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09 学園長室に御呼ばれする

 思っていたより早く、3時くらいに街の南門へ戻ることができた。

 まずは、冒険者ギルドに行って、大イノシシを買い取ってもらおうと思う。

 魔物の毛皮や肉は売れるので、まとめて冒険者ギルドで買い取ってくれるのだ。


「エルクさん。学園長がお呼びです。一度学園に戻って来てほしいとのことです」

 突然、街の門番のおじさんが俺にそう言ってきた。

 学園の授業の一環で、冒険者として街の外でのクエストをこなしている俺達は、門番とも顔見知りだ。40代のその男はマルクスと言い昼間の時間帯に門番をしていることが多い。

「そうですか…今から戻ります」

 俺は、門番のマルクスさんにそう答える。

 いったい、学園長が何の用であろうか…?

 Sランク以上のスキルを貰えた人は必ず今日職員室に顔を出すことになっていたはずだが…他の学生は学園に顔を出す必要は無かったはずである…。

 学園長は、俺のスキルが悪かった事を、教会から報告を受けているはずである。

 もしかしたら、その事に関して何か言われるのかもしれない…。

 それを考えると気が重くなる…。


「エルク先輩ですよね。学園長から呼び出しがかかってましたよ」

 学園に向かって北に歩いていると、今度は、顔見知りの後輩にそう声をかけられる。

 名前までは知らないけど…。

 どんだけ俺を探してるんだか…。

「わかったよ。ありがとう」

 俺は後輩に苦笑しながら答えて、再び学園に向かう。


「エルクさんですよね…?」

 今度は、女性である。やはり、その顔はどこかで見たことがある気がする。私服姿なのであまり思い出せないが、学園の関係者だろう。

「わかりました。今から学園長の所に行きます」

 俺は、そう女性に行うと、素早く女性の横を通り抜けて学園へと向かった。

 どんだけ重大な要件なんだろうか?


「エルクさん。学園長が学園長室まで来てほしいとのことです」

 今度は、学園の門の所で守衛さんに言われる…。

 今から、行きます…。

「わかりました…」

 俺は、その足で急いで学園長室へと向かった。これ以上、同じことを言われるのはうんざりである。


 学園長室は、職員室の更に奥にある。そこで行き止まりになっているので、掃除の時か学園長に用がある人しかここまでは来ない。

 俺も、ここに学園長室があるのは知っていたが、今まで一度も入った事が無い。

 俺は、緊張しながらドアをノックした。

「はい」

 ノックの音を聞いてか、中から女性が顔を出す。学園長の秘書の様な仕事をしている神官の女性である。

 名前は、マリアさんだっただろうか。

「エルクさん。来てくださったんですね。少々お待ちくださいね」

 そりゃ、あれだけ色々な人に言われたので来ないわけには行かないだろう…

 彼女は控室に俺を案内して、奥の部屋へと向かった。


「どうぞ。お入りください」

 しばらくすると、彼女はドアを開けて奥の部屋へと招き入れてくれる。

「失礼します」

 俺は、そう挨拶をして中に入る。ダークブラウンの家具で統一された学園長室の机の奥で、イスに座って白髪と白髭を長く伸ばした老人が俺を待っていた。

 机の前にはいすが置いてある。

「エルク君。まずは掛けたまえ」

 俺は「失礼します」ともう一度言いイスに座った。

 学園長フランドール。この学園のラスボスである。元々、何十年も前、国を救ったという冒険者のパーティーの一人…英雄であるという。

 いまやすっかり年老いていたが、その威圧感は学園長の肩書もあって半端ない。俺にとっては、大イノシシ以上に厄介な相手である…。

「君のスキルを見せてもらった」

 フランドールはためるにためて言葉を出す。

「中等部での成績が優秀だったために、残念でならんよ…」

 俺もそう思う…自慢じゃないが、中等部では常に上位の方であったと自負している…。

「ただスキルの良し悪しはそう問題ではないのだ…Cランクスキルだけの者はさすがにいないが、Bランクスキル1個の者もいるからな…」

「はぁ…」

 なんか今後の展開が見えてきた気がする…。

「だが…教会の上層部では、聖なる導きを受けられなかった事に関して、問題になっていてな…」

 聖なる導き…?

「ああ、君たちにはレアガチャっていう方がわかりやすいかな」

 ああ、なるほど。学園長は俺の顔を見てか補足してくれる。

 でも、レアガチャって、神官のお姉さんが言ってたんだけどな…

「そこで、言いにくいんだが、君には一度退学をしてもらう事となった」

「…退学…?」

 俺は、思わず学園長の言葉を繰り返していた…。

 だが、俺は、既に中等部を卒業している…退学とはどういう事だろうか…?

「このまま学園を退学した場合は、特定退学で中等部卒業という事で特別に違約金を課すようなことはしない」

 違約金…学園を、自主退学した際に課される借金である。

 学園は、学生が学生でいる間の費用をすべて持っている。それどころか、わずかばかりだがおこずかいも出るのである。それらの費用は、国や教会が負担していたり、学園の授業で魔物の討伐業務等を行ったりして補っている。

 そこで、学生が退学した場合等は、最初の契約で違約金を課される事になっているのだ。

 そして違約金を返済し終わるまでは、この街で働き続けなくてはならない…。

 時々、貴族や商人などの金持ちの子供は違約金を払って、他の学園に行ったりもすが、通常は、卒業までいて、その後、国や教会で働くのが普通である。

「どうするかね…?」

 学園長は、そう聞いてくる。

 ここで学園を退学するのも、けして悪い選択肢ではない気がする。

 今から、冒険者ギルドでしっかり仕事をすれば、20歳になる頃には、ランクCの冒険者になれるかもしれない…そうなれば、外国への移動も可能になり…やりたかった事が出来るかもしれない。

 だが…幼馴染にはボコボコにされるかもしれない…。

 ボコボコで済むならいいが…下手すると結果的に、借金を負担させられるかもしれない…わたしも退学するから一緒に私の借金を返しましょうなどと…

「…その…なんとかならないのでしょうか?」

 学園に留まれば、卒業と同時に冒険者ランクC相当になれるのだ。しかも、学園の行事で、国外に行く事もある。色々な面で、確実なのである。

「なに…わしも優秀な学生をただ退学させるのは忍びないと思ってな…」

 学園長はそう言葉をためた。

「高等部の入学試験を受けて合格すれば再入学を認めてやろう」

「入学試験…」

 高等部入学試験は、毎年2月に行われる。受験資格は、スキルを持つ15歳から18歳の者である。

 ただ、俺達の様な中等部からの学生は、自動的に高等部へと進学できる。

 そう自動的に…。

 だが学園長は、自動的に進学はさせないけど、他の外部からの受験生と一緒に受験して合格できたら入学させると言っているのである。

 なんか、当然のことを言われてる気がしないでもないが…。

「エルク君の能力はわかっているから、受験する場合は、一次試験は免除で二次試験からになる…どうするかな?」

「受けます」

 俺は即答したのであった。

「エルク君ならそう言うと思ったよ…」

 学園長は、そう笑った。最初からそう仕向けられていた様である…。

「では、マリア。書類を持ってきてくれ」

 マリアさんが、すぐに入学の書類一式を持ってきたのであった。


ブックマーク。評価ありがとうございます。

頑張りますのでよろしくお願いします!


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