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31話 宝くじ

肉体労働は脳筋ども(蛮族&百姓)に任せ、自分は子供達のために保育所でも開こうかと甘い夢を抱くソフィアであったが、ここで泰時からとんでもない事実を聞かされる。


「姫様、ご存じないかとは思いまするが、百姓ほどイカれている者はございませぬ」


「えっ!? 百姓って斬り捨て御免の対象じゃなかったの? 確か御成敗式目(ごせいばいしきもく)に『女性(百姓の嫁)を犯してから殺すのはやめましょう』とかあったじゃない?」


「確かにそのような条項はありますが、姫様は百姓が()られっぱなしの存在だと思いまするか?」


「百姓って()られっぱなしじゃないの?」


泰時は百姓の危険性を訴えようとしているようだが、ソフィアはどうしてもカースト制の観点から百姓=底辺的なものだと認識していたのだ。


「姫様は合戦の中で犠牲者が多いのはどの場面だとお考えでございまするか?」


「それは戦っている時でしょ?」


「確かにそれもありまするが、実は合戦が終わった時の方が多いのでございまする」


「はぁ?」


ソフィアは泰時の衝撃的な言葉に驚嘆する。泰時はさらに続ける。


「人とは斬付けてもなかなか死に至ることはございませぬ。(とど)めを刺さねば、長い時間苦しみ続け、やっと死に至るのでございまする。それが証拠に切腹時に介錯するのは、武士の誉れと死に逝く者に対して、苦しみからの解放の意味もあるのでございます」


「確かにそうね……」


「戦場において、敵にわざわざ(とど)めを刺すのは、こちらの隙を作ることになり、身を危険に晒すことになるのでございまする」


「でも、あなた達は首狩り族じゃないの?」


ソフィアは蛮族達のことを生粋の首狩り族だと思っていたのだ。


「首級を上げるのは恩賞を得るための証拠にござりまする」


「そ、そうなの…… それと百姓とそれと何の関係があるの?」


ソフィアは百姓がヤバいという話から、何故か首狩り族の話に変わっていたことに違和感を感じていたが、泰時は話を続ける。


「大いに関係しておりまする。合戦が終わったあとの惨劇と言ったら、なんとも言えぬものがございまする」


「ご託は良いから早く結果を言いなさいよ」


ソフィアは泰時の尺稼ぎのような遠回しの言い方にブチギレ寸前である。


「ハッ お、落武者狩りでございます。戦死者は勿論の事、(とど)めを刺されず、もがき苦しんでいる者に無理矢理、鎧兜を剥ぎ取り、刀や弓さえも奪い、それを売りさばき金に替える。そして鎧兜を剥ぎ取られた者を躊躇なく殺す。それが本当の百姓の姿にございまするぅ!」


「――!? 百姓の本当の姿?……」


「はい…… さらに酷いのが命からがら戦場から逃げ延びた武士(もののふ)を集団で追いかけ回し、最後には集団で、こぶし大の石を投石し、殺してから鎧兜を奪うなど、なんと卑劣なことを…… しかも、合戦には弁当を持って観戦したり、武者狩りが出来ないから早く(いくさ)を始めろとか暴れまくる始末で」


泰時は蛮族達が百姓に行っていた蛮行を棚にあげ、百姓が蛮族達に行った行為を批判したのだった。


(確か本能寺の変で織田信長を裏切り、討ち取った明智光秀も山崎の戦いに敗れて、逃亡している途中で、落武者狩りをしていた百姓に竹槍で刺されて殺されちゃったのよね。その時の百姓から見たらサマージャ〇ボ宝くじ一等と前後賞がノコノコと目の前に現れたようなものよね)


「まあ、敗北者には人権は無いし、勝てば官軍負ければ賊軍、当然の報いね」


ソフィアは敗北者に対して辛辣な言葉を吐き捨て、こともあろうに織田信長家臣団NO,3に入るであろう大名クラスの武将、明智光秀をサマージャン〇宝くじ扱いとは……


「姫様、それはあまりにも……」


「なめられたら殺す。なめたまねをされたら報復として殺す。それが鎌倉時代に生きた者の在り方じゃないの?」


「確かにその通りなのですが」


(思い出したわ。鎌倉時代って、自分の家の門を通った通行人を殺さないと腕が鈍るとか言って、殴り掛ったり、斬り殺したり、弓矢を放って殺害してたのよね。笑われた、なめられたとか言ってぶっ殺すとか、この時代の人間って、蛮族、野蛮人、獣、キ〇ガイ、首狩り族、山賊、以外何者でもないわ。頭が(おか)しい。


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