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病院

 他の人たちより一足早くに会社を後にした。病院に行くためだ。電車に乗り病院へと向かう。

 それより救急搬送とは。貧血で倒れたみたいなことだったし大丈夫だとは思うが一応だ一応。これでもチビのころからいつも一緒にいたからな人並みに心配はしているんだよ。一種の家族かね。幼馴染以上家族未満と言ったところかな。

 空のいる病室を聞きそちらへと向かう。空の付き添いとして何回も来ているからこの病院の大体の場所はわかっているつもりだ。看護師さんとか先生たちとも顔見知りでけっこう話したりもする。街中で会ったときもしかりだ。

 入り口のプレートで空の場所を確認し入っていく。この部屋のベッドは全部埋まっているようだった。繁盛いいことだな。あ、病院の場合はこれがよろしくないのか。ちなみに空は部屋に入ってすぐ左のベッドだろうだ。

 部屋に入って左を見るとつまらなそうに天井を見ている空がいた。額をペシッとたたく。

「あ、遼」

「よっ」

 病院だ。あまり大きな声を出さずに話しかける。ちょくちょく入院をしている姿をよく見るので入院服も見慣れてしまった。顔を見るからにそんなに心配することは無いようだな。

「仕事は?」

「早めに切り上げて来たんだよ。ここに来るためにな」

「そう、ありがと」

 ニコッと笑ってくれる。その笑顔を見て安心したよ。

 さて、ここで話し続けるのもほかの人たちに迷惑だろうしな。ちょっと場所移動するか。


 休憩所みたいなところの一つの席に陣取る。

「てか、大丈夫だったのか?」

「うん。今はこの通りピンピンだよ」

「でもまたなんで倒れたんだ」

「なんか急に立ちくらみみたいにクラッて来て、しばらくしたら治るかなと思ったけど全然治らなくてむしろ立てないぐらいになっちゃって救急車を」

「そうか」

「なんだったんだろうね。先生も別になんともないとか言ってたけど」

 首をかしげる空。

「さあな、疲れてたんじゃないか」

 適当に答える俺。まあ、わかったら何の苦労もないか。これらの原因が頭の腫瘍のものと関係してないといいんだがな。

 ん、ああそうだ。他にも聞いておかないといけないことがあるな。

「お前、入院いつまでだ?」

「え?ああ、一週間ってところらしいよ」

「そんなにか?」

「脳の腫瘍も含めていろいろ検査したいんだってさ。だから一週間」

 そうか。わかった。

「はあ、また入院か……」

「そうだな」

「……あれ、私入院したことあるっけ?」

 こいつは一人で何言っているんだ?

「んー、なんか記憶が曖昧だよ。なんか入院したときあるような無いような」

 なんだそれは。バリバリ入院してただろう。

「覚えてないや」

 ついに考えるのをやめたようだった。まあ、それが一番だ。

「そういやお前、飯食ったのか?」

「うん、おいしくなかったけど食べたよ」

 ここに来たのは確か六時半。まあ、六時から飯だし食ってて当たり前か。あと、おいしくないとか言うなよ。一応作ってもらってる立場なんだし。

 すでに時計の針は七時を過ぎている。俺も帰らないとな。

「んじゃ、俺は帰るとするよ」

「えー、帰っちゃうの?」

「帰るよ」

 病室まで空と戻る。それにしてもこの病室には若い人たちしかいないな。全員20代とみて間違いないだろう。みんな若いのに大変だ。

「んじゃあな」

「あ、うん。じゃあね」

「ああ、着替えとかは明日のこの時間帯でいいか?朝とか昼とかどうも抜けられる気がしない」

「大丈夫だよ」

「お前の部屋にいつもの置いてあるんだろ?」

「うん、いつものバッグに入ってるからよろしくね」

「おう」

 空の頭を軽く叩き病室を後にする。

 外に出てるともう真っ暗だ。ちょっといすぎちまったかな。飯は……適当に買っていくか。

 今日から一週間一人暮らしか。寂しくなるな。

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