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第34話 犠牲者増量中の茶番

絶対的推しを語りたい政子とその与太話しを聞かざるを得ない状況を作ってしまった事に後悔するソフィアに一体何か待っているのだろうか。


「これから頼朝様、実は……めっちゃ優しい初代将軍様。第二部を始めるわよ。観客が姫様だけというのも勿体ないわね。ロゼさんと小弐景資(しょうにかげすけ)もご招待しましょう。あと泰時と季長が戻って来たら、始めましょう」


「――わかったわ。思う存分語って頂戴」


(フフフフッ ハハハハッ 政子さんの犠牲者は私だけでは無いということね。第二の犠牲者ロゼ、第三の犠牲者景資、第四の犠牲泰時者、第五の犠牲者季長。何時ものメンツで助かるわ。さあ、みんなで『頼朝様、実は……めっちゃ優しい初代将軍様。第二部』という名のリア充地獄に堕ちるのよ)


――――


ソフィアと政子の所にロゼと景資がやって来た。


「――!? 尼御台様? なぜ、このような場所に尼御台様が?」


突然の政子登場に景資は目が飛び出さんとばかりに驚きを隠せない様子だった。


「景資かぁ? 久しゅうのぉ。そちも健勝であったか?」


政子が景資に声をかけると、


「お、お久しゅうございます。尼御台様も健勝で何よりでございまするぅ」


「まあ、健勝と言われても、妾とそなたは、すでに黄泉の住人なのだがな。フッ、ホホホホッ」


「あはっ、はは……」


さすがの元寇の役で将軍を勤めた景資も、鎌倉幕府初代ご意見番に君臨する北条政子のブラックジョークに無理をしてでも笑わざるを得ないところに鎌倉幕府の闇を感じる。


「イザナミ様から姫様の事を頼まれてのぉ~ 本来なら頼朝様が足を運ぶ事になっておったのじゃが。あの馬鹿が姫様の所へ行きたいと駄々をこね始めてのぉ~ 頼朝様自ら、あの馬鹿に説教中じゃ」


「ま、まさか。あの馬鹿とは九郎殿でございましょうか?」


「あれほどの馬鹿は一人しかおらんじゃろ?」


「ふぅ~ やはりそうでござったかぁ~」


景資は大きなため息を付き、政子から目線を反らした。


今度はロゼが神妙な面持ちで、


「お嬢様。私達にご用とはなんでしょうか?」


「あっ、そうだったわ。ロゼは鎌倉武士団のこと、あまり良くわからないでしょ? ここにいる政子さんが詳しく教えてくれるってことでロゼにも犠せ…… 聞かせてあげたくて呼んだの。一緒に政子さんからお話を聞きましょう?」


ソフィアほロゼを厄介事に巻き込みたくて、つい本音を暴露しそうになったが、そこは、周りから出来るクールビューティのロゼと噂されるロゼはソフィアの耳元で小さな声で囁く、


「お嬢様…… 今、私にも犠牲者の会に入会しろと言いそうになりませんでしたか?」


普段のポンコツぶりとは真逆に、見事なポンコツぶりを発揮することなく、持ち前の危険回避察知能力を遺憾なく発揮したのであった。


「そ、そ、そんな事、思ってもいないわよ。唯々、ロゼにも聞かせてあげたいとの想いでいっぱいだったのよ」


「えぇ~ ホントですかぁ~」


疑心暗鬼になったロゼは、ソフィアをジト目で眺めていた。


「ホントよ! ホントにホント! 私を信じて。私にはもうロゼしか頼る人がいないの」


ソフィアは演技とはいえ、やりたくもない上目遣いで、ロゼに懇願するのであった。


「そこまで仰るのであれば、このロゼ。政子様のお話を伺いましょう」


「あぁ~ やっぱり、私にはロゼしか頼る人はいないわぁ~」


(ハァ~ 面倒くさい話は一人で多くの犠牲者が必要なのよね。責任の分散とでも言うのかしら?)


そうこうしていると、泰時と何としても手柄を上げたかった季長が憔悴した顔で戻って来た。


「姫様! 申し訳ございませんでしたッ!」


季長がソフィアに近付くと。いきなり平伏し、頭を深々と下げた。


(コイツが謝罪するなんて、蛮族の中でも話が通じるほど教養があったのね)


竹崎季長も、いくら蛮族とはいえ、一応は鎌倉幕府から賜った領地の領主である。それなりに教養は高いのである。しかし、統治能力が高いかどうかは別問題なのである。


「言い訳はあとから聞くから、とりあえず政子さんの話を聞いてからにして頂戴」


ソフィアは、なげやりな態度で季長に言い放つと、政子の前にドカンと腰を下ろした。


それに続いて、ロゼ、泰時、景資、季長が腰を下ろすのであった。


「茶番劇はもう良いのかしら? では、『頼朝様、実は……めっちゃ優しい初代将軍様。第二部』を始めるわよ」 


政子はソフィア達を冷やかな目で慈しむのだった。


お読みいただき誠にありがとうございます。

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