莉央さん
あの日から数日経った今でも、
僕の頭からは天文班の事は頭に残っていた
今までは気にせずに眺めていた星たちが、
意味を持ち、星座として生きている事に
心打たれた、あそこに入りたいと思う
気持ちは強くなっていった
明日は......仮入部希望書の提出日だ
『おっはよー!』
いつもの元気な声で波は言う
「おはよう」僕もつられて挨拶する
すっかり慣れてしまったこの挨拶だが
始めは僕が軽く無視をしていたら
漆黒の翼もとい黒歴史をばらすといい
だすものだからこうなった
『ねえねえ』
「ん?なんだ?」
『部活、決めた?』
「んー、天文斑にしようかな、と」
『え!?ほんとに!?』
「う、うん」
なんだこの驚きは
『私も天文斑に入ろうと思ってるの!』
「........やっぱり僕はラグビー部にしよう」
『死ぬよ?』
「二度と人には戻れないだろうな」
こんなやりとりをしていたらチャイムが
なった。
放課後、部活の見学が本入部に向けて
はじまり、僕は活動場所である地学室に
向かっていた。
「で、なんでくるんだよ......」
隣には笑顔の波がいた
『だって、同じ部活希望じゃん!』
「そうだけど.....」
『ほらー!みてみてー!あれが地学室
じゃない!?』
ほんとだ、波が指している指の先には
確かに地学室のプレートがあった
『楽しみだね!』
「ああ、そう、だな」
ドアをくぐると中にいた女子生徒と
まず目があった。
『いらっしゃーい!!』
......この人は見たことがある、確か
部活紹介のときステージ上にいた
部長さんなはず、だ
『こんにちは!部長さん!』
「こ、こんにちは.....部長、さん」
『私は部長の莉央!(りお)あなた達は?』
『はい!私は内野波といいます!』
「ぼ、僕は香川新、です」
『じゃ、波ちゃん、新君、この名簿に名前かいてね~ちなみに君達は30人目の
お客さんだよ!』
『30人!?そんな多いんですか!?』
『んー、なんでかみんなくるのよね
嬉しいからいいんだけど!
だけど、さすがに多いからふるい落とし
やるんだ、明日!』
『ふるい落とし!?そんなのやるんですか!?』
『うーん、ウチ、機材の関係で10人位
しかとれないのよねえ、残念だけど
三分の一かなあ』
『そうですか.....ありがとうございます』
『みたいな会話を今までの28人と
してきたけど、何か他に質問ある?』
全部一人で言ってたのかよ!!
「だ、大丈夫です」
『ん!じゃ、また明日、帰りの
ホームルーム終わったらすぐにここに
きてね!』
『はい!ありがとうございました!』
『じゃ!幸運を祈るよ!グッドラック!』
そう言われるのを背後で聞きながら
僕達は地学室を後にした。
帰り道、やはり波は隣にいた
『ふるい落とし.....心配だね』
「そうだな、三分の一とかいってたしな」
『三分の一、か........』
『もし、三分の一でも、さ
新君と、入れたら嬉しいな』
「!?!?」
『?』
「な、何を言ってるんだ!ばかか!」
『ふえ?』
「あーもう!いいよ!」
『ご、ごめん』
「.............僕だって一緒に入りたい、よ」