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旧車物語  作者: 3気筒
32/71

第32章 ツーリングチームを作ろう!

今回も宜しくお願いします!

 前回の『KAWASAKI Old Bike Meeting』から2日。今日は月曜日だ。

 6月に入り数日、季節はもうじき梅雨になる。バイク乗りには連日の雨により遠距離ツーリングにはしばらく向かないという、なんとも辛い時期である。まだ雨こそ降ってはいないが、それも時間の問題だろう。

「もうじき梅雨入りねぇ・・・」

 昼休み、由美は学校の教室で圭太と昼食を取りながら呟いた。

「梅雨と言えば・・・雨・・・はぁ・・・」

 ため息をついて、ミートボールをぱくりと口に頬張る由美を見ながら、圭太も卵焼きを箸で割ながら言った。

「そういえば由美は昔から梅雨とか雨とか嫌いだよね」

「梅雨が好きな人がいる・・・?せいぜいな所、農家の人と田んぼにいるタニシくらいよ・・・」

「タニシはともかく農家の人に失礼だよ」

 言ってから圭太は卵焼きを頬張る。今日のは砂糖が効いていて甘くて美味しい。

「今まで梅雨でいいことなんてほとんどなかったわよ・・・中学の時には1週間前から準備して前日は眠れないくらい楽しみにしていた遠足が延期になったり、朝は靴下までびちょびちょになるし・・・それに今年からは私の好きなゼファーちゃんに乗る時も雨が降るのよ・・・?はぁ・・・」

 言いながら、自分の弁当のおかずが残っているにも関わらず、圭太の弁当箱にある卵焼きに手を伸ばす。が、圭太が由美の箸を自分の箸で払い除けながら何ともないような口振りで由美に言う。

「まぁ確かに・・・それは僕も嫌かなぁ・・・ていうか、自分の弁当食べてよ」

「たははは・・・いや、ちょっと美味しそうだったからつい、ね」

 笑いながら言う。

 しばらく無言の状態が続く。圭太が弁当を食べ終わり弁当箱を包んでしまいながら目の前の由美を見ると、由美は弁当を食べながら前回買っていたバイク雑誌を見ていた。

「ねぇ圭太」

「ん?」

「これを見て」

 由美が雑誌を指差した。それを圭太が覗き込むと、とあるツーリングチームの投稿したツーリング先の写真とレポートが載せられた特集ページだった。

「一昨日の横浜のミーティングとか、こういう雑誌に出てくるツーリングチームを見てて思ったのよ・・・」

「何を・・・?」

 圭太がたずねると、いつになく真剣な眼差しで由美が言った。

「私達で・・・ツーリングクラブを作りたいのよ・・・!」

 圭太を見つめる由美の目は大真面目だった。圭太は「んー・・・」と考えながら口を開いた。

「すごい良い提案だと思う・・・けど、別にチームにする必要は無いんじゃあ・・・?」

 すると由美はバンッ!と机を叩いた。

「する必要があるのよ!!」

「例えば?」

 圭太がたずねると、由美はびしっ!と圭太を指差しながら立ち上がった。

「例えば・・・!!」

「うん・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・?」

「・・・カッコいいからよ!」

「聞いた僕が間違ってた・・・」

 言ってため息をつく。圭太ははしゃぐ由美に説明を求める。

「作ったとして、リーダー・・・責任者は?」

「それは当然、作った私よ!私がリーダーよ!」

 由美がたいして無い胸を張りながら言う。そんな由美に、圭太はまたため息をつく。

「リーダーっていうことは、ツーリングの計画から行くまでの道のり、行った先でもしトラブルが起きたらその対応とか、みんなが家に帰るまで責任を持って行動しなきゃいけないんだよ?そんな大変なことが由美に出来る?」

 圭太が言い終わると、由美は先ほどの胸を張った偉そうな姿勢から一転、へにゃへにゃへにゃ〜と脱力して机に突っ伏した。

「そ、そんなに大変なの・・・?」

「大変だと思うよ?」

 圭太の答えを聞いた由美は唸りながらどうすれば良いのかを考えていると、ふとあることに気付いた。

「そういえば・・・圭太、やけに詳しいわよね・・・?」

「うっ・・・!?」

 由美の言葉に圭太が一瞬震えた。が、すぐに笑ってごまかした。

「そ、そんなことは無いよ・・・!全く由美は・・・僕がそんなこと考えるわけ・・・」

「ふ〜ん、つまり圭太も私と同じこと考えてたのよね?」

 言い逃れする圭太を遮って由美がトドメを刺すと、圭太は顔をわずかに赤くさせて恥ずかしそうにうつむいた。

「やっぱりね」

「ご、ゴメン・・・僕もちょっと憧れて、少し調べたんだ・・・」

 白状した圭太が頭を下げると、由美はまた偉そうにふんぞり返って言った。

「ま、圭太が嘘付くの苦手っていうのは私が1番よーく知ってるわよ!?」

 今回は珍しく由美に軍配が上がった。最後まで取っておいたミートボールを口に入れて、ミートボールと勝利の味を文字どおり噛み締める。

「大丈夫よ!私がリーダーで圭太が副リーダーをすれば、上手く行くわよ!」

 そういうと、圭太はまだ唸りながら答えた。

「まぁなんにしても、旭さんや真子さん達が入ってくれれば・・・それ以前に賛成してくれるかどうか・・・」

「入ってくれるわよ!そうと決まれば!!今日も放課後に旭さん達を集めて緊急会議よ!!」

 由美が弁当箱を包んで乱暴にカバンに投げ入れながら勢い良く言うと、圭太は『また明日宿題やって来ないな・・・』と思ったが、言っても無駄なのは小学校の時から知っているので諦めた。

「そうと決れば!早速みんなにメールを打つわよ!」

 1人叫びながらケータイを取り出してメールを打つ由美を見て、圭太は困ったような笑いを浮かべながら教室を後にした。









 時を同じく、相模の某所某道を、旭と洋介が歩いていた。

「ったくよ・・・なんでオレがオメェのフォアのパーツを取りに行くのにつきあわなきゃなんねーんだよ?」

 旭がぶつくさ言うと、洋介がニタリと笑いながら言う。

「この前のミーティングでケツに乗せてやったのはぁ?誰だったかなぁ・・・!?」

「そ、それとこれとは・・・!」

「バーカ、一緒だよ!文句言わずに歩けよ」

 洋介が言うと、旭はまだぶつくさ言いながら歩き始める。

「あーあ、徒歩とかけったしいぜ・・・軽トラどーしたんよ?」

 旭が小石を蹴飛ばしながらたずねると、洋介はため息して答えた。

「ウォーターポンプがイカレてパアッ・・・しばらく動かねぇよ、全く」

 機嫌悪そうに短髪頭を掻き毟る。そんな洋介の横で旭も自慢のリーゼントパーマをイジっていると、後ろの方から爆音が轟いてきた。



 ファン・・・!!ファァァァァア!!ファンファン!!!!



「おう洋介・・・」

「なんだよ、ショーブすっか?」

 2人はニヤリと笑いながら目を併せた。

「この音は・・・間違いねぇな・・・」

「あぁ、引き分けかな・・・」

 そして2人は「いっせーのーせ!」で同時に言った。

「「ビーエックスっかねー!!」」

 そしてバッと振り向く。

「この独特なエンジン音は・・・やっぱしビーエックスっかねーべなぁ」

「だよな・・・なんだ旭も同じ答えかよぉ」

 どうやらエンジン音で車種当てクイズをしていたらしい。因みに2人の予想はホンダのCBX400F、通称『ビーエックス』だ。

 2人が音の聞こえる先を見ていると、近づいてきているのかコーナーのガードレールにヘッドライトの光が反射した。

「来たぁ!」

「どーなんだ!?」

 2人が見つめていると、爆音でコールを切りながら1台のバイクが走ってきた。ブチ上げロケットカウルにアップハンドル、3段シートに出口の細いマフラーを付けたいわゆる『族車』が旭達の前を走り抜けていった。

「なっ・・・!?ビーエックスじゃねー!?」

 旭が叫ぶと洋介も驚きを隠せないらしく、「そんなバカな・・・!?」と悲鳴を上げた。

「見たかよ洋介!今の野郎の単車!!」

 旭が言うと、洋介も頷いた。

「ペケジェーだって・・・?どーしたらあんな音が出せるんだよ・・・?」

 2人の目の前を突っ走って行ったのは、白ベースのカスタムカラーで塗られたヤマハのXJ400。通称『ペケジェー』だったのだ。

「なんでペケジェーがビーエックスみてぇな音させれんのよ・・・?」

 旭も唖然としていると、ふと洋介が何かに気付いて旭の肩を叩く。

「なぁ旭・・・」

「あ・・・?んだよ?」

「ウチの地元によぉ・・・あんなペケジェー乗ってる奴いたか・・・?」

 マジメな顔でたずねる洋介。それを見て旭も「そーいやそーだべ」と呟く。

「さっきチラッと見たらよぉ、ナンバーヨソだったし、多分オメェの言うとうりだな」

 旭が言うと、洋介は未だにマジメな顔で呟いた。

「『金剛會』以外の族に捕まんなきゃいいけどな、あのペケジェー・・・」

 洋介が言ったのは、2人の後輩が仕切る暴走族である。

「バァカ、長良達はオレ達が気合い入れたんだ・・・『金剛會』だってヨソ者が走ってたらとっ捕まえてクシャにしちまうよ」

 旭がタバコに火を点ける。一息吐き出してから再び口を開く。

「パンピーならともかく・・・その筋の者にゃ容赦しねーよ」

 すると洋介も笑いながら頷く。

「まぁ、な・・・ただ、オレ達はなんだかもうそんなこと思わなくなってきたよな」

「そうだな・・・」

 旭が呟く。タバコを驚異的な肺活量で一気に根元まで吸い、地面に投げつけた。

「美春や・・・圭太達と走ってたら、んなクダラネーこたぁ、もうどーでもいいよなぁ」

「あぁ・・・」

 2人が空を見上げながら頷く。

「オレ達、もういつまでもガキじゃいらんねーな」

 旭が言うと、洋介は黙って頷いた。

「じゃあその伝説のリーゼントも、そろそろ引退だな」

 洋介が笑いながら言うと、旭は唸りながら「そうかもなぁ」と言う。すると洋介は驚きを隠しきれずに叫んだ。

「あ、あのお前が・・・リーゼントをやめるだなんて・・・!悪い夢だぜ・・・」

 すると旭は笑いながら言った。

「パーマをやめるべぇ、リーゼントはやめねーよ」

 言いながら笑う。洋介もほっと胸を撫で下ろす。そんな洋介を見て、旭は言った。

「オレ達ももう、バカみてーなことやクダラネーこと、辛いことも含めて沢山やってきたし・・・ここらでそろそろガキ卒業して大人の不良になんねーと・・・な」

「あぁ・・・」

 すると、旭のケータイが鳴り響いた。旭はポケットからケータイを取出して画面を覗く。

「あ、由美ちゃんからだ・・・」

「え?なんだって・・・?」

 洋介も覗き込むと、画面にはこう書かれていた。



 ハロー!エブリニャン!!

 どうも皆さん!

 今日、時間空いてるかしら?空いてるわよね!?

 少し話したいことがあるの!素敵なお話だから、みんな是非来てよね!

 場所はこの前の喫茶店、『Yesterday』で!翔子ちゃんには私から電話しとくわ!!!


 オーバー!!




 どうやら一斉送信された物らしい。

「ったくよぉ、こー見えて忙しいんだぜ?」

 旭が言うと、洋介は笑った。

「こういう可愛い弟や妹がいたら、確かになぁ」

「・・・あぁ」

 旭はメールを返信すると、再び歩き始めた。

「オレらぁオトナんワルになるべぇ洋介!!」

「おうよ!!」









 そして一気に放課後になった。いや、実際にはかなりの時間があったのだが、昼休みからホームルームまで爆睡していた由美からすると一瞬の出来事であった。

「ほら由美、いつまでも寝てないでさぁ・・・」

 圭太が呆れながら声をかけると、寝ぼけた由美が呻きながら呟く。

「あれ・・・?授業は・・・?」

「とっくに終わったよ・・・」

「んー・・・またやっちゃったわね・・・」

 言いながら、身体を起こそうとして力を入れた瞬間、由美が奇声を上げた。

「うぎゃあああああ!し、痺れたぁ!!」

 どうやら長時間座ったまま寝ていたためか、かなり痺れているらしく手すら動かせずに突っ伏した状態から動けないらしい。

 起き上がることも寝ている間に垂れたヨダレを拭くことも出来ずに苦しむ由美を見て、圭太はニヤリと笑った。そして

「えい」

 と人差し指で由美の腕を突いた。

「ふぎやぁぁぁぁあ!!」

 痺れた腕を突いた瞬間、由美が面白い悲鳴をあげるので圭太は楽しくなってもう一度突こうとしたが、なんとか復活した由美に虐待を受けて撃沈したのは言うまでもなかった。









「・・・痛い」

 帰宅道で、圭太が真っ赤になった頬をすりながら歩いていると、ようやく機嫌を直したのか由美が言った。

「さっきメール見たら旭さんと洋介さん、美春ちゃんも来るって!」

「他の人達は?」

 圭太がたずねると、笑いながら由美はケータイの画面を見せた。

「真子さんと凛ちゃんね。紗耶香ちゃんは用事があるみたい。翔子ちゃんは遠いから少し遅れるって」

「それでもそれだけ集まったんだね」

 圭太が言うと、由美はニコニコしながら言った。

「それじゃあ早く行きましょう!?夢への第一歩よ!!」

 そして走りだす由美を、圭太は困ったように笑って追い掛けた。








 それから一度帰宅した2人は、すぐに身支度をしてバイクに乗って、喫茶店『Yesterday』へ向かった。到着したのは集合時間5分前だった。

「もうみんな来てるね」

 圭太がFXを店の前に停めて言った。隣には洋介のヨンフォアと美春のサンパチが仲良く停まっていた。

「おじさんこんにちわ!!」

 由美が店のドアを勢い良く開け放つと、店からおじさんが出てきた。

「あぁ由美ちゃん。元気かい?」

「ええ!また手伝いに来るから呼んでくださいね?」

「はははっ、それは助かるよ!友達はあそこの奥にいるから、ゆっくりしていきなさい」

 言ってまた厨房に戻っていった。

「ゆーちゃーん!けーちゃーん!こっちだよぉ!」

 店の奥にある1番広い席から、間の抜けた美春の声が響く。隣には旭と洋介も座っていた。

「やぁやぁゆーちゃんにけーちゃん!久しぶり♪」

「久しぶり!・・・でも無いじゃない」

 由美が言いながら席につく。圭太も3人に挨拶して席についた。

「赤城姉妹は?今日は来るんだべ?」

 旭がたずねると、美春は時計を見ながら言った。

「2人はまだ少しかかるわね。隣街だしね」

「そーかい」

 言ってコーヒーを飲む。由美と圭太もそれぞれコーヒーを注文した。

「そういえば美春ちゃん、旭さんのこと許してあげたのね」

 由美が先日のミーティングの時のコトを思い出しながら言うと、美春はニッコリ笑いながら言った。

「うん!そのかわりに日曜日に沢山遊んでもらったよ♪」

「許してもらえて良かったわね旭さん」

 するとコーヒーを飲みながら旭が顔を少し赤くして言った。

「ま、まぁな・・・」

「あ!あっくん照れてるぅ♪」

「るっせぇ!」

 旭が「けっ!」とそっぽを向き皆が笑っていると、外から軽くも爆音の2スト音が響いてきた。しばらくして店の扉が開くと、真子と凛が姿を現した。

「真子さん!こっちこっち!」

 由美が呼ぶと、真子と凛はこちらに気付いて歩いてきた。

「遅れてすまないわね。道が混んでたのよ」

 真子が申し訳なさそうに言うと、後ろで凛がコソっと呟いた。

「それでもすり抜けしまくりだったけどな」

 2人は席について同じようにコーヒーを頼むと、本題に入った。

「で、今日ここに集まったのは?」

 真子がたずねると洋介と旭も頷いた。

「またどっかツーリングでも行くのか?」

「トオハツならこの時期向かねーぜ?」

 すると由美は「ふっふっふ・・・」と不気味に笑う。「今日集まったのは他でもないわ・・・今日は重大な提案があるの」

「提案?」

 真子が言うと、由美はまた不気味に笑ってから立ち上がった。

「そう・・・・・・!!私達でツーリングチームを作るのよ・・・!!!!」

 そして手を広げて堂々と言い放った。

「つ・・・ツーリングチーム・・・?」

 旭が言うと、由美は「そうよ!」と言って説明を始める。

「せっかくみんなバイクに乗ってるんだもの!チームにしたほうがカッコいいじゃない!!」

「あの、ゆーちゃん」

「なぁに美春ちゃん?」

 由美が指名すると、美春も立って質問をした。

「ツーリングチームにすること事態は賛成だけど・・・名前は?」

「美春ちゃん、気が早いわね!まずは賛成か反対かアンケートを取ります!!まず、賛成の人は挙手!!」

 すると皆一斉に手を上げた。

「楽しそうだしなぁ、オレはいいと思うぜ」

 凛が言うと、旭も頷く。

「オレもだ。揃いの服とか着て走ったらカッコいいしな・・・問題は、誰がアタマぁやんのかっつーことだが・・・」

 すると、洋介が声を上げた。

「オレやるオレ!アタマはオレ!!」

「バァカ、オレがやるに決まってんべ」

 すると由美はバン!と机に手を置いて言った。

「ちょっと待ってよ2人とも!リーダーは提案した私よ!」

 3人が睨み合っていると、真子がため息しながらやれやれといった感じで言った。

「こんなに早く仲間割れするなんてしょうがないわね・・・私が責任を持ってリーダーを・・・」

「な!?待てよ姉貴!!オレもやりてぇ!!」

「だぁかぁらぁ!!そこの2人も!私がリーダーって言ってるじゃない!!」

「ちょい待てよ由美ちゃん、ここは単車歴の長いオレが」

「歴なんて関係無いわよ。そーいうのなんていうか知ってる旭さん?年功序列って言うのよ?」

「いや、由美・・・それは全然全くもって関係ないから・・・」

 圭太が呆れてツッコミを入れるが、聞こえていないのか聞いていないのか。皆でギャーギャー言い合っている。つまりみんながみんなリーダーになりたいらしい。

「よぉし!じゃあここは間を取って私がリーダーをやってあげやぅ♪」

 美春が言うと、圭太を除く5人が一斉に「「「「「それはありえない!!」」」」」と叫ぶ。

「そ、そんにゃぁ・・・!」

 そして1人落ち込む美春を放置して討論は白熱。ついに埒が明かなくなってしまった。

 それからしばらくずーっと皆が騒いでいると、店の外からまたエンジンの音が聞こえたのに圭太が気付き店の入り口を見ていると、からんからんとベルが鳴った。ドアから外はねの髪の毛をした少女が入ってきた。

 少女はすぐにうるさい奥の席に気付いてこちらに歩いてきた。

「あ、圭太さん。遅れてすみませんでした」

 翔子が圭太に挨拶すると、圭太もそれに応える。翔子はギャースカギャースカ騒ぐ皆を見て圭太に質問した。

「あの・・・皆さんどうしたんですか?」

「実は・・・」

 圭太は今までの経緯をさらっと話した。

「なるほど・・・ツーリングチームですかぁ・・・素敵です!」

「でもみんな誰がリーダーをやるのかでずーっと揉めているんだ」

 呆れながら言うと、それまで騒いでいた由美がやっと翔子に気付いた。

「あ!翔子ちゃん、久しぶりね!」

「どうもです」

 すると皆も翔子に気付いて一旦騒ぐのをやめて、とりあえず落ち着いた。

「全く・・・みんなワガママで困っちゃうわよ」

 由美がぼやくと、旭がジロッと睨みながら「そりゃあ由美ちゃんもだべ」と言う。

「でも考えてみたらリーダーとかいらないような気が・・・」

 圭太が言うと、翔子もウンウンと頷く。

「リーダーを決めるよりも、なにか役割を分担したりしたほうがいいかも知れませんね。例えば・・・」

 コーヒーに砂糖とミルクを入れてくるくる掻き混ぜながら旭と洋介を見る。

「旭さんと洋介さんは、皆さんのバイクが壊れた時などに指示や修理を行う『メカニック』・・・真子さんと凛さんは行き先までの道のりなどを計画する『ナビ』とか・・・」

「なんか・・・地味だな・・・」

 翔子の提案に凛が微妙そうな顔で呟く。そんな凛を見て、圭太は笑って言った。

「僕はそれでも良いと思うよ?そうすればリーダーが1人でやらなきゃいけないことをみんなが協力してやるからスムーズに事が運ぶし・・・僕は賛成だよ」

 圭太が翔子の意見に賛成すると、場の空気が変わった。皆それぞれで話しながら意見を出す。

「よし・・・!オレと洋介ぁその話に乗ったぜ!」

 まず旭と洋介が賛成側に回った。

「私は最初からどっちでもよかったからそれでいいよぉ♪」

 美春も翔子にニコッと笑みを向ける。

「私達も賛成だ・・・圭太君が賛成して、私が賛成しないワケにはいかない」

「お、オレは別に圭太がどうとかじゃねーからな・・・!?ただ、なんとなく姉貴が賛成だからそれに乗っかっただけだかんな・・・!?」

 真子と凛も、なにやら怪しげな感じがぷんぷん臭うが賛成に回ったらしい。残るは由美1人だ。

「由美は?みんな賛成だけど」

「はぁ・・・仕方無いわねぇ、私もそれでいいわよ」

 少しがっかりしながら言う。そんなにリーダーになりたかったのだろうかと圭太が思っていると、すぐにニコニコ笑いながら翔子に詰め寄った。

「じゃあ翔子ちゃん!早くそれぞれの役割を考えましょうよ!」

 何故か急にテンションが上がっている。どうやらリーダー云々は由美や旭達の中ではもう過去の話らしい。皆期待の眼差しを翔子に向ける。

「あの・・・そんなに見ないでくださいよぉ・・・」

 皆にガン見されている翔子は少し恥ずかしがりながら小さな声で呟いた。やはり小動物系らしい。

「じゃあ、とりあえずみんながやってみたい役割を挙げていってください」

 顔を真っ赤にして撃沈した翔子の代わりに、圭太がノートとシャーペンを取出してメモを取る。

「オレ達はさっき翔子ちゃんの言った修理担当で良いぜ?」

 旭が言うと、洋介もコーヒーを煽ってから圭太を見る。

「地元ならともかく、ヨソの道なんかわかんないしな。オレ達は修理担当でよろしく」

 笑顔で言う洋介と旭に、圭太も笑ってノートにきれいな字で『修理担当 旭さん洋介さん』と書いていく。

 すると次に凛が手を挙げた。

「逆にオレはさっき翔子が言ってたナビ役は向かないと思うから、オレの代わりに翔子が姉貴とナビ役をすればいいんじゃね?」

「確かにな・・・凛は方向音痴だし、私としても翔子ちゃんがやってくれると嬉しい」

「いや、そんなに言うなよ姉貴・・・」

 真子の言葉に軽くへこみながら凛が呟く。

「じゃあ翔子ちゃんと真子さんがナビ役ね!」

 由美が翔子の肩をポムっと叩くと、翔子は気を引き締めて真面目な顔で頷いた。

「わかりました・・・!責任重大です!!」

 そう言って拳を握り締める。いつになく燃える翔子を横目に、圭太は『ナビ担当 真子さん 翔子ちゃん』と書き加える。

「後はどんな役がありますか?」

 圭太がたずねると、真子は「そうね・・・」と言って圭太を指差す。

「ツーリング先で掛かる費用を皆から集金したりする『会計役』・・・これは圭太君が適任だと思うわ」

 真子の意見に、皆が一斉に驚きの声を上げる。確かに大勢で高速道路やガソリンスタンドに行った時に別々に支払うと時間も掛かるし何より後続の人達に迷惑を掛けてしまう。皆から費用を集めて管理する『会計役』は確かに必要役職かもしれない。

「で、でも僕がそんな大任を任されてもいいんですか・・・!?」

 一方、選ばれた本人は自信無さげに皆を見るが、反対意見など出るはずも無かった。

「確かに、圭太は頭も良いししっかりしているからそういうの向いてるわ!」

 由美が笑いながら言うと、皆も頷く。この状態で拒否など出来るわけも無く、圭太はノートに『会計役 自分』と書き込んだ。

「では取り敢えず『修理担当』『ナビ担当』『会計担当』・・・一通りの役割が決りましたね」

 翔子がノートを覗き込みながら言うと、由美と美春と凛が一緒に手を挙げた。

「ちょっと待ってよ翔子ちゃん!私達の役割が決まってないわよ!?」

 由美が言うと、美春と凛も意見する。

「私もあっくんみたいにカッコいい役につきたいなぁ♪」

「オレを忘れんじゃねー!オレは何すりゃいい!?」

 そんな3人を見て、一同は首を傾げたり上を向いて唸ったりしながら考える。

「由美に美春さんに凛・・・」

「また微妙な組み合わせだな・・・」

 圭太と旭が頭を悩ませる。確かに、一見してなにか任せれそうな役職が見当たらない。

 すると真子が手を挙げた。

「・・・3人にぴったりな役職を思いついたわ」

「え!?本当真子さん!!」

「なになにマコリン!教えてよぉ!」

「期待してんぜ姉貴!!」

 3人の期待の眼差しを受けて、真子はフッと笑ってからその役職を言い渡した。

「その名も・・・おバカ担当」

 真子の口から出た言葉を聞いて、由美達3人はぽかーんと口を開けて固まってしまった。圭太達も唖然とするが、真子はかまわず続けた。

「この役職だけ特別にグループ名もあるのよ?ほら」

 言って、圭太のノートにすらすらと文字を書き込んでいく。

「ほら、こんな感じよ」

 呆然としている3人にノートを見せる。そこには『おバカ担当 ろくでなしーず(由美ちゃん、美春、凛)』と書き記されていた。

「お・・・おバカ担当・・・?」

「ろ、『ろくでなしーず』・・・?」

 美春と凛がショックのあまり茫然自失になっていると、一足先に復活した由美が『ろくでなしーず』と書かれたページをビリビリと破き捨てた。

「ちょっと真子さん!なんなのこの『ろくでなしーず』って!!酷いじゃない!!」

 まるで鬼のような形相で真子に詰め寄る。後ろの方ではやっと復活した2人「そーだそーだ!!」と声を上げる。

「ろくでなしーずは美春ちゃんと凛ちゃんだけ!!なんで私まで入ってるのよ!!」

「・・・」

「・・・」

 今の由美の言葉で、ろくでなしーずは一瞬で仲間割れした。3人がギャーギャー言って揉めはじめると、真子は「やっぱりろくでなしーずね」と言いながら頷く。その顔はどSモード時の怖い笑みを浮かべている。

「あの、真子さん・・・」

 そんな真子に恐る恐る声をかける圭太。

「ん?どうしたの圭太君」

「いくらなんでも、『ろくでなしーず』は少し酷い気がしますよ?確かに間違ってないかも知れませんが・・・」

 圭太が言うと、旭と洋介も後ろでウンウンと首を縦に振る。

「圭太君が言うなら・・・それなら『ろくでなしーず』はまた別の機会にして、普通の役職を考えましょう」

 真子が言うと、圭太達も頷いた。やはりろくでなしーずの名前は返上出来ぬまま話は元に戻った。

「そーいやさぁ、美春って以外とケガとかの治療に詳しいんよ」

 相変わらず仲間割れでギャーギャー騒いでいるとろくでなしーずを無視して旭が言う。

「確かに美春さん、旭さんがケガした時に的確な処置をしてましたね」

 圭太が最初に会った時のコトを思い出しながら言う。

「じゃあ美春さんは『応急担当』ですね」

 言って、圭太が紙に書いていく。

「残るろくでなしーずのメンバー2人は?」

 洋介がたずねると、翔子がおずおずと手を挙げた。

「あ、あの・・・!由美さんと凛さんには『外交担当』とかどうですか・・・?」

「外交?」

 圭太が聞き返すと、「そうです!」と言って説明する。

「由美さんも凛さんも行動力がありますから、他のツーリングチームと会った時やイベントに行った時にフロントに立つ重要な役割です!他にも例えば・・・ホームページを作って宣伝したりとか・・・」

「わかったわ!私がその役やるわよ!!」

「任せろ!!」

 翔子が説明していると、いきなり横から由美と凛が割って入ってきた。

「で、では・・・由美さんと凛さんは『外交担当』で決まりです」

 翔子が言うと、皆首を縦に振った。考えてみれば確かに2人に向いている仕事である。

 圭太もノートに『外交担当 由美、凛』と書いて一息ついた。

「ではこれにて、役割分担決めを終了します」

 圭太が言うと、皆それぞれに息をついたりコーヒーを飲んだりして一段落つく。

 そこでショートピースに火を点けた旭が紫煙を吐きながら誰にともなく呟いた。

「で、このツーリングチームの名前は?まさか獏羅天とかじゃねーべな?」

「なんだその微妙なチョイス・・・」

 旭の言葉に洋介が軽くツッコミを入れる。が、確かにそこは気になるところだ。

「なにか・・・私達に関係のあるモノを入れたいわね・・・」

 真子が考えながら呟く。

「関係があると言えばもちろんバイクだろ?」

 凛が言うが、それはみんなわかっているので他のコトで考える。

「みんな旧いバイクだよねぇ・・・旧車旧車♪」

 美春が窓の外にある自分達の愛車を見ながらはしゃぐ。

「旧車・・・旧車・・・」

 洋介がぶつぶつと呟く。

「なんつーか・・・難しいな・・・」

 灰皿にタバコを押しつけて旭も頭を悩ませる。なかなかいいアイディアが出てこない。

「僕達に関係のある旧車っていうワードを名前にするのは難しいかも・・・」

 さすがの圭太もお手上げのようで、他に使えそうなワードを探っていく。

「何か他に無い・・・私達ならではの名前がいいわ。絶対にあるはずよ・・・!」

 由美はすでに頭を抱えている。中途半端な気持ちで無く、これからもずっと一緒に走っていきたい友達とやるチームの名前を、適当や思い付きで決めたくない。由美と同じく、皆も同じ想いで考える。

 しばらくの沈黙。今日はもうダメかと由美が思い出していたその時、翔子がおずおずと手を挙げた。

「あ・・・あの・・・」

「何?翔子ちゃん」

 由美が言うと、皆の視線が翔子に向く。

「あ・・・あの、その・・・やっぱりいいですっ!!」

 視線に耐え切れずに緊張してまた座ってしまった。

「翔子ちゃん、いいから言ってみなよ。オレらじゃもうなんも出てこないからさ」

 洋介が優しく言うと、翔子はまだ少し緊張気味な表情だが立ち上がった。

「あの・・・わ、笑わないでくださいね・・・?」

「魔覇羅蛇とか鬼雷党とか言わなきゃ大丈夫だよ」

 緊張をほぐすために、洋介が軽いジョークを飛ばす。

「じ、じゃあ言います・・・!!」

 いよいよ決心したのか、深呼吸をしてからその名前を紡いだ。

「き、『旧車物語』・・・です・・・その、皆さんとの共通点の『旧車』と、私達がこうして出会うまでの『物語』・・・そしてこれから作っていく『物語』で繋げてみたんですけど・・・・・・」

 言って皆を見ると、みんな黙って翔子を見つめていた。翔子は慌てて両手をブンブン振って言った。

「あ、そ、その・・・!!ゴメンなさい!やっぱり安直でしたよね・・・!!やっぱり今のは無しで・・・!」

「ちょっと待って!!」

 慌てて自分で自分の案を否決する翔子を由美が慌てて止める。そして驚きと嬉しさがごちゃ混ぜになったような表情で翔子に叫んだ。

「その名前・・・凄い良いじゃない!!」

「・・・へ?」

 絶賛する由美。そして唖然とする翔子。そんな翔子を置いて皆も絶賛の声を上げた。

「それいいよぉ、すっごくいいよぉ♪」

「おぉ、確かに・・・オレ達が作る物語・・・スカしてんじゃねーか!バリよバリ!!」

「『旧車物語』・・・他には絶対にいないし、意味も私達にピッタリだ・・・」

「さすがだぜ翔子・・・!!サンゴーフォアは伊達じゃねーな!!」

 旭や真子達のかなりの大絶賛に、翔子は未だ唖然としている。

「こ、こんなので・・・いいんですか・・・?」

「変に格好つけるより全然いいよ!『旧車物語』・・・スゴくいい名前だと思うよ?」

 圭太が唖然とする翔子に言った。柔らかく曲げられたその目は優しげに翔子を包んだ。

 すると席の奥にいた洋介が近づいてきて固くなっている翔子の緊張をほぐすように肩を叩いた。

「さっすが翔子ちゃん・・・!!オレは感動すら覚えたぜ!?」

「で、でも・・・私なんかが考えた名前で良いんでしょうか・・・?」

 ここまで来て、まだ自信が無さそうに呟く。が、洋介はそんな翔子の頭に手を乗せてわしゃわしゃと撫でた。

「もっと自信持ちな!こんな良い名前、翔子ちゃんしか出て来ないさ!!」

「そうよ翔子ちゃん!」

 すると由美も翔子の手を握って強く言った。

「こんなに素敵な名前を考えるんだもの・・・もっと堂々としなきゃダメよ!特に、私達はチームにしてそれ以上に友達なんだから!遠慮はダメよ?」

 由美が言って後ろを振り返る。翔子もそれに習って由美の後ろを見れば、そこには暖かい視線を送る仲間がいた。

「それじゃあみんな!チーム名『旧車物語』で決まりでいいかしら!?」

 由美が叫ぶと、皆それぞれに賛成の声を上げた。

「しーちゃん、素敵な名前をありがとうね♪」

 美春の言葉がきっかけになり、皆が暖かい拍車で翔子を迎える。すると翔子は唖然とした表情から一変、皆の暖かさに涙が出てしまう。嬉し泣きに顔を染めながら泣き出してしまった。

「おいおい由美ちゃん、翔子ちゃん泣かすなよなぁ」

「わ、私じゃ無いわよ旭さん!洋介さんの頭を撫でる力が強かったから泣いてるのよ!」

「え!?オレ!?」

 洋介がオーバーリアクションを取って驚いている。

「み、皆さん・・・!あ、ありがとう・・・ご、ございます・・・!」

 翔子が途切れ途切れながら、皆に言う。圭太や旭達もうんうんと頷きながら見ていると、突如由美が「よぉし!そうと決れば!」と言いながら圭太のノートから1枚切り取った。

「今から私達のチーム・・・!!『旧車物語』のロゴや書体を決めたいと思うのだけど、どうかしらみんな!?」

「お?いいじゃねーか!!漢字の当て字なら得意だせオレぁ!!」

「おいおい旭ぁ、族じゃないんだぜ?」

「わ、わかってんよ・・・・!!あ、千尋も入れてやろうかな・・・」

「もちろんちーちゃんも入れてあげやう♪あっくんもみんなも嬉しそうだね♪お姉さんも嬉しいよぉ♪」

「よし凛・・・紗耶香に連絡を」

「言われなくてもメールしてる途中だぜ姉貴!」

 由美の掛け声に皆も笑みをこぼして話し合う。あれがいいだこうしたいだ、ステッカーとか作りたい、いつかチームでジャケットを作りたい・・・少年少女達はそれぞれの想いを形にするべく意見を出しあう。そんなみんなを翔子が見ていると、圭太と由美が声を掛けてきた。

「見てよ翔子ちゃん・・・もう僕達の『物語』が始まってるよ」

「私達にしか描けない『物語』・・・!一緒に作って行きましょう!?」

 そんな2人の暖かさに触れた翔子は一度下を向いて涙を拭き、満面の笑みで2人をに向き直る。

「はい!!」

 そして辺りは一気に騒がしくなった。

「よぉ旭ぁ、書体はもっとシンプルでいいんじゃないか?」

「バッカ洋介オメー、格好いい方がイイべや?」

「ちょっと旭さん!?それはみんなで決めるのよ!?」

「しーちゃーん♪泣き足りなかったらこの適度に豊満なお姉さんの胸で泣いてぇ♪」

「え!?いや、そのパターンはもう大丈夫で・・・ぶっ!?」

「紗耶香から連絡は?」

「来たぜ姉貴、今から急いで来るってよ!!」

 そんなこんなで皆が皆、思うように言い合ったり提案したりと一気に活気付いた。それを見ながら由美と圭太は互いに笑顔で見合った。

「まさか本当にチームが出来ちゃうなんて・・・思いもしなかったわ・・・」

 冷めてしまったコーヒーを一口飲んでから呟くように言った。

「こうして僕達も・・・新しいことをいっぱい見つけて行けたらいいね」

「そうよね!私達だけの物語にしましょう!?」

 由美が嬉々として言う。そんな由美を見て圭太は頷きつつ、ふと翔子と美春を見て2人を指差した。

「とりあえずあれなんとかしないと・・・」

 圭太が指差した方を由美も見れば、美春の胸の中でぐったりしている翔子が・・・

「あー!?み、美春ちゃん!翔子ちゃんが・・・!」

 由美が驚愕しながら美春に叫ぶと、美春は胸の中でグッタリしている翔子を見た。

「あ・・・またやっちった♪」

「もう三度目じゃない・・・!翔子ちゃんしっかりして!?」

 瀕死の翔子に必死で呼び掛ける由美、原因を作った美春の頭を拳骨でグリグリする旭と洋介、心配そうに見つめる赤城姉妹を見て圭太は呟いた。

「最初から読み疲れる物語になりそうだなぁ・・・」






 こうして、10人からなるメンバーが集まり『旧車物語』は新らたな物語の1ページを捲った。未だ白紙のページに彼、彼女らはどんな物語を書き綴るのか。それは先にならなければわからない。


今回は両ラジオともにありません汗

さて、今回のお話はいかがだったでしょうか?

ご意見ご感想ご指摘等、ありましたら宜しくお願い致します。<(_ _)>


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