第19話 ソフィアの宣言
ソフィアは泰時との話を止め、ロゼのところへ戻って来た。ソフィア達の戻りを待ちわびていたロゼと鎌倉武士団は、邪悪に満ちた笑顔のソフィアと青ざめた泰時の表情に、これまで経験をした事の無い恐怖に戦慄するのであった。
「お嬢様! 一体何があったのですか?」
さすが、ソフィアに忠義を捧げたロゼは、恐怖を押し殺しソフィアに尋ねた。
「安心して何もないわよ。それより、みんな私の声を聞いてっ!」
ソフィアは邪悪な顔でロゼを労わると、今度は鎌倉武士団に対して大声で呼びかけた。
「「「ハッ!」」」
鎌倉武士団は掛け声とともにソフィアの近くに集まり整列した。
「これから私達の大方針を発表します…… 私は魔境王になる!!」
ソフィアは堂々とした態度で、どこかで聞いたフレーズを口にし、さらに続けて、
「イケメン王子から追われている私達には安住の地など何処にもない。安住の地が無ければ作ればいい。じゃあ、安住の地を作りましょう。ここ魔境の森を開拓し、都を造り、私がこの地の支配者になります! 反対意見は許しません。良いわね!」
「「「――ハッ!!」」」
一瞬の静寂にあとに鎌倉武士団は目を輝かせ、一斉のソフィアに平伏した。
「ついに姫様が決起をご決断されたぞ!」
「おお、さすが、やれば出来る子じゃ。これで幕府を開くことが出来るぞ」
「いくさじゃー いくさの準備をいたせー!!」
「まぁまぁ、落ち着け。いくさの前に軍議を開かねば」
「おい、手柄は欲しさに先走るなよ」
「何を言う。お前こそ先走るなよ」
「「「ぐわははははははは」」」
「大猪だけじゃ物足りん。次は人間を狩りたいのう」
「おおそうじゃ。全くもってその通り、早く人間を狩りたいぞ」
「久しぶりの門柱に生首を飾れそうだな」
「生首を狩るより、門柱を造るのが先だけどな」
「こりゃ~ 一本取られたぁ~」
「「「ぐぅへへへへへへへへ」」」
「戦場跡に地名を付けんにゃ~ならんな」
「某が良い地名を考えたでござる」
「はて? 聞かせてもらおうかの」
「よく聞けよ。血崎、死浦、首除、地獄谷じゃ。どうだ良い名じゃろ?」
「心がゾクゾクする良い名じゃ。褒美を取らそうにも、ここには褒美になる物がない。しかたがない、一番槍はそなたにくれてやろう」
「ハッハー ありがたき幸せ」
「「「ぐぅわははははははは」」」
「族滅じゃあ! 族滅! 腕が鳴るのぉ」
「お主の族滅も良いが、族滅に関しては執権殿の一族も負けておらんぞ」
「北条家も凄いのか?」
「おお、当たり前よ! 北条家は族滅の大将軍様じゃ!」
「どこを族滅したのだ?」
「聞いて腰を抜かすなよ」
「早く教えろ」
「わかった、わかった。そう焦らせるな。
『梶原氏 族滅』
『比企氏 族滅』
『城氏 族滅』
『名越氏 族滅』
『和田氏 族滅』
『三浦氏 族滅』
北条家は族滅の総合デパートじゃあ」
「本当に北条家は族滅の総合デパートじゃな!!」
「「「族滅! 族滅! ヒャッハ―!!」」」
ソフィアの邪悪な宣言に、鎌倉武士団は大いに盛り上がった。
(何言ってんだコイツら? 大笑いする場所がどこにあった? コイツらのカオスジョークは私には理解不可能なのだが……)
ソフィアは自分の決意表明が、鎌倉武士団の蛮族心に火を点けることになるとは、ソフィアも夢にも思っていなかった。
「お主らも姫様のご決断がそんなにうれしいのか!」
「「「おおおおっ!!」」
泰時の問いかけに鎌倉武士団は大いに答える。
「祝いじゃー!! 祝い! 誰かぁー 酒を持てー! 酒だーー!!」
泰時がお酒を持って来いアピールをすると、一人の蛮族が申し訳なさそうな顔で、
「執権殿、申し訳ありませぬ。ここには酒が一滴もございませぬぅーー」
「ぬわぁにぃーーーー!! 酒が無いだと! 姫様の為じゃ、近くの村から酒と食い物を略奪して来い!!」
「――!? 何っ!」
鬼の形相になったソフィアは泰時の目の前に立つと
「姫様、そんな恐い顔で如何なされました。この泰時、姫様に何か御無礼な……」
『クルッ クルッ クルッ ドガッ!』
『グヘッ ドサッ』
鈍く不快な音が魔境の森に木霊するのであった。
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