。
そう考えた舞は、目を瞑り、留姫を抱きとめるべく手を前に出す。
「…………」
3秒と経たない内に、舞の耳に聞こえたのは、留姫の泣き声だった。
「嫌です……ぐすっ、舞様が死ぬのは嫌です……うっ、一緒にいられないのも嫌です……ぐすっ、ずっと、一緒に生きて欲しいです……生涯の伴侶として、お側に……………」
「留姫、さん……」
目を開けた舞の瞳に映るのは、自身に抱きつき、縋るようにすすり泣く留姫の姿。
舞は、自身が何の衝撃も感じなかった事から、留姫が足を緩めて自分に抱きついたのだと理解した。
「心中っていうのは……」
舞の胸には、安堵と疑問が渦を巻く。
「私は、留姫めは、性悪女です……嘘を、つきました……ぐすっ、舞様を殺すなど、到底できるはずがありません……ううっ、私は、こう言えば舞様が呑んでくれると、もう、どうしようもなかったのです…………申し訳ありません……」
「ダメだよ、これでもしも2人とも死んじゃったら、それこそ意味がないじゃないか」
「許しは乞いません。人を殺そうとしたのです、人様に見せられる顔がありません」
一度だけ、きつく抱擁をした彼女は、舞の身体から離れて崖の向こうへと行こうとする。
「……舞様、離してくださいまし」
彼女のその手を、舞は掴む。強くその手を握りしめると、強く言った。
「君が死んでも、誰も喜ばないよ」
「しかし、もう、私は……」
「全ての世界の人々が、君を疎ましく思おうが、醜いと思おうが僕には関係ない。僕は君を好きだし、いや、好きじゃあないな」
いいところで言葉を切ってしまう舞に、やはり自分はもう終わりなのだと俯く留姫。
それに対して、少し頬を赤くし、何度か空を眺めた後、大きく息を吸う舞。
「愛している」
「……え?」
一瞬耳を疑い、徐々に染み込んできた言葉を、自身の妄想では、とやはり疑う留姫。
半信半疑のその顔には、しかし先程の絶望はなく、舞を見つめた。
「僕、仙道舞は、東堂留姫を愛している」
「愛……?あい、して?」
「そう、だから……えっと、」
言葉に詰まる舞。
目を丸くする留姫。
「もう一度、言ってくださいまし」
「え、もう一度?いや、恥ずかしいし……」
「やはり幻聴でしたか……死ぬしかありません」
潤んだその目を見て、不安げな顔を見て、舞はいま大事なことは自身の羞恥心の赴くままにする事ではないと判断した。
「愛している」
「もう一度。よく聞こえませんでした」
「愛してます」
「誰が誰を?」
「……留姫さん?」
留姫を見た舞は思わず面食らう。
笑いをこらえるのに精一杯という具合にきつく結ばれた口元、赤く染まり切った頬。これでもかというほど八の字に曲がっていた眉はどこへ行ったのか、自身の気持ちを精一杯に表現しようと楽しげに踊る。
「留姫さん、今までのが演技だったとかないよね?」
「よく聞こえませんでした。あぁ、心無い事を言われて留姫は死んでしまうかもしれません。愛してるともう一度仰って?」
いや、聞こえていたんじゃないか、と、やはりというか、わかっていた事ではあるが、少し呆れる舞。
「愛し」
「もっと大きな声で聞きたいわ!聞けたらきっと、留姫は大喜びします、嬉しさで涙を零すことでしょう」
わざとらしく手振りをしてまで、留姫は舞におねだりをする。
一度目元に手を当てた舞は、不敵に笑うと、大きく息を吸い込む。
「愛してます!!僕は!!あなたを!!ずっと!永遠に!永遠に!愛し続けます!!」
肺にあった空気を全て、勢いよく吐き終えた舞。
留姫の口元は堪え切れなくなり、にんまりと弧を描く。
「私も誓います、永遠に、永遠にあなたを愛し続けます」
手短にそう言うと、留姫は素早く舞の背中に手を回す。
決して逃さないように、と強く抱きしめられた反動で近づいた2人の唇。
笑顔のまま、留姫は舞の唇を奪う。
無言の会話をした後、名残惜しそうに唇を離すと、留姫は笑った。
「びっくりしたよ!」
「嫌でしたか?」
背中に回した手はそのままに、留姫は笑う。
「嫌じゃ、ないけどさ」
「ならいいじゃありませんか」
自分の背中に回された手が離される事がない事に気付いた舞は、おそるおそる尋ねる。
「あの、離してもらえません?歩けないんだけど」
「歩いてどこへ?」
「いや、家に帰るんじゃないの?留姫さんはまだここにいたいの?正直僕はもうここは嫌なんだけど……」
なぜか冷や汗を額に感じる舞。
ニコリと微笑む留姫。
「結婚してくださると、仰ってませんよね?」
「…………愛には、人それぞれの形があるのでは?」
「私、わかった事があります」
「な、なにかな」
「舞様は、押しが弱いです」
「い、いや、でもやっぱり……」
たじろぎ、動こうとする舞だが、留姫が背中に回した手を決して離そうとしない。
それどころか、次第にギリギリと舞の身体が痛み出すほどに強く抱きしめる留姫。
「そう言うところを言っているんです。押しが弱いと言うのは」
「い、嫌なら、僕じゃなくて他の人を……」
舞が言うも、その言葉に力は無い。だんだんと留姫に対して恐怖を感じてきた舞は、目を合わせる事が出来なくなった。
「いいえ?全く嫌ではありません。魅力とさえ思います。しかし……結婚だけはなにがなんでもして頂きたいのです。花嫁装束は私の夢でしたから」
「か、仮装したらどうかなぁ……なんちゃって」
「あらあら、ならば留姫と舞様で一緒に仮装いたしましょう。後見人付きというのはどうですか?祝いの席にしましょうね?」
「いや、それ普通に結婚式じゃ」
「舞様?ここで結構すると言ってくださらないと、このままあの崖の下に飛び込む事になりますよ?」
ふと、視線を舞から逸らす留姫は、崖の下へと目を向けた。
「この時期の水泳は寒そうだね……」
背筋に寒気を感じながらも、苦し紛れの冗談を言う舞。
「そうですね。とても寒そうです。凍ってしまうかもしれません。でも、一緒なら怖くありませんね」
なにが怖く無いのだろうか、と舞は思った。
僕はあなたが怖いです、とは言いたくても言えない舞である。
「留姫さん?僕はこれでも男だ、本気を出せば君の腕なんて振り払えるんだよ?乱暴をしたくないから本気を出していないのであって」
「あら、このままでは2人とも死んでしまいますよ?それがお嫌でしたら、結婚すると言うか、私を無理矢理にでもひっぺがしたら如何です?」
ニコニコと笑う留姫。
「い、いやだから……僕が本気を出したら」
「口だけで本気を語るのは簡単ですよ?留姫めは、いつも本気ですが。このままでは、舞様に本気にさせられただけ留姫だけが損です。ですから、舞様も本気になってくださいまし?」
「…………」
何を言っても彼女に勝てる気はしない。舞がそう思うまで、そんなに時間はかからなかった。
「何をお悩みになるのです?留姫は舞様を愛しています。舞様は留姫を愛していらっしゃるのですよね?」
「え、いや、まぁ」
照れなどの感情から言い澱む舞。
「愛していらっしゃるのですよね?」
それは、側から聞けば恫喝のような声にも聞こえた事だろう。
「愛してるよ!愛してます!!そこに嘘はないって!!」
「ですよね。女子の唇まで奪っておいて、まさかそんなところに嘘があるとは考えられませんもの。でなければこのまま飛び込んでいたところでした」
「……」
笑いながら話す彼女とは裏腹に、全く冗談に聞こえない言葉である。
「留姫と舞様は相思相愛。何を悩むのです?ご自分よりも優れた殿方がいると仰りたいのでしたら、それは見当違いです」
「え?」
「私は優れた殿方ではなく、舞様を慕い申し上げているのです。舞様を愛しているのです。舞様だけを」
「留姫さん……」
「この際、舞様が実は女子であったり、人間でなかったとしても留姫は一向に構いません。もちろん、最終的には母として子を成すのが本懐ではありますし、欲を言わせていただければ、孫やその子供も見てみたいところではあります。きっと留姫と舞様の子供は可愛いんでしょうね」
誰か留姫さんを止めてくれ、と舞は思った。
「いや、僕は生物学的にも心理学的にも男だけどね」
「……殿方ならばいいんですよ。先程構わないとは申し上げましたが、留姫に嘘をついていた、という部分は大いに構いますので」
「…………男だけどね。僕は男だけれども」
「それで?」
「そ、それで、とは?」
「これ以上の潮風は、舞様のお身体に障ります。留姫を振り払われるのが先か、このまま崖から飛び降りるのか、はたまた仮装なさるのか。どれにいたしましょうか?」
留姫が笑っているのは、口元だけである。
「わかった、わかったよ!仮装、仮装します!!」
「仮装ですか、残念です」
留姫の足が、舞を引きずり海へと向かう。
「結婚!結婚します!!」
「誰と誰が?」
「僕と留姫さんが!!」
「なるほど。それはいつ頃でしょう?」
「色々落ち着いて、万全を期したら!!」
「できる限り早く、という事でよろしいですね?」
「うん、それでいいよ」
もはや、留姫の独壇場である。勝ち目はとうに無くなっていた事を知った舞は、抗う事を諦めた。
「では舞様、後悔はございませんね?」
「どの口が言うの?!ねぇどの口が仰ってるの?!」
「なんのことでしょう?」
舞が耐えきれず突っ込むと、平然ととぼける留姫。
「本当に、後悔はなさいませんね?」
ふと、舞は留姫のどこか不安げな表情に気がついた。
「留姫さん……」
「留姫は、とても嫌な女です。分かっています。脅しておきながら、後悔はないか、などと。これでは、切り捨てられてもおかしくはありませんね……」
困ったように笑う留姫。
「いいんです。舞様は、とてもお優しい方ですから。女子に乱暴をできないというのであれば、私が身を投げないように一緒になるというのならば、仰ってください。私は舞様を無理矢理自分のものにしたいとは、まぁ、…………少しは思いましたが」
「思わないでくださいまし」
「とっ、とにかく!私は舞様が拒絶してくだされば、離れる覚悟はあります!!私と結婚しても、この先で後悔なさるのならば……おやめになってください」
舞の顔色を伺う留姫。
舞は息を飲んだ。
「ただ、私が生きている限り、完全に離れることは正直できそうにありませんので……毎日長く恋文を綴りまくりますし、遠くからお姿を眺めたり…………いえ、留姫様の見えないけれど近いところからにします。あと、陰ながら舞様の愛人を殺したりくらいはするかもしれません」
「いや、全然離れる覚悟ないじゃん」
せっかくの雰囲気がぶち壊しである。
「しょうがないじゃないですか!!」
儚げにしていた表情を一変させ、駄々をこねる子供のように訴える留姫。
「こんなに好きなんですから!!愛してるんですから!!」
舞の胸に顔を埋め、必死に訴える。
「舞様は!ご自分よりも優れた殿方が留姫と恋に落ちれば留姫から手を引かれるのですか?!いとも簡単に離れられるのですか?!舞様の留姫への思いは、その程度の想いなのですか?!」
「それは……考えてなかったけど、でも、それが留姫さんのためな」
「人でなし!!」
肌と肌が激しくぶつかる音が響く。
それが留姫さんのためならば。舞が言い切る前に、留姫は舞の頰を叩く。しかし、片手は舞の背中に回したままである。
「留姫をこんなに好きにさせておいて!!愛していると留姫に言っていたじゃありませんか!!どうしてそんな事が言えるのですか!!」
「それは、だって、留姫さんのためならなんでもできるし……」
「馬鹿なんじゃないですか?!舞様は頭いいですがっ、馬鹿です!!舞様は!留姫のために、いもしないご自分よりも優れた殿方に留姫を譲るんですか!!馬鹿です!!阿呆です!!そんなの、意味不明じゃありませんか!!なんで離れ離れにならなくちゃいけないんですか!!!」
「…………」
緩く拳を握り、舞の胸を叩く留姫。その瞳からは、ぽろぽろと涙が溢れはじめる。
「留姫に相応しいのは舞様だけです!!舞様に相応しいのも留姫だけです!!留姫が好きなのは舞様だけです!!舞様が好きなのも留姫だけです!!生涯愛する者だって、留姫は舞様!舞様は留姫!だけです!!絶対です!!今決めました、ずっと昔からそう決まってるんです!!でなければ時を越えて会った意味がありません!愛し合うために会ったんです!!だから!だからぁ……ぐすっ」
「留姫さん。僕、後悔はしないよ」
「当たり前です!!なんで後悔しなくちゃいけないんですか!!答えるのが遅いんですよ!!年功序列です!!もっと年寄りをいたわってください!!いつ死んじゃうかわからないんですよ?!」
「ごめんなさい……でも僕達1歳しか違いませんよね?」
「そんな事どうでもいいので結婚してくださいぃ〜〜」
「いや、なんで泣いてるの?」
舞はしばらく留姫を宥めるのだった。
ーーー
「ねぇママ」
私はままに尋ねてみる事にした。
「なんですか?」
「私、学校の宿題を出されたの」
「はい」
金属が擦れるような、紙が擦れるような、シャーっという摩擦音が響く。
「パパとママの結婚の由来を聞いて、それを作文にするっていう、まぁそんなに難しくないはずの宿題だと思うんだけど」
「えらいですね、宿題をちゃんとやるのは」
台所から聞こえてくる褒め言葉に、私はなんとも言えない気持ちになる。
「いや、まぁ、うん。それはいいんだけどさ」
私は目の前にある辞書みたいな厚さの本10巻分を見つめる。
「私、結婚の由来を聞いただけなんだけどさ」
「あれ?本を渡しましたよね?」
ちらっと、台所からリビングにいる私を、テーブルの上にある本達を見るママ。
29歳だけど、私が思う限り、18歳でも通じると思う。しかも凶悪なのが、なんかテレビで見る人達の誰と比べてもママより整った顔の人を見たことがない。
私は本を見つめながら声を張って言う。
「読んだけどさ。これ、いや……う〜〜ん」
「なんですか?言いたいことがあるならハッキリと言ったほうがいいですよ?」
金属の擦れる音は尽きることがない。
私は神妙な面持ちになった。
「これ、小学2年生読ませる者ではないよね。人がばったばった死んでいくし、グロいし。なんか主人公がかっこいいけど……」
「でしょう?!舞様かっこいいでしょう?!わかりますか!さすが私の娘です!!えらいですよ!!あとでケーキをつくってあげましょう!!」
嬉しそうなママの声が聞こえてくる。が、やはり金属音は途切れない。
「ていうかさ、これ……ママの創作小説なんだよね?」
「はい!そうですよ!」
シャーコ、シャーコという音は気にせず、私は話を続ける。
「本当にこうだったらよかったな、っていう話です!」
「…………いや、うん、まぁね。そうじゃなきゃ困るんだけど」
「っと、出来た!ごめんなさい、ママ、ちょっと外に出てきますね!」
ふと、金属の擦れる音が止まる。
私は、台所から出てきたママを見て驚くこともなくため息をつく。
「ただいま〜」
「あっ、おかえりなさいませ、舞様〜〜!」
先程まで研いでいた包丁を背中に隠し持ちながら、ママはパパを出迎える。
「様付けはやめてっていってるじゃん、もう夫婦なんだし、せめて君づけとかさ」
「……舞、くん?」
「そうそう、それそれ」
「あぁ、ダメです!やっぱり舞様は舞様じゃないと!!」
はぁ、ラブラブなことですね。
まぁいい事なんだけどさ。
「あの、舞様?女子の匂いがしますね」
「え?ちょ、包丁?!うわ、危ない!危ないって!!うわっ!」
玄関の方から何かが空気を切る音が聞こえる。
「落ち着いて!落ち着いて!!ここは未来だよ!!平安じゃ、うわっ?!」
「問答無用!!浮気の相手が誰か白状してくださいまし!!殺します!!」
「落ち着いて!!ちが、違うから!!女の人の匂いは……ええっと、たぶん、たぶん会議!!会議してた時についたんだよ!!」
「………そうですか。席は?右側から匂いがしますが?」
「え?いや、女性社員は左側だったと思うけど」
「……本当の事みたいですね。わかりました。この包丁は料理用に研いでいただけです。まったく、この時代は本当に女子が多くて嫌になります。私の家族以外消滅してくれると嬉しいんですが」
私は耳栓買おうかな、と思いながら宿題の作文になんて書こうか考える。
やがて玄関に入ってくるパパ。
「亥瑠ちゃん、ただいま〜〜」
「おかえり、パパ」
パパとママが結婚した理由、というタイトルだけ書かれた作文用紙と、積まれたママの創作小説を見て、パパはママに聞こえないようにごめんと呟く。
「あとで一緒に考えよう」
……考える?いや、これそういうものじゃないと思うんだけど。
「まぁいいや、捏造しよう」
「ちょっと亥瑠?捏造は良くありませんよ?ちゃんと事実を書きましょう!ママも手伝いますから!!」
「い、いやちょっと留姫さん……」
「舞様?なぜうろたえるんです?まさか留姫と舞様の仲睦まじいところを知られると困る女が?」
「いや、常識的に考えてさ、本当の事書いたら明らかに趣旨と変わるから!!」
「いえ、留姫は事実を書きます!世界に私達の仲睦まじさを、らぶらぶさを伝えましょう!!広めましょう!!そして家族以外の女を排除しましょう!!」
「いや、これは亥瑠ちゃんの宿題だから。ね?留姫さんはいつも通り日記か何かに書けばいいんじゃない?」
うわ、なんかママが言い出した。
あれ、なんかパパがこっち見て言ってる。
「ごめん、あとでパパが考えるから、作文用紙を死守して!下書きしてから書くとか言って、ノート10冊くらい用意して!!」
「……そんなに書きたくないんだけど」
「あとで欲しいもの買ってあげるから」
「…………普通のパパとママ」
「善処します」
私はクスリと笑うと、パパを見た。
「狂言だよ」
「……」
パパの笑いが少しぎこちなくなったが、私は気に留めなかった。
「ママ、この本でママの創作小説なんだよね?」
「そうですよ?」
もうここまで来たのなら、嘘半分という事で知っておけば、損はないだろう。
「どのへんが創作なの?」
「舞様の……っと、パパの見た目の話ですよ。見ればわかるでしょう?」
「うん。まぁ、パパは普通にイケメンだもんね」
ママもママだが、パパもパパでとても綺麗な顔立ちをしている。これまたママと同じくこれ以上を見た事がない。
「普通に、はいらないですよ?撤回してください」
うわ、ママがキレた……怖〜〜。
「すごくイケメンだよね、パパって。私大好き」
「そうでしょうそうでしょう!いいですよね〜〜舞様!」
見た目、って事は……ママの創作小説に出てくる平安時代でモテたとかいう舞様は存在しなくて、実際は超イケメンの非の打ち所がないパパだった、って事?だよね、どう考えても。
「違うからね、亥瑠ちゃん。全然違うから」
パパがナナメ45度を見て口笛を吹き、何か言っていたけれど、私は無視をした。
早めの反抗期かもしれない。
それから、家族3人での食事を終え、私はみっちりと3時間ママに付き合った。
それから、パパと一緒に作文の内容をどう捏造するか考えた。
が、私は終始ママを止めてくれなかったことに対しての文句を言っていた。
「崖の上での事が……ゴホッ、ゴホッゴホッ、風邪かなぁ?えっと……なんだっけ?そうそう、昔のトラウマがあってね、ママには逆らえないんだよね。ごめんね、亥瑠ちゃん。頑張ってママより強くなってね」
なんで困ったように笑いながら言われた際には、んだとお前ふざけんなよ、と殴りかかろうかと思ったが、さすがにやめた。が、顔に出ていたのだろうか。
「亥瑠ちゃんならママに勝てるかもしれない……この宇宙唯一の可能性だよ!!…………それ、好きな子にそのまんまその気持ちぶつけちゃわないように気をつけてね?」
と言われた。
好きな子にぶつける?ママじゃあるまいし。
まぁでも、ちょっと想像してみた。好きな相手が手に入らない時。うーーん、少し手荒な手に出るかもしれない。いや、暴力はしない。平安時代じゃあるまいし。
「外堀から固めて吊り橋効果を狙いつつ勘違いしてるうちに本気にさせる、かな。ママみたいに力に訴えたりはしないから」
「……ママの子だね〜〜。パパ、すでにお婿さんと気があう気がするよ〜〜」
少し複雑そうに言われたのが癪に触ったので、捏造した“普通のいい家族”の作文用紙の裏に、近々私は家出するかもしれません、とパパの目の前で書いた。
パパは私に謝った。私は優しいのでこの場限りは許してあげる事にした。
それから、なんとか期日内に作文を提出した。
その日の放課後、先生に呼び出された。
少し深刻そうな顔つきで、先生は私に言った。
「亥瑠ちゃん?作文を見る限り、いいご家族だと思うけれど……何か不満があるなら、ご両親と話し合うのよ?」
「はい、まぁ、そうですね」
解せなかったが、私はそれっぽく見えるように頷く。
「大体、家出って、このご時世どこへ行くつもりだったの?」
「……」
先生の目をじっと見ながら、私はニヤリと笑った。
「平安時代、とか?」
さぁ、私はどんな恋愛をするのだろうか。少し楽しみかも、しれない。
ものすごく間が空きました!!期待されていた方、申し訳ありません!!同じような読み味。終わり方という事に囚われてしまい、同じようなものをいくつも生成してしまいました………しかし、1つだけ(全く手付かずですが(わろし))面白そうな構図の話があるので乞うご期待!!
後書きだけで痛々しいですね〜〜。まぁ私はその全てを超越せし者を目指していますので。
まぁ、面白いと思った方はこれからもよろしくお願いしますね〜〜!ニャンニャン!!猫2人分と暮らしています。
誤字脱字多くて申し訳ありません!!直す気力がありません!!やる気がありません!!どうしようもありません!!
ふざけすぎましたのでいつか気が向いたら真面目に治したいと思います。というか、同じ事が起きないようにしなければ意味があまりないですね……!
あ、読んで頂きありがとうございました!!




