第21話 山賊の襲撃
泰時達が村を探しに出てから、二日ほど経った頃、二人の蛮族が魔境の森に帰って来た。
「姫様。ただいま戻りました」
2人はソフィアに平伏し、帰還のあいさつをした。
「早かったわね。それで村は見つかったの?」
「ハイ 森から出て翌日には中規模な村を発見しましたが……」
「ん!? 発見しましたが? 次は?」
「はぁ~ 実は…… 山賊に襲われたとの事で、町は壊滅状態。女子供はその山賊に攫われたとのこと。執権殿は生き残った村人たちを連れてこちらに向かっております」
「何てことを…… それで、その山賊達はどこに行ったの?」
「はい、魔境の森へ向かったとのこと。山賊達はこの森の中に居ると考えられます」
「わかったわ。今から囚われた村人を救けに行くわよ」
「姫様。我らも即座に行きたいのでござるが、執権殿を待ってから行くべきでございまする」
「どうして? すぐに救けに行かないと殺されちゃうかもしれないじゃない」
「いえ、それはないかと。村の長の話だと女子供は奴隷として売られるとのこと、山賊のアジトも大体は把握しているようす、無暗に探し回り、刻を無駄にするより村の長に案内させ一気に山賊を滅ぼした方がよろしいかと」
(コイツら、いくさの話になると頭が良く回るのね)
「わかったわ。泰時達を待ちましょう。みんな聞いたわね、泰時達が戻ってきたらすぐに出発するから戦の準備を急いで頂戴」
「「「ハッ! すでに戦の準備は整っておりまする!!」」」
「――!? は、早いわね…… た、頼りにしているわ」
「「「ハッ! お任せあれ!!」」」
(ホントにコイツら戦をする事しか頭に入ってないんじゃないの? さすが、最強と言われた元軍をボコボコにしただけの事はあるわ。確か元軍の記録には、「聞いていた話とは全然違う。あんな大軍で襲って来るなんて聞いていない。『てつはう』を使っても遠くから弓矢が飛んできて、こちらの『てつはう』も弓矢も全然届かない。捕虜を盾にしても即座に弓矢で捕虜ごと殺しに来る。一晩に10艘は船が襲われて炎上していた。しかも、重い鎧を着たまま泳いで船に奇襲してくる。船に捕虜を縛り付けても捕虜ごと船を燃やしに襲って来る。船に動物の腐った死骸を投げ入れて来る。おかげで疫病が流行り動けなくなった兵士がゴロゴロといた。アイツらには人の心と言うものが存在しない」なんて無茶苦茶書かれていたわよね。ん~蛮族!)
――二時間後
「姫様ー! 只今戻りました」
「泰時、やっと戻っていたわね。疲れているところ悪いけど、山賊どもを成敗しに行くわよ」
「さすが姫様。某も姫様に具申するところでございました」
「それで村長はどちらに?」
「ハッ 村の長を姫様のところへ案内いたせ」
「おう、こちらが村の長にございます」
蛮族の一人がヨボヨボの爺様を連れて来た。
「あなたが村長さんね。私はオズボーンヌ公爵息女ソフィア・ウィズ・オズボーンヌですわ。これから攫われた村人のみなさんを救出しようと考えてるの。村長さんも疲れていると思うけど、山賊どものアジトまで案内してくれるかしら」
「ソフィア様。我等、平民の為にありがとうございます。何なりと申しつけて下さいませ」
「そう言って貰えたら助かるわ。じゃあ、者共。山賊狩りだー!」
「「「いざ、鎌倉!!」」」
「お嬢様、ちょっと待ってください」
蛮族どもが盛り上がっているところにロゼが水を差した。
「な~に、ロゼどうしたの?」
「まさかと思いますが、お嬢様も行かれるもですか?」
「ロゼ、何を言ってるの? 勿論、私もあなたも行くのよ。早くみんなを救けなきゃ」
「お嬢様! 危険すぎます。 私はともかく、お嬢様に何かあったら旦那様と奥様、エレオノール様に叱られてしまいます。とにかくお嬢様だけはお残り下さいませ」
ロゼは泣きそうな顔でソフィアを止めようとしたが、
「ロゼ、私の事を心配してくれてありがとうね。でもね、私は村の人たちを攫って、奴隷にしようとしているなんて、絶対に許せないの。この想いをわかってくれるかしら? お願いロゼ。一生のお願いだから私を山賊退治に行かせて頂戴」
ソフィアはロゼの手を握り締め、必死に自分の想いを伝えたのだった。ロゼは困った表情を浮かべ、
「お嬢様。何回私に一生のお願いをするおつもりですか? もうわかりました。お嬢様、危険なことだけはしないでくださいね。約束ですよ」
「ありがとうロゼ。あなたは私の一番の忠臣よ」
「まったくもう、お嬢様は調子が良いんですから」
「じゃあ、改めてヤロウ共。山賊共を成敗しに行くわよ!」
「「「おおっーー!!」」」
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