表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/23

第9話 殺意満載の交渉

逃亡を続けるソフィア達はロゼの案内でとある農村に着いた。


ソフィア蛮族団は村に入ると、村人達は武器になりそうな農具を持って、ソフィアのもとへ集まって来た。


そして、ロゼがソフィア蛮族団と村人の間に立ち、


「こちらは、オズボーンヌ公爵息女ソフィア・ウィズ・オズボーンヌ様なるぞ。頭が高い控え! 控えおろうー!」


ロゼはオズボーンヌ公爵家の紋章が刺繍されたスカーフを村民に、これでもかと見せつけた。そして、当のロゼ本人も満面のドヤ顔を見せつけるのだった。


(お前はオズボーンヌ公爵家の血縁と関係ないじゃんかっ!)


「「「――!? そ、それは……」」」


村人達は農村に滅多に訪れない上級貴族にどう対応してか分からず戸惑っていると、


「こんにちは、私はオズボーンヌ公爵三女のソフィア・ウィズ・オズボーンヌです。決して怪しい者ではありません。皆さんにお願いがありここへ参りました」


市川晴美ことソフィアは日本の一般的な庶民であり、根っからの貴族ではない。貴族としての言葉遣いも、礼儀も知らない。ましてやカーテシーなどしたこともない。知っているのは会釈と90度のお辞儀、土下座と土下寝くらいなものだ。典型的な卑屈満載のザ・日本人なのだ。


「「「ハァ~」」」


村人達はソフィアとその後ろにズラリと並んでいる鎌倉武士団をチラチラと交互に見ながら、この世には決して触れてはいけない存在があるのだと確信したかのような微妙な雰囲気になってしまった。


「村民の皆さんには迷惑をかけません。対価もちゃんと支払いしますので、私達に食糧を売って下さい。お願いします!!」


ソフィアは鬼の形相で頭を下げた。それだけソフィア自身も必死だったのだ。


「「「――!?」」」


「お貴族様が頭を下げただと!?」


「顔が()えーべ!」


「なんか…… ヤベェヤクでもキメてんじゃねぇべか?」


「んだな。目がイッてンぞ」


「お貴族と言ってるけんども、実はバッタモンじゃえねぇべか?」


「そうだよな!? オラ達にお貴族様が頭下げるわけねぇよな」


「んだ。あの紋章も偽物かもしんねぇべ」


村人達もソフィアの貴族らしからぬ言動に不信感をいだいている様子で、疑いの眼差しでソフィア達を見ていた。


「百姓風情が…… 姫様をなめおって…… なめられたら殺す。なめられたから報復する」


村人達の疑いの眼差しに、いち早く反応したのはソフィアの後ろで陣取っている蛮族集団の鎌倉武士団であった。何気なく、そして、躊躇なく村人に向かって静かに弓矢を引いた。


必死に頭を下げるソフィアと対照的に青ざめる村民。無言で今か今かと弓矢を放とうしている鎌倉武士団。かなりカオスに状況になっていた。そこへ……


「お止めくださいませ~!」


一人の好々爺がプルプルと震えながらソフィアに近付いて来た。この好々爺が元からプルプルと震えているのか、鎌倉武士団を見て恐怖からプルプルと震えているのか、誰にもその真相は分からない……


「「「村長!!」」」


村人達は村長と呼ばれる好々爺に集まり警戒心MAX状態で、鎌倉武士団と一触即発の危険な状態になった。


「えっ!?」


村長の声に頭を上げたソフィアは、目の前の村人達を見た。


(なんで、優しそうなお爺さんを村人達が囲んで警戒してるのかしら? まさか……)


ソフィアは後ろの鎌倉武士団が気になり、後ろを振り向いた。


(――!? なんで!? 弓矢を撃とうとしているの? テンパり過ぎて音も聞こえなかったわ。もしかして、村人を脅して略奪でもしようとしたのかしら)


「止めなさい。あなた達! こちらがお願いする立場なのよ!」


キリキリと苦虫を噛み潰したような表情で、鎌倉武士団はその場に弓を置いた。


「あなたが村長さん? この蛮族達がごめんなさいね。後でキツイ制裁をしておくから」


ソフィアは蛮族達に怒りを覚えながら、村人達に詫びた。村長は、


「分かってくださったならそれで良いですじゃ」


村長は、ソフィア達の警戒心を一段階下げた。


「良かった~ 村長さんありがとう。それで村長さんにお願いがあるの。聞いてもらえるかしら?」


ソフィアは村人の警戒心を解くために、満面の笑みで村長に近付こうとした瞬間。村人達が先程より険しい顔になり、警戒心を一段階上げた。


(????)


ソフィアが村人達がより一層険しい顔になったか理解出来ないでいると、泰時がソフィアに近付き、


「姫様。顔、顔。その顔だと百姓共が恐がりまする……」


「ハァ?(私の満面の笑みが恐いと言うのか?) 泰時、私の笑顔そんなに恐い?」


ソフィアは泰時に問いかけると、


「……………………」


泰時からの返事は返って来なかった。解せぬ……


お読みいただき誠にありがとうございます。

少しでも面白い! 続きが読みたい! と思って頂けましたら『ブックマーク』『評価☆マーク』『感想』をお願いします。


『評価☆マーク』『いいね』ボタン押して頂けましたらモチベーションに繋がりますので、応援よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ