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1ノ5
「なあ勇者の兄貴!今日も宴を楽しもうぜ!」
「ううっ。い、痛いよ!」
人混みのせいで少年が押し潰されそうになって、苦しんでいる。
「おい!ちょっとそこのあんたら、どいてくれ!危ないだろ!」
少年の表情を見てつい怒鳴ってしまったが、周りの人もすぐに察して対応してくれた。
「おい、大丈夫か」
「あ、うん。ちょっと痛かったけど」
「お前、俺の弟子になりたいって言っていただろ?けれど、お前を弟子にして面倒を見ることはできない」
「え!そ、そっか。ごめんなさい」
ただ、こんな俺の弟子にしてほしいと申し出たやつは、こいつが初めてだった。
「だからお前には。ほれ、こいつをやる」
鞘に納められた小太刀を投げる。
「え!でもこれって?」