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第29話 殺人技と首狩り族

「どけぇー!! お前かぁ! お前かぁ! お前なのかぁ! 私の至福タイム(スキンシップ)を邪魔したヤツはー! ぶっ殺すぞ、この野郎!!」


ソフィアは生き残っている山賊達に殺人的破壊力をもつエルボーを山賊達の顔面にクリーンヒットしていく。まさに格闘技を極めし猛者(もの)だけが、辿り着けるという世紀末覇者の称号を手に掛けようといていた。


「私の夢(至福タイム(スキンシップ))を壊しやがって! お前かぁ! お前かぁ!」


山賊達を殺人エルボーで次々と意識を葬り去るソフィアは止まらない。そして、意識を失った山賊達に対して、()()()()()()()()()()首狩り族の鎌倉武士団。



のちに小弐景資(しょうにかげすけ)はこの時のソフィアについて語る。


『もはや地獄の惨劇というには生ぬるい。その光景は仏典でいうところの『十界』の1つ『修羅界』よりもおぞましい…… この恐ろしい光景をどう表現してよいかわからない。それに当てはまる表現の言葉が見つからない。後世に人々に、このことを語り残さねばならぬと思うのだが、どうしても言葉が見つからぬ。後世の人々よ、愚かな(それがし)を許して欲しい。申し訳ない……』


――アオモリン書房館 エレオノーラ著『朝焼けに咲く一輪の花のように~在りし日の彷徨恋日記~』より抜粋



「ハァ ハァ やっと片が付いたようね……」


おびただしい山賊達の躯の中で、息を切らした美しく、精悍な少女が立っていた。のちに『魔境の惨劇』と言われた戦いが終わった。


「お嬢様っ! よくぞご無事で」


戦いが終わるとロゼは泣きながらソフィアのもとへ駆け寄った。


「ロゼも大丈夫そうで良かったわ。ホントロゼも良く頑張ってくれたわ。ありがとう」


ロゼの安否を確認するとソフィアは急ぎ人質の居る小屋の中へ向かった。目的は唯一つ、マリーちゃんとの過度な至福タイム(スキンシップ)


「マリーちゃん! あなたの大好きなお姉ちゃんよ。もう悪い人たちはやっつけたから安心して」


「えっ!?」


マリーという名の幼女も、ほぼ初対面に近いソフィアに、あなたの大好きなお姉ちゃんと言われたらドン引きも良いところである。


「さっきも言ったけど、私はみんなを救けに来たの。さぁ、こんな汚くて物騒なところから出ましょう」


「私達、助かるの?」


「勿論、その為に私が来たんだから! マリーちゃんのママとパパもマリーちゃんの帰りを待っているかもしれないわ」


「グスッ マ、ママッーー!! わああああああああん」


「マリーちゃん。い、いったいどうしちゃったの?」


突然、号泣し始めたマリーに子供が不慣れなソフィアは動揺し、何をどうしたら良いのかわからなくなった。


「うわああああああああん! ママッー!!」


マリーの涙の叫びと同時に、今まで布団に包まっていた人質達が顔を出した。3才位の幼児から20才位の若者まで20人位だろうか。


「お父さんとお母さんが…… 殺されちゃったー!!」

「お母さーん! お父さーん! お兄ちゃーん!」


ソフィアは子供たちの叫びを聞き理解した。


(村が襲われた時に、ご両親は山賊達の手によって殺されたってこと……)


「――みんな」


ソフィアは受け入れがたい現実に、子供たちにどう言って慰めたら良いのか、わからずにその場に立ち尽くすしかなかった。


「お嬢様……」


ソフィアのあとを追いかけてきたロゼは、棒立ちになっている主人のソフィアに言葉を投げかけた。


「ごめんなさいロゼ……」


ロゼの呼びかけに力なく答えるソフィアにロゼは何かを察したかのか、子供たちの前に金剛力士像の如く仁王立ちになり、


「今は泣いている場合ではありません。今はあなた達の命を護ってくれたご両親の願いに報い答えることこそが今のあなた達に出来ることではないでしょうか。さあ、安全な場所まで急ぎましょう。そして、生きるのです。それに、お亡くなりになったご両親をあなた達が弔って差し上げませんと…… ご両親方も悲しまれるじゃないですか」


「「「ヒック…… ヒック……」」」


ロゼは攫われた子供たちに毅然とした態度で語りかけ、子供たちもまたロゼの言葉を飲み込み、泣くのを止めた。


「さあ、みんな帰りましょう。村長さん達がみんなの帰りを待ってるわ」


ソフィアは傷ついた子供達に、それ以上の言葉をかけることが出来なかった。


お読みいただき誠にありがとうございます。

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