③ 幕間
「やっぱり、お肉はこのサイズになって食べないとね。食感が全然違うのよ。全然!」
北方の高地、人があまり来ない山の頂上付近の大きな穴の中に白い竜と制服を着た黒髪の少女はいた。
「あの…クロ様、大丈夫なのですか…?」
「何がよ。大丈夫に決まってるじゃない!」
「…はぁ。その、人のサイズになると…召喚主への負担が大きくなるのではないかと…」
「なに。そんな事心配してたの?ポチったら。そんなデカイ図体して、シロ並みに心配性なのね」
「まあ…クロ様の召喚主が、衰弱死して…クロ様が、また強制送還されるんじゃないかって心配してるんですよ…」
「だーかーらー。大丈夫って言ったでしょー。あのお子様は、ステータス値だけは立派なんだから、せいぜい、眩暈がするとか悪夢を見るとか、その程度よ!」
「…そういうものなのですか…?」
「そんなの私が知るわけないじゃない!きっとその程度ってことよ。例えよ。例え!」
「…」
「それより、ポチさー。何か忘れてないー?」
黒髪の少女は、白い竜をじーっと見る。白い竜は、ぴくっと、一瞬、震えた。
「!」
「ほら、あれよあれ」
「あれですか…その、もう少し考える時間を頂ければ…」
「何、のんきな事言ってるのよ!考えている暇があったら持ってきなさいよ!わーたーしは、喉がかわいたのよー。食事にはあれがつきものでしょー!」
「ああ。あれですか!」
「そう。おサケよ。おサケ!」
「あーそうですね。なんか既に酔っ払いみたいだったので、すっかり忘れてました。すぐ、配下の者に用意させます」
「急ぎなさいよ~。おつまみもヨロシクね~」
しばしの沈黙。
「…そうね~おサケが来るまで暇だから、ポチなんか面白い話してよ」
「面白い話ですか…そうですね…実を言うと、8年ほど前に、アストリアと言う国が魔王に滅ぼされまして、今、その地下に大きなダンジョンが建設されているんですよ」
「ふ~ん。それは大変ね~アストリアって言うと、シロの使徒が王様をやってたところだよね~?」
「そうです…。12英雄の一人が作った国です」
「やっぱね~どこかで聞いたことあると思ったんだぁ。で、それでどうしたの?」
「それでですね。人間達は未だにそのダンジョン建設の事実に気付いて無くて、全く、攻略隊を出さないんですよ」
「ふ~ん」
「このままでは、次の接触の時、大変な事になると思いませんか?クロ様」
「う~ん。わたしに聞かれても困るよー」
「そうですか、ですが、ぜひクロ様には、シロ様の代わりに人間達に信託を与えて頂ければと…」
「ムリ。ムリに決まってるじゃない。わたしがシロのマネなんかできると思う?『わたしは、シロの女神です。今は世界の危機です。すべての人が力を合わせて立ち上がらなくてはなりません』みたいな、恥ずかしい事言わなきゃいけないのよ!ぜーったい。ムリ」
「…結構。似てましたよ…」
「まあ。そりゃ。一応、私たちアレだしね…」
「そうですね。お二人はアレですからね…」
「…それはそうと…今の話のドコが面白い話なのよ~!オチもないし。ポチ。あなたシッペよ。シッペ」
「シ、シッペって、普通のシッペですか…?」
「シッペはシッペよ。威力は、まあポチなら、腕太いから複雑骨折で済むと思うわ。フフフ」
「そ、それは危険そうです…。あ、お酒が来たようです。ぜひあの樽ごとグビグビといって、忘れちゃって下さい」
「やっと来たわね。そうだ、わたし。久しぶりのお酒だから眠くなっちゃうかもしれないから、部屋とベッドも用意しといてね~」
「ホッ。かしこまりました。部屋とベッドをご用意させていただきます」
「あ、〆のラーメンとデザートも用意しておくのよ」
「〆ですか…」
「全く、ポチは長生きしているんだから、もう少し、気配りと言うものを覚えたほうが良いわよ!気配りは大事なんだからね。わたしに、いちいち、欲しいものを言わせるのは気配りが足りないってことだからね。プンスカプンスカ…あら、このおサケおいしい…」




