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連邦帝国航空宇宙軍史  作者: zero
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スペースクルーザー<たかちほ>

ある程度間をおかずに投稿したいなぁ…(大嘘)

 <たかちほ>級巡洋艦は前述の状況下において計画・建造された航空宇宙軍初の本格的な航宙戦闘艦であった。同級は戦闘艦としての能力は特筆するべきものはなく、この時代としては標準的なものを最低限揃えただけであり、計画時よりさして重視されていない。

 同級の特筆すべきは初の純融合炉動力艦という点である。融合炉は、それまでの航宙船の最大の特徴にして弱点であった巨大な太陽光電池用パネルを過去のものとさせた。パネルはその脆弱性ゆえに代替となる動力が半世紀以上にわたり求められていたが、その実用化には多くの時間を必要とした。

 融合炉は代替動力としては最有力候補とされていたが、航宙艦用動力源として十分な出力を発揮可能な適度なサイズの、尚且つ一定の安全性を持った融合炉の開発に手間取り、三〇年代終盤まで実用化はされていなかったが、北崎重工・三菱重工・東芝によって開発された艦載用融合炉、いわゆる<光>シリーズの開発成功と複数搭載により一応の解決をみた。

 融合炉の主機としての搭載は、太陽光エネルギーの届かない外惑星における探査・開発において非常に有効であると同時に、艦艇が発生させうる(生命維持・航宙以外に使用される)余剰エネルギーを非常に大きなものとした。この余剰エネルギーは居住性や戦闘力の向上といった部分に充てられる。つまり航宙以外の面で大量にエネルギーを使用する戦闘艦としての採用は必然といえた。

 <たかちほ>級の質量は実に一万トンにも達し、従来型の警備艦と比較して非常に大型化していた。これはさらに拡大する領域警備のために要求されたサイズであると同時に、今後約半世紀にわたって運用することを念頭に置いた故のサイズである。現在においても予算的に厳しく制限されていた航空宇宙軍は、未来においてそれが好転するビジョンなどいくら楽観視しても描くことができなかった。それゆえに内外からの多少の雑音(というにはあまりに五月蠅い意見の数々)を無視してでも、最低半世紀は運用可能な冗長性の高い設計を求めた。

 敵対国やある種の人々に、宇宙におけるあらたな帝国主義の象徴などと徹底的に罵られながら一番艦<たかちほ>をはじめとして八隻の同型艦が二〇四〇年代後半から五〇年代前半に相次いで就役し、さらに八隻が建造中であった。

 しかし余りの拡張性および航宙性能の追及のために、非常に贅沢な船として完成した。それゆえに数をそろえることができなくなっていた。月面の植民の本格化と旧太平洋連合を中心とした国々によるL5軌道植民地群の建造により航空宇宙軍が覆うべき領域が広がりすぎていた。そのため一定の数が要求されたのである。

 そうした中で、<たかちほ>級の計画から数年を経ずして提案されたのが改<たかちほ>級巡洋艦である。

 <たかちほ>級を基本としつつそのサイズおよび質量を約八割へと縮小、融合炉を六基から四基へと減少させた改良型。いわゆる改<たかちほ>級、もしくはその仕様の一番艦の艦名を取り<ちくご>級などと称される。機動力は機関を減らしたものの、質量も減少しているためほぼ維持されている。兵装は一部近接防御兵装を除きほぼそのままとされているが、主機の数が減らされているため威力的な面では減少しているとされている。

 この改良で犠牲になったのが<たかちほ>級の特徴の一つであった惑星間航行も可能とする長距離航宙能力である。推進剤の搭載量や消耗物資の搭載量は全般として減らされており、惑星間航行は補給艦の支援を必要とした。

 また損害復旧、いわゆるダメージコントロールという面においては人件費削減を目的とした乗員の定数削減が悪影響を指摘されており、第四次世界大戦においては多くの同型艦がそれを原因として失われている。

 とはいえ近視眼的な意味では、とてつもなくすぐれた船であるようにおもわれたし、またそれは事実であった。それを裏付けるかのように二〇五〇年代だけでも二〇余隻が就役しており、日本だけでも最終的に五〇隻余りが就役している。

 また改<たかちほ>級はセールス面でも成功しており、流石に独逸のような大国は面子からも独自設計へと進んだものの、効率を重視した英国をはじめとする日本の同盟国、友好国を中心としてライセンス建造がおこなわれた。揺籃期の艦艇としては大成功といってもよい部類に入り、事実五〇年代後半以降の人類領域のほぼすべての軍港で目にすることができた。拡張性が原型と比較して低いと言われながらも、連邦帝国においてすら約半世紀にわたり運用されている。


<たかちほ>級巡洋艦 諸元(一番艦<たかちほ>就役時)

基準質量 一万一〇〇〇トン

全長 百五〇メートル

最大加速度 〇.九八G

最高到達速度 毎秒××㎞

主機関 北崎/三菱/東芝製三九年式レーザー核融合炉二三型 通称<光>型融合炉 六基

無補給航宙期間 百五〇日

兵装 二〇ミリ単装電磁投射砲 三基

   一〇ミリレーザー機銃 四基

   誘導弾垂直発射機構(VLS) 三基(計七二セル)

搭載 軌道往還輸送機 三機

備考 陸戦隊一個中隊搭載可

同型艦 <たかちほ>、<ほたか>、<ほうらい>、<ふじ>、<つるぎ>、<くろひめ>

    <しらね>、<くらま> (以上就役中)

   建造中 八隻


改<たかちほ>級/<ちくご>級巡洋艦 諸元

基準質量 八二〇〇トン

全長 百二〇メートル

最大加速度 〇.九五G

主機関 北崎/三菱/東芝製三九年式レーザー核融合炉二三型 四基

兵装 二〇ミリ単装電磁投射砲 三基

   一〇ミリレーザー機銃 四基

   誘導弾垂直発射機構(VLS) 三基(計七二セル)

備考 陸戦隊一個中隊搭載可

搭載 軌道往還輸送機 二機

同型艦 多数

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