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08 スキルの確認

 アルタインの街の南東には森が広がっている。

 ダンジョン化していない普通の森である。

 俺は、南門から街を出ると南東の森へと向かった。

 敢えて『初心者の森』でなくて、そちらを選んだのだ。

 『初心者の森』で一昨日、4時間以上やって全然経験値が得られなかった事が、頭によぎったのだ。

「ステータスオープン」

 俺は、ステータスを起動して『探索』をタッチしてみる。だが反応は無い。

 どうやら、探索スキルは、こうやって使うのではない様である。

 高等部の授業で習うまで待つしかないだろうか…すぐ試してみたかったが少し期待外れである。

 とりあえず今は魔物を探さないといけないな。

 弓のスキルを試すには獲物が必要である。

 俺はステータスを閉じると森の中に足を進めた。

 まずは、一角ウサギでも探そう。確かこの辺りに生息していたはずである。

 ダンジョンのモンスターとは違う野生のモンスターが…。

 なんとなく、向こうの方に獲物がいそうである。

 完全に直観であるが…。

 が、もしかしたら探索スキルが発動してそう思っているのかもしれない。と思い森の奥へと足を進めた。


 15分くらい進み結局、移動した先にいたのは、大きなイノシシであった。

 2メートル越えの大物で、動物ではなく、立派な魔物に属する大イノシシである。大イノシシは30メート程の距離だが、こちらには気づいている様子はない。

 一角ウサギよりかなり危険な魔物であるが、せっかく見つけたのだから狩っておきたい。

 準備なしに、鉢合わせした場合は、かなり危険な相手だが、準備をしっかりして挑めばソロでも勝てるはずの相手である。

 スキルも得たことだし…。

 もちろん、慣れていない弓矢だけで倒せるとは思えないので、ロングソードも用意しておく。

 スキルは無くても、接近戦になった場合は、慣れた武器の方が強いはずである。

 学園の授業で一通りの武器の扱いは習っている。が、実戦で弓矢を使うのは初めてであり、接近された場合の処理など出来るはずもない。

 とりあえず、落ち着いて、一射目を当てれば、この木を壁にして戦えばよい。

 俺は、気づかれないようにそっと大木の影に移動し、矢を番えて弓を構えた。

 俺は深く静かに息を吐きながら、顔の横で弓を引き絞る。


 ビュン!


 顔の横を風が通り過ぎ、矢が大イノシシの脇腹に見事に刺さった。

 大イノシシは一瞬よろけたが、体制を立て直して、その巨体をこちらに向ける。

「やっぱな…」

 俺は、さすがに二射目を準備する余裕はなく、弓を諦めてロングソードを抜いた。


 ドドドド…!


 大イノシシは、俺に狙いを定めて、突進をしてくる。はっきり言って2メートルの巨体は恐怖である…。

 俺は大木を盾にして、うまく左に回転する。

 大イノシシは、大木をかわすようにカーブを描きながら、俺に向かって突進してきた。

 俺はぎりぎりでかわして、右側を駆け抜ける大イノシシの脇にロングソードを突き刺した。


 グサ!

 …ドドドーン!!!

 ロングソードは、相手の勢いもあってか、予想以上に大イノシシに食い込み。そして肉をえぐり取っていた。

 大イノシシは、勢いのまま左に逸れて転倒しながら、近くの大木に突っ込んで止まって動かなくなる…・

 勝った…?

 ここで油断するわけにはいかない。

 大イノシシの生命力はとても強く、多少ダメージを受けても、何度も立ち上がるのである。

 昔、パーティーを組んで、大イノシシとは戦ったことがあった。あの時は、何度、剣を刺しても倒れず、かなりの長期戦になった。

 俺は念のため注意深く接近し、横たわる大イノシシにもう一度ロングソードを突き立てた。

 が、反応はない。完全に大イノシシは絶命している様である。

 俺、強くなってるじゃん…。

 パーティーでもなかなか倒しきれない大イノシシを、ソロで弓矢とロングソードでの2撃で瞬殺できたのである。

 女神さまの祝福を貰った為とはいえ、出来過ぎである…。


 さて、どうしたものか?

 目に前には、動かなくなった大イノシシの巨体が横たわっている。

 ここの大イノシシは、ダンジョンに作り出されたモンスターでない為、魔石にはならないのだ。

 倒された後、魔石になるのは、ダンジョンに作りだされた魔物だけである。

 ダンジョン内には、野生の魔物も入り込んだりするので、ダンジョンモンスターと野生の魔物が両方いる場合がある。

 一方、この普通の森には、ダンジョンモンスターは出てこないので、普通の魔物しかいない。必然とこの森にいるのは、魔石にならないモンスターだけになる。

 ちなみに、ダンジョンには、一角ウサギや大イノシシの様に実際にいる魔物を複製したモンスターも多い。

 これはもう使えないな…

 俺は、大イノシシの下敷きになり折れた矢を諦める。

「ステータスオープン」

 …おおお、レベルが16に上がっている。


 エルク 15歳 Lv16 next1,578EXP

 HP S MP C

 力S 体力A 器用S 速さA 知力B 精神力A 魔力C

 祝福 弓(C)

 探索(C)

 異空間袋(C)

 .


 異空間袋を出そうと思いステータスを開いたのだが、そこでレベルが上がっていることに気づく…。

 くらー…

 その瞬間、立ち眩みがして俺は大木に寄りかかる。

 レベルが上がったことに興奮したせいだろうか、昨日からの疲れの為だろうか…一瞬、力が抜けてしまった。

 まあ、10秒ほど気に寄りかかっていたら、立ち眩みもなくなった。

 さて…。

 俺は異空間袋を起動する…これ入るかな…?

 かなり重さがありそうである。しかも血とか…袋に入れたらどうなるのだろうか?

 俺は、布を地面に引いて大イノシシを何とか転がして上に移動させる。

 そして異空間袋の入り口を広げて、なんとか大イノシシを穴の異空間の穴の中に押し込んでいく。

 全部入ったところで異空間袋をそのまま閉じると、ちゃんと大イノシシは消えていた。

 すごい、便利である。あの大きさと重さでは大イノシシを運ぶには通常4、5人くらい必要だったであろう。これなら色々、楽ができそうである

 あとは、寮から持ち出したものが血で汚れていないことを祈るのみである。

 俺は、まだ早いが、パーティーへ行かないといけないので、町へと戻ろうと歩き出した。

 大みそかの夜に比べて、順調にレベルも上がったし気分は良かった。


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