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第6話 悲劇の始まり エレオSide

僕はオリミンガー王国第一王子で王太子レオノーラ・フォン・ベルレッタ。親しい者は僕をエレオと呼んでいる。幼い頃よりソフィアとは互いに想いを寄せあった婚約者として、また幼馴染みとして、これまで楽しく過ごして来た。


貴族、優秀な平民が集うアカメディアン魔法学院の同級生を王宮に招き、懇親会を兼ねて王太子主催の立食パーティーを開催した。しかし、懇親会が僕にとって絶望と悲劇への幕開けになるとは夢にも思わなかった……



会場となった大広間で友人達と談笑していると、


「ヒドいですぅぅーー! 酷すぎですぅー! エレオ様ー! ソフィア様がぁぁあ!!」


突然、男爵令嬢シルエッタ嬢が泣きながら僕の胸に飛び込んできた。


「一体何があったというのだ。僕のソフィアが君に何か粗相でもしたのか?」


確かにソフィアは天真爛漫で、オズボーンヌ公爵令嬢として両親から愛情たっぷり育てられた。そして、彼女は何ものにも縛られない。公爵令嬢とは思えないほど自由人なのだ。そんな彼女は僕の心のオアシスであり、精神安定剤(推し)なのだ。


「ソフィア様がぁ! ソフィア様がぁー! うわわわわーーん!!」


号泣し過ぎて話にならない。周りの同級生の目は僕に集中している。婚約者がいるのに他の女子生徒に、このような事をされるのは浮気者と疑われてしまう。周りから疑われるだけなら、それで良い…… しかし、ソフィアから疑われるのだけは勘弁被りたい。早く、この場を終息させなければ……


「き、君、ちょっと落ち着いて。ソフィアと何があったか詳しく教えてくれないだろうか?」


「エレオさまぁぁあ! ズビッ」


このシチュエーションは、恋愛小説でいうところのヒロイン又は悪役令嬢モドキに冤罪を被らせる為のフラグではないかと思ったが、予想以上の号泣でうる若き乙女の涙、鼻水、よだれ全開で僕の胸を濡らした。彼女が本気で号泣していることを濡れた胸を通して確信した。


「とにかく、ゆっくりで良いから何があったか教えて欲しい」


「ソフィア様がぁぁあ…… 私のケーキを食べちゃったんですぅ~ 最後の一個だったのにぃぃい~ ズビッ」


「ぬわぁにぃぃい! ソフィアが君からケーキを奪っただぁとぉ!」


「そんなんですぅ~ ズビィ 酷いっス~」


申し訳ないがシルエッタ嬢よ。涙・鼻水・唾のデンジャラス汁を出来れば僕の胸で撒き散らさないでいただきたい。


「そこのところを く・わ・し・く」


「はい…… ズビビィ」


シルエッタ嬢から聞いた話では、シルエッタ嬢が立食用に並べられたケーキ用の大皿に残された。たった一つのケーキをフォークで取り、口に運ぼうとした瞬間。こともあろうにソフィアはおもむろにシルエッタ嬢の手を掴み、フォークに刺さったケーキを一口でペロリと食べたと言うではないか。シルエッタ嬢から見たら、ソフィアがシルエッタ嬢には一口も残さないという残酷極まりないとも取れる行為であった。


私的な場であれば、強制的逆あ~んではないか! ソフィアにそんなことされてシルエッタ嬢がうらやましいぃ~。と思うと同時になぜ僕ではなくシルエッタ嬢なんだと怒りが込み上げてくる。しかし、僕は公的な場であれば、公平かつ正義を示さねばならぬ立場の人間だ。一方だけの話を聞いて判断するのは愚か者のすることだ。


事実を確認するため周りを見渡すと、周りの同級生達は非常に気まずい雰囲気の中に目を反らす者が多数を占める中に、震えながらも事実を伝えてくれた者もいた。


同級生達が嫉妬心から嘘をついているのではと思ったが、同級生達の人として、あってはならないソフィアの行動に震え上がっている姿を見て事実であることを確信したのだった。さすが、周りの者から暴風竜という二つ名をいただいているソフィアだけのことはある。


しかし、私人として愛すべき婚約者ソフィアではあるが、僕はオリミンガー王国王太子だ。将来、国民を導く者として、そして、公人として婚約者だけを特別扱いにするわけにはいかない。


その結果。


愛べきソフィアを断罪しなければならない。そんな、公人と私人の狭間で苦渋に満ちた判断をしなくてはならない僕の立場をどうか理解して欲しい…… そして、君を守ることの出来なかった不甲斐ない僕を許してほしい……

お読みいただき誠にありがとうございます。

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