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第4話 王都からの脱出

ギャン泣きをするロゼと呼ばれるメイドを尻目に戸惑うソフィア。


(私は市川晴美であって、ソフィアじゃない! どうして私をソフィアと呼ぶのすら分からない状況で、今度はロゼとかいうメイドまで…… 私は一体…… 何の(ごう)を重ねて、こんな目にあっているのだろう…… こっちが泣きたいくらいだよ。いくらポジティブ思考の自分でも、これは酷すぎる。しかも、味方なのか疫病神なのか分からない自称鎌倉武士団という罰ゲームみたいなイカれた連中まで……)


市川晴美こと、ソフィアは自分に降りかかる理不尽さに気が滅入ってしまっていた。


しかし、いくら自分の不幸を嘆いていても事態は改善しない。当たり前と言えば当たり前なのだが、そこはポジティブ思考の成せる技。


「ロゼさんと言ったかしら、ごめんなさい。本当に私はあなたの事が分からないの」


「ソフィアお嬢様~ そんなぁ~冗談はお止めください~」


ロゼは涙ながらにソフィアに近付こうとしたが、自称鎌倉武士団はそれ以上の行動は許さない。


「ロゼと申されたか。それ以上、姫様に近付こうものなら頭とその貧相な身体を真っ二つに斬り捨ててやろう」


自称鎌倉武士団はロゼを囲み、ロゼの首元に太刀を突きつける。自称鎌倉武士団とって醜女で体格の丈夫な女性の方が強い子を量産出来るとしてモテはやされ、逆にロゼのような美人は彼等にとってはどうでもいい存在なのだ。


(この人達…… 今更だけど、どこからどう見てもヤベェ人達だわ。どうして、こんな人達が存在しているのかしら?)


ソフィアは、今更ながらに自称鎌倉武士団のサイコパスな異常さに再認識するのだった。


「ロゼさん。本当にあなたとの記憶は頭の片隅にも無いの。もし良かったら、あなたが知っている私の事を教えて欲しいの。あと、ここから出たいの。何とかあなたの力で、この街から出れるように協力して欲しいの。お願いロゼさん?」


ソフィアは、シレっとロゼに酷い事を言いながらも援助を求めたのだ。なんて面の皮が厚いお嬢様なのだろう。


「ソフィアお嬢様~ まさかと思ったのですが、ソフィアお嬢様は遂に頭がトチ狂ってしまわれたのですね? いつかはこうなるとは覚悟しておりましたが、ソフィアお嬢様の専属メイドのロゼがしっかりとお教え致しますぅ~」


「あ、ありがとう…… ロゼさんには期待しているわ」


ソフィアとロゼ…… お互い様であった。


「みんな聞いたわね。これからはロゼさんの命令は私の言葉と思い絶対服従でお願い。ロゼさんに逆らったら、潔く腹を十文字に引っ裂いてね♡」


「ハハッー! ロゼ殿の言葉は姫様の言葉と同様! 絶対の忠義をお約束致す」


ソフィアのドSとも取れる発言に、自称鎌倉武士団は毎度お馴染みの平伏をするのであった。


ロゼの案内によるとソフィア御一行がいる場所は、オリミンガー王国の王都でありオリンピアスという名であることがわかった。


街の外側には10メートルは越えるだろう城壁と固く閉ざされた城門が幾つかある。ソフィア御一行がたどり着いた城門は東の位置し、交通の要となる城門であり厳重に警備されている。


「ねぇ、もっと警備が薄い城門から出た方が良いんじゃないの?」


ソフィアはこれ以上あらぬ問題を起こさないよう心掛けようと、ロゼと自称鎌倉武士団に声をかけるが、


「姫様、我等に心配はご無用でござる。我等が姫様の道を切り開くでござる」


「ソフィアお嬢様! このロゼがお嬢様の道を開きます」


「ちょ、ちょっと……」


(ヤバいは…… これはヤバすぎる展開だわ。この人達に、この場を任せたら、また人騒動起こしてしまうわ。どうしよう~ もし存在するのなら神様助けてーー!)


ソフィアの絶望的な願いとは別に、彼等は各々の武器を持ち、善良な守備兵達に襲い掛かろうとした瞬間。


「「「――!?」」」


蛮族代表の自称鎌倉武士団と、どこに隠していたのだとツッコみを入れたくなるフレイルを振り回すロゼと善良な守備兵達の間に、今まで見たことのない神々しい光の物体が現れた。


「あ、あれは……」


ソフィアは(まばゆ)い光の中、微かな人影を見るのだった。


お読みいただき誠にありがとうございます。

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