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第27話 いきなりピンチ

ソフィアの一声で本隊10名が長弓を構えた。攻撃開始までの数秒間、緊張感漂う中で、ソフィアは本隊弓矢部隊に攻撃命令を告げる……


「弓隊、矢を放……」


弓矢隊から今まさに矢が放たれようとした瞬間、


「「「うぉぉぉぉ! うぉぉぉぉ!」」」 

「「「ワー ワー ワー ワー!」」」 

「「「ヒャッハー!ヒャッハー!」」」 

「「「皆殺しじゃあー!」」」


(――!? はぁ? なんで? 戦闘開始は本隊の弓矢隊から始まる手筈になっているはずなのに…… どうして喊声(かんせい)が聞こえるの?)


ソフィアを含め本隊は思わぬ非常事態に大混乱となった。


「ロゼ! 急ぎ前線に斥候を出して! 戦線に何が起こっているのか私に知らせて」


「ハイッ お嬢様!」


(まずい、まずいわ。遠距離からの奇襲で、出来るだけ山賊の戦力を削り、味方の損害を少なくしようと思っていたのに……)



程なくして――



「お嬢様。戦線に出ていた斥候によりますと、第2部隊が突如敵左翼より突撃。第1部隊も戦線維持の為、第2部隊に続いて突撃。敵は大混乱の末、人質のいる小屋へ殺到しているとのこと」


ロゼから戦線の報告が入る。


「竹崎季長の命令違反ってこと? それで人質はどうなったの? 救出部隊は?」


「はい、救出部隊は小屋の正面にて敵の猛攻を防いでいます。私達も救援に向かった方が良いかと」


「そうね。ロゼの言う通りね。今はごちゃごちゃ考えるより人質を救い出す方が先決ね。皆の者、ロゼの話は聞いていたわよね。今より本隊を敵正面攻撃と救出部隊救援の二つに分けるわよ。敵正面はロゼが指揮を執って、私は救援隊の指揮を執るわ。ロゼ、私達が救出部隊の援護についたら、そのタイミングで敵正面に突撃して。そのあとは乱戦になると思うけど、必ず生きて私の所に戻って来てね。ロゼ良いわね」


「はい、お嬢様。必ず生きて戻しますので、お嬢様もご無事で……」


ソフィアはロゼと約束を交わし、本隊に残っている隊員達を見る。


「皆の者、我に続け!」


「「「おぉぉー!」」」


ソフィアとロゼは二手に分かれ戦場に急行した。



――戦場にて



第1部隊と第2部隊は山賊どもと乱戦になっていた。そして、一部の山賊は人質のいる小屋に押し寄せていたが、小弐景資率いる救出部隊が少人数にも関わらず見事に小屋を護りきっていた。


蛮族達は一人一人の戦闘能力は高いとはいえ、戦力の差から見ればやはり多勢に無勢は否めない。しかも戦術的にも竹崎季長の命令違反により破綻している。そんな中にあっても鎌倉武士団は戦死者を出しながらも武士としての矜持を見せ、命を懸けて戦っている。


(どうやら間に合ったようね。それにしてもそんなに目をキラキラさせながら楽しそうに殺し合いが出来るなんて、どうみても頭が(おか)しいとしか考えられないわ)


救援隊に選ばれた蛮族達がソフィアを護衛しながら、小屋の裏側へとたどり着き、ソフィアは蛮族達に小さな声で檄を飛ばす。


「お前たち景資の所まで一気にカチ込みかけるわよ。景資と合流したら山賊どもを押し戻すわよ。良いわね?」


「「「ハッ」」」


蛮族達はソフィアの檄に小さな答える。


「行くわよ!」


「「「おおぅ」」」


「突撃! 前へ進めぇー!!」


「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」


ソフィアは蛮族達に突撃命令を出し、ソフィア自身は後方から蛮族達を肉壁として突撃に参加したのだった。


小屋の前で山賊達と小競り合いしている景資に後方にいるソフィアが大声を掛ける。


「景資、応援に来たわよ! 山賊どもを押し返すわよ!」


救援隊が人質救出隊と合流を果たすと、山賊達に対して反攻を強めた。それと同時にロゼが率いる本隊も正面突撃を敢行した。


正面攻撃が加わると山賊達は総崩れとなったが、敗走までには至っていない。あくまでも殲滅させるのが主目的なのだ。


「姫様! ここは危のうござる! お戻りくださいませ!」


「わかったわ。あとは任せるからお願いね」


景資はソフィアの身を案じ退避を願いでた。ソフィアは総司令官として柔軟な思考を持ち合わせており、景資の意見具申を素直に聞き入れ急ぎ小屋の中に身の安全を確保したのだった。


お読みいただき誠にありがとうございます。

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