第33話 お馬鹿とラブ伝説
ソフィアはピュアピュアハート邪悪さと鎌倉武士団の蛮行に思い耽っていると、
「それで、姫様は竹崎季長は、やはり斬り捨てるのでしょうか?」
政子が竹崎季長の事について言及してきたのだ。
「それは勿論、竹崎季長は命令違反は厳罰の対象です。三国志でも『泣いて馬謖を斬る』と言う名言があるじゃないですか。この場合は『泣いて季長を斬る』ですね」
「姫様。あなた泣いてないじゃない? 逆に微笑みすら浮かべているわよ。本来ならば、『笑って季長を斬る』じゃないかしら。泰時はその事について、どういう考えておる?」
政子はソフィアの名言にメスを入れた。そして、『伊賀氏の変』で、北条政子に助けてもらい、政子に頭の上がらない北条泰時に話を振った。
「まあ、確かに姫様は普段から笑みを絶やさない方でございまするが、ご自身の忠臣に笑顔で打ち首を求めるのは、我らが主として、如何なものかと…… 号泣せよとは申しませぬが、せめて、涙の一粒くらいはと……」
泰時は涙ながらに、政子に訴えた。
(コイツ。絶対的権力者だった政子がいるからと言って、大々的に私をディスり来やがった。許さん)
「姫様、武士団をまとめる将として、家臣の話に耳を傾けるのも大事なことではないかしら」
「ぐぬぬぬぬ…… わかったわ。泰時、竹崎季長から話を聞いて、私に報告してくれる」
「ハッ! 直ちに」
泰時は急ぎ、竹崎季長がいる場所へ走り出した。
ソフィアは泰時の後ろ姿を見送り、政子からの正論に思うことがあったのだろうか、静かに目と閉じ、己の言動について振り返っていた。
(確かに…… 命令違反の理由も聞かずに、いきなり梟首は殺りすぎなのかもしれないわね。泰時の報告を聞いてから刑を執行してもらおっと)
「姫様も物騒な事をお考えではございませんよね?」
「ハァ!? 早く処刑したいとか考えていないッスよ!」
「……………………」
ソフィアは政子の指摘に、心の中でも見透かされた気持ちになり、一応は誤魔化したつもりでも、内心はドキドキパニック状態であった。
ソフィアは話題を変えるべく、源頼朝の事を聞くことにした。
「政子さん。頼朝さんってどんな方なの?」
「そ~ですねぇ。世間では冷血、冷徹と思われておるかもしれませんが、意外に優しい所もありまする」
「例えば?」
「元々、平家を滅ぼすつもりはなかったのでございます。本来であれば、死罪のなるところを平清盛公から命だけは助けられ、流刑で済まされたことに恩に感じ感謝しておりました。謝りさえすれば、御家だけは存続されようとしたのでございますが、あれほど安徳天皇は死なすな。三種神器だけは必ず回収するように厳命された筈なのに、あの馬鹿が何も考えずに手柄欲しさのみに走り、安徳天皇と二位尼を自害に追い込み、朝廷との取引材料となった宝剣も海の底へと紛失させて、戦後構想をぐちゃぐちゃにするし、東国の独立のために協力しているだけで家臣でもない、言うなれば頼朝支持団体の坂東武者には手柄を挙げさせないように、馬鹿自ら先陣に出て手柄を横取りしたり、やりたい放題。最後は後白河法皇からは勝手に法皇の親衛隊ともいえる院御厩司に補任するし、頼朝様を激怒させることに関しては、あの馬鹿は天才だわ。ゼェ ゼェ」
政子は息を切らしながら、これでもかと言わんばかりに一気に話すのだった。
「政子さん。その馬鹿って、もしかしたら義経?」
「そうよ。戦は天才的だけど、空気を読めない。戦略眼も無い。自由人。でも、兄の頼朝様が大、大好きな、ブラコンを拗らせた馬鹿なのよ」
「ほぉ~ さっきから、その馬鹿の話ばかりで頼朝さんの話があまり出て来ないんだけど?」
「今のが第一部。これから頼朝様、実は……めっちゃ優しい初代将軍様。第二部が始まるのよ」
「……………………」
(第一部でお腹いっぱいなのに、第二部とか聞かされたら、物凄く長くなりそう…… 確か、北条政子って、頼朝の事がラブラブ過ぎて、嫉妬、嫉妬の嵐を巻き起こしながら、束縛する。束縛系ヤンデレだったような記憶かあるんだけど?)
政子は顔を赤く染めながら、夫である源頼朝のラブ伝説が今、語られようとしていた。
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