④ 幕間
「がーごーzzz…ぐーzzz…」
「長老様、長老様。女神様。ずーっと寝たままですけど。大丈夫なんですかね…?」
北方の高地、人があまり来ない山の頂上付近の大きな穴の中の部屋を覗くように、白い竜と小型の翼竜がいた。
「クロ様は、きっと、久々の顕現でお疲れなのじゃよ」
「そうなんですかねぇ。ボクには、お酒の飲みすぎで泥酔しているだけにしか見えないですヨ。本当にあれで女神様なんですかねぇ」
「フェルよ。滅多なことを言う者じゃない。クロ様はあれでいて地獄耳…」
「大丈夫ですよ。長老様。女神様ここ数日寝たきりで全く起きないじゃないですか」
そう言いながら、フェアリードラゴンのフェルは部屋の中を覗く。
「ぐぐぅzzz…酒持ってこぃzzz」
部屋の中央にあるベッドの上では、クマ柄のパジャマ姿の黒髪の少女が、布団の上で大の字で寝ていた。
「フェルよ。クロ様たち女神さまの力を侮ってはだめじゃ。この世界を支えているのは女神さまなのじゃからな」
「でも、それは白の女神さまの話なんじゃ?クロ様なんて、ボク。この間まで全く知らなかったですヨ」
「シロ様は有名じゃからな。ただ、わしが小さい頃は、クロ様の神殿も多く。かなりの数の信者もいたんじゃよ」
「あんな飲んだくれの女神の信者なんて…ボクだったら願い下げですヨ」
「これ!そういうことを言うんじゃない。ああ見えてクロ様はすごい力をお持ちなんじゃよ」
「ホントですかねぇ?」
「ホントですよ」
ビク!
女性の声が、穴の中に響き渡った。
「あわわ…ごめんなさい。ごめんなさい」
フェルは、地面に伏せ、両方の翼で頭を抱えた。
「どうしたのですか?」
いつの間にか、ベッドから抜け出したクマ柄のパジャマ姿の少女は、フェルの近くまで来て不思議そうフェルを見た。
その少女の寝ぐせのついた髪の毛の色は、白かった。
「もしかして…シロ様なのですか?」
「ええ。ポチ。久しぶりです」
「え?シロ様?」
「ええ。フェルでしたか?初めまして」
フェルは、顔を上げて、翼で汗を拭いた。
「早速ですがポチ。姉様に『アストリアの地下に大きなダンジョンが建設されている』と言っていましたね」
「はい。人間たちは、お互いに牽制しあっていて、全くその事実に気付いておりません」
「わかりました。それでは、周辺の国の巫女たちに信託を出しておきますね…」
「シロ様、助かります…。配下の者を人間たちの手助けできるように派遣しておきます」
「ええ。お願いしますね…私は、姉様の意識が途切れた時しか顕現できませんので…」
「じゃあ。永遠に泥酔させておけばどうですかねぇ?」
「これ!フェル!」
「うふふ。フェルは、なかなか面白いこと言うのですね…」
「でも、わたしはお酒を飲めませんので…それに…力を使うと当分顕現できません…」
「そうなのですか。いい考えだと思ったのに」
「うふふ。では、信託を済ませますので…姉の事をよろしく頼みますね」
少女は、ベッドに腰かける。
「あ、シロ様。少しお待ちください。アストリアの他にも、アルタインという街の…」
バタッと後ろに倒れた少女の髪の毛は黒くなっていた。
「zzz…もう飲めないよ~」




