始まりの終わり?
ゲームで例えると、ストーリークリア後のイベントやDLCからまた旅を始めて楽しんでいく、といった物語です。
もちろん今まで出会ってきた仲間や敵も登場します!
主人公は現実に帰ることができるのか・・・一応、頭の中に放り込んでおいてください。m(__)m
俺たちの長い冒険に、ついに終止符が打たれた。
これまで何度も挫折し、この手が地に着いては仲間に支えられ、俺は何度も立ち上がってきた。
腕を失くし、剣を持つことができないこともあった。自分の力を過信して洞窟に入り、迷った挙句に利き腕を肩ごと噛みちぎられた。
出会ってからそいつは、親友となった。何事でも、こんな俺の相談に乗ってくれてどんな時でも頼りになった。
しかしそばにいて欲しい時に、隣にはもう、いなかった。俺を助けるために、あいつは命をかけて大罪の大魔女を討ち取ってくれた。
村で殴り合いを止めようとしたが、誤解を招いて悪者扱いされ、村人たちから暗殺されかけたこともあった。
すると勘違いをしたにも関わらず、村で厄介者にされている人が俺を匿ってくれたときは、自分が情けなくなり、純粋な優しさに気付かされることもあった。
仲間だと思っていた奴に裏切られ、武器と金が全部なくなったことも。けれど、翌日に戻って泣きながら謝られ、理由を知ると俺は自分を抑えて許し、彼女とは深く打ち解けた。
そして彼女とは、一生忘れられない関係になったことも、あった。
まだまだ語り足りない数多の冒険の思い出が、頭の中で鮮明に、一斉に蘇る。
今までの思い出が自身を作ってきたことを、今まで数えきれないほど出会ってきた仲間が、見えない力で自分を支えてくれていたことを。
本当に今の俺には、感謝の言葉しか見当たらない。
今までの冒険の全てに幸せを感じた俺は、柄にもなく、涙が零れた。
それなのに。
「なのに・・・なんで現実世界に戻らないんだああああぁぁぁぁ!!!!」
魔王討伐を終えて笑顔を取り戻し、祝祭のパレードが開かれているこの町の隅で、俺は絶叫した。