歌人としての 湯原王
掲載日:2026/10/16
「夕月夜心もしのに白露の置くこの庭にこほろぎ鳴くも)
この和歌の作者は、奈良時代の皇族・歌人である湯原王です。
夕月が照る夜に、心もしおれるほどに白露がおりているこの庭で、コオロギが鳴いている情景をしみじみと表現しています。
「こほろぎ」とは、スズムシやキリギリス、マツムシなどの秋の虫の総称として広く使われていました。
また、「しのに」には、「しみじみと心に染みる様子」や「しんみりとした気持ち」という意味があります。
虫の声を聞いて季節の移ろいを感じる力は、日本人ならではの感性と言えるでしょう。
虫の声に耳を澄ませ、秋の静寂や風情を味わうことができるのです。
いつの間にか夏の暑さがやわらぎ、秋の虫があちこちで鳴き始めました。心に潤いを与えるのは娯楽だけでなく、読書や自然に親しむ時間の中にもあります。
秋の夜長に耳を澄ませば、虫の声が心を穏やかにしてくれます。短い秋の風情を味わい、心に安らぎを取り戻す時間を持ってみてはいかがでしょうか。




