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動物園

 動物園ってさ、一回りすれば十分だよね?そんなになにかすることある?

 まあ、カップルならぐだぐだしゃべりながらブラブラするのがいいんだと思うんだけどさ、俺たちはカップルでもなんでもないしな。いや、他の奴らから見るとカップルなのかもしれない。空が勝手に腕組んでくるし。まあ、気分だけでも味わってやるか。

 腕時計を見てみる。もう十二時か。俺の体内時計も狂ってないようだな。腹減ってきたしな。

「空、なんか食わないか?」

「そうだね、今何時なの?」

「十二時だ」

「じゃあ、なんか食べようか」

 とか、言ってもこの動物園には立派な食べ物屋はない。軽くクレープが売ってたりするぐらいだ。まあ、空もまだ動物園内にいたいみたいだし、クレープでも食ってひとまず凌ぐか。

「んじゃあ、クレープ買ってきてやるからそこに座って待っていろ」

「はーーい」

 ちょっくら並んだあと、けっこうすぐにクレープを買えた。

 さーて、空さんはちゃんといるかな。うん、ちゃんと指示した場所に座っている。そして、空の目の前には見たこともない茶髪の男の二人組が立っていた。……誰、あれ。

 近くに行ってみると、すぐなんだかわかった。結論から言おうナンパだ。

「一人なの?どっかに遊びに行こうよー」

「あの、人待っているんで」

「いいよいいよ、後でメールすれば大丈夫だから遊びいこ」

 今時ナンパなんて本当にいたんだな。ってか、チャライな、おい。

「あの、やめてください」

「大丈夫だって、ね?」

「なーにが大丈夫なのかな?」

 俺はそのチャラ男二人の間に割り込みながら、男と肩を組んだ。

「んー、なんかおもしろそうな話してるね。俺も入れてよ」

「なんだよ、お前」

「俺ー?俺はそいつの彼氏」

「り、遼」

 涙目になりながら俺に助けを求める。今、助ける。

「冴えないねー。こんな彼氏と別れちゃって、俺と付き合おうよ」

 そういって、そいつは空の肩に手を回す。

 はい、今俺ピキッて来たよ。マジギレ五秒前ー。

「おい、そこのDQN」

「んあぁ、誰だDQNじゃ、ゴルァ」

「その汚い手離せや」

 そして、そいつの腹に蹴りをくらわす。

「ガハッ」

「てめぇ!」

 もう一人もかかってくる。

「少し黙ってろ」

 男の大事なところを蹴ってやった。大丈夫、手は抜いたさ。同じ男だ。痛みはわかっている。

「○×△」

 なんか奇声を発している。頼む、日本語しゃべってくれ。

 蹴りを喰らわせたDQNが立ち上がって、股間を抑え悶え苦しんでいる相方を連れてどこかへ消えた。

 周りの奴らが俺たちを物珍しそうに見てくる。やめてくれ。今のは見世物ショーじゃないぞ。

「遼!!」

 泣きそうな表情で俺にしがみついてくる。頭を撫でてやりたいところだがクレープを両手に持っているため撫でることができない。

「空」

「何?」

「クレープ死守してやったぜ」

「……バカ」

 バカとはなんだよ。ったく。

 俺はクレープを渡し、二人仲良く並んで一緒に食べた。

 今のナンパ野郎のせいで興ざめしたので、軽く歩き回った後動物園を後にした。

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