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夏休み

 すでに8月。会社に入って早4か月か。こう考えるとけっこういたもんだな。嬉しいことに今は夏休みとなっている。まあ、社会人の夏休みなんてたかが知れているんだけどな。

「ねえ、今日はどこかに行かないの?」

「行きません」

「いこーよー、お兄ちゃん」

「誰がお兄ちゃんだ」

 個人的には冬よりは夏の方が好きだが、それでもこの暑さはきつい。毎日毎日例年と比べ気温が高いと言っている。やっぱり地球温暖化ってのは本当なのかね。

「ゲームでもやってろ」

「飽きたー」

 空の記憶はこの頃曖昧なものになっている。覚えているものもあれば覚えていないのもある。何を覚えていたりするかはランダムっぽい。

 ってか、なんで好き好んで外に行かないといけないのだ。クーラーガンガン効いているこの家でゆっくりゲームでいいじゃないか。俺はそれが一番いい過ごし方だと思いますよ、はい。

「あ、そうだ!」

「却下な」

「まだ何にも言ってないでしょ!」

「どうせ、プールに行こうー、とか海に行こうーとかなんだろ?」

「……ちがうもん」

 どうやら図星だったようだ。もう少し嘘をつくのをうまくしたらいいと思うんだがね。いや、この場合は嘘じゃなくてポーカーフェイスと言ったところか。

「でも、GWに一緒に水着買いに行ったじゃん。着ないのはもったいないよー」

 なんでそういうのだけは覚えているのかね。空にとっては大切な記憶なのか?そうだとしたら空が無意識のうちに大切だと思った記憶を忘れないようになっているのか?それ以外は忘れてしまうてきな。よくわからんがな。というか、どうでもいいし。

「とにかくめんどくさいからパス」

「そんなこと言わないでよー」

「じゃあ、あれだ。来年だ来年着よう」

「来年着れなくなってるかもしれないでしょ?」

「大丈夫。お前これ以上胸大きくなることないから」

「……バカ」

 言うことなくなったらバカって言うのやめておきなさい。嫌われるからな。俺はからかうのが楽しいから別にいいけど。決して貶されて楽しんでいるわけじゃないからな。

 空はふくれてそっぽを向いているので俺は昼飯まで一時の眠りにつくことにした。


「ねえ、遼。お昼ご飯できたよ」

「んー」

 適当に返事をして身を起こす。中途半端に寝たせいかすごい眠い。ちょっと寝たことに後悔している俺。おとなしくゲームでもしてればよかったな。

「そうめんでよかった?」

「ん、ありがと」

 そうめんが入っている器がすでにテーブルに並んでいた。イスに座り空の準備が終わるのを待つ。

「お待たせ。じゃ、食べようか」

「……なんだその恰好」

 なぜだか知らんが水着を着てやがる。最初裸の状態にエプロンを着ていたと思った。こいつはそこまでして海に行きたいのか。

「水着だけど」

「見れば分かる。なぜ着てるんだ」

「暑いからクールダウンしようかと」

 わかりやすい嘘だな。

「はあ、わかったよ。行けばいいんだろう行けば」

「え?」

 やれやれだ。こんな羽目になるとはな。もう少しサプライズみたいな方法で言いたかったのだがまあいいだろう。前々から旅館だのいろいろ計画を立てていた俺がなんかアホらしく思えてきた。

生きてます

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