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旧車物語  作者: 3気筒
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第2章 ハガキとコンビニとリーゼントと・・・

こんにちは~

今日も投稿します!相変わらずグダグダですが、宜しくお願いします。


あとがきはキャラ紹介です。

 あれから数日後の金曜日、いよいよ明日、由美の愛車が車検から帰ってくる。帰ってくればあのゼファー改は正式に由美の物になる。

 朝の通学路から落ち着かない由美は、スキップをしながら鼻歌まで歌い出す始末。横を歩いている圭太は朝から周りの目線を気にしながら歩かなくてはならなかった。

「あー楽しみだよー!なんか修学旅行の前日より楽しみだよー!」

 スキップしながらルンルン気分で由美が言う。

「由美〜、少し落ち着きなよ」

 あきれ顔で言う圭太の目の下には薄らクマが出来ていた。それはここ数日、由美の電話のせいで深夜まで起きているからである。あの日から由美はバイクに乗ったらまずはいっしょにツーリングに行こうと計画を立てまくっていた。

「でね、最初からあんまり遠くに行くと疲れるから、最初は隣町にあるダムに行きましょう!結構自然があってきっと楽しいわ!!」

 昨日からずっとこの調子である。まぁ、明日は土曜で他に用事もなにも無いから別にどうということは無いが・・・

 そして放課後、圭太と由美は二人で学校を後にして歩いていた。

「今日は私明日に備えて準備しなきゃいけないから、今日は早く家に帰ってバイクの妄想・・・じゃない、想像とか明日の計画も立てなきゃいけないからじゃあね!!」

 家が向かいの一件隣だから、ほとんど道がいっしょなんだけどとりあえず別れた。



 家に着いてそれからしばらくリビングでたまっていた小説を読んでいると、1つ年上の姉に呼ばれた。

「圭太、ちょっとコンビニまで行ってきてくれない?」

「どうかしたの?」

「ちょっと買い物頼める?ハガキを買ってきてほしいのよ~」

 どうやら、最近ハマってる雑誌の懸賞用のハガキが切れたらしい。中学生みたいなことが好きな姉である。

 「一昨日もハガキ買ってきたじゃん、もう無いの?」

 ハガキの切れるスピードの速さに呆れていると、姉、中山茶子は胸を張って答えた。

「懸賞は枚数と創意工夫が必要なの!電波少年なの!!」

 なにやら意味のわからないことを喚いている。

 なんか良く分からない変人だが、これでも茶子は一応今年の春から東京にある大学に通っている。

 そして大学に「懸賞部」を作ろうとして大学に申請したが、2秒ではじかれた。ちなみに高校では「ほふく前進部」を作ろうとして同じ目に逢っている。まさに変人である。

 しかし顔はいい為、毎年春は彼女の性格を理解していない男子が声をよく掛け、本性が判るとすぐに破局する。そしてその最速記録は4時間とシューマッハも驚きの最速スピードである。

「わかったよ、今回は何枚買えばいいの?」

「50枚」

「多くない!?」

 驚いて圭太が聞くと、茶子は余裕の笑みで言った。

「甘いはね・・・まだまだ少ないくらいよ。はい、3000円!お釣りはあげる!」

 そう言って、3枚の野口を渡して茶子は自室に戻っていった。

「恥ずかしいなぁ・・・コンビニで50枚って言うの・・・」

 1人残された圭太がため息をついた。

 玄関を出てガレージのシャッターを開ける。自転車で行けばよかったが、明日バイクに乗るのに今まで全然乗っていなかったし、どうせ1件のコンビニには50枚も無いので、感覚を取り戻すついでにFXで行くことにした。

 バイクをガレージから出してキーを捻り、コックを捻ってチョークを引いてセルを回す。


 キュルルルル、ボワっ!!


 一発で掛かってくれた。バイクに乗らない間にバッテリーを外していて正解だった。

 道路に出て、ギアをローに入れて半クラしながら発進。とりあえず町を流してみた。


 ・・・


 町を走ってまだ15分くらいしか経っていないのに、圭太はなにか変な気持ちになった。

 町行くライダー、特に若いビックスクーターに乗った人とすれ違ったりすると物凄く見られるのだ。さっきなんか、後ろから来たバイクに思い切り煽られた。

 ライダーだけじゃない、道を歩いているヤンキー風な奴もガン見してくる。なにかいけないのだろうか? とりあえず目的のコンビニに着いた。

 そこでまず20枚のハガキを買った。20枚でも店員に変な眼で見られているようで恥ずかしくなる。

 そして2件目のコンビニに到着。とりあえずエンジンを切って、店内に入る。

 目的の買い物が終わりバイクに向かうと、どうしたことか、バイクが不良少年三人に囲まれている。

 あまり関わりたくないが、自分のバイクなので勇気を出して行った。

「あ、あのぉ〜、それ僕のバイクなんだけど」

 なんとかそれだけを言って圭太は相手の反応を見る。

「あ?このフェックスがお前の?」

「フカしコイてんじゃねーぞ?コラ!?」

「お前みたいなダサ坊がフェックス?ざけんじゃねーぞ・・・?」

 三人とも、かなり怒ってる。どーやら圭太が乗っていることに文句があるらしい。

「ダサ坊先輩、ちょっとバイク貸してよ?すぐに返すからさ」

 ニヤニヤしながら1人の金髪にピアスを開けた奴が言った。もちろん、圭太に貸す気はない。

「勘弁してよ・・・僕、そろそろ帰らないと・・・」

 なるべく揉めないように言う。しかし、彼らはキレた。

「あ!?ざけんじゃねーよ!!てめえダサ坊のクセによぅ!?」

「じゃあよ、没収しちまうか?2、3発殴りゃ言うこと聞くべ?」

 なんで自分がこんな目に会わなきゃいけないんだ!?なんて心の中で叫ぶ圭太に向かって、金髪ピアスが拳を振り上げようとした時、駐車場に爆音が轟いた。


 バリバリバリバリ!!!

 カーン!カーン!!


 その方向を見ると、辺りに爆音と白煙をまき散らしながらバイクが二台こちらに来る。

 圭太を含め4人は、そのバイクに釘付けになった。

 ハンドルが上に上がっていて、乗りにくそうだ。バイクは爆音を響かせながら停まった。そして白いカフェヘルを脱いだ男を見て圭太は驚いた。

 今どきリーゼントパーマ。しかもグラサン着用である。いくら流行に疎い圭太でも十分に古いスタイルと言うのがわかる。しかも見た目がめちゃくちゃ怖い。

 ヤンキー三人は顔を真っ青にして震え上がっていた。まるでこの世の終わりみたいな顔をしている。

「あ、旭先輩・・・!?」

 金髪ピアスが泣きそうな顔をしながら震えている。どうやら知り合いのようだ。

「おぅ、テメーら。」

 旭と呼ばれた人がこちら、とくに三人の方を向いて話し掛けてくる。

「テメーら、寄って集って1人のパンピー3人で囲んでナニやってんだ?」

 ドスの効いた声で、彼は聞いた。

 金髪ピアスが泣きそうな顔で説明しはじめた。

「い、いや、違うんですよ先輩?このガキがフェックスなんか乗っていたから、生意気だと思って、その・・・」

 声まで震わせて弁解する金髪ピアスを尻目に、旭先輩がバイクから降りた。

「あ?パンピーがフェックス乗っちゃいけねーなんて決まりがあんのか?テメーら」

 バキッ!!

 旭先輩の拳が金髪ピアスに飛び、金髪ピアスは文字どおり吹っ飛んだ。

 残り2人にも一発ずつ、鉄拳を入れていく。

「テメーら、今からこの人に謝れや。」

 そういうと、三人は泣きながら圭太に見事な土下座してきた。

「す、スンマセンでした!許してくださぁい!!」

 もはや三人とも泣きながらの謝罪に圭太は「え、あ、うん」としか言えなかった。

「よし、じゃあもうテメーらは行け。次やったらどーなるかわかったか?」

「は、ハイ!スンマセンでしたぁ!!」

 三人はダッシュで逃げていった。

「おう、オメー」

 びくぅ!!

「ななな、なんですか?」

 ビビリながら、精一杯出来るだけの声を出して圭太が聞くと「まぁそんなに固くなんな」と言って旭が続ける。

「ケガ無いか?俺は霧島旭あきらってんだ。よろしくな!」

 さっきと打って変わって明るく、全然ドスの効いていない声で自己紹介された。

「ぼ、僕は中山圭太です・・・!」

 なんとか出せた。

「そーか、いい単車に乗ってるよな〜、俺もFペケ好きなんだよ」

 そういいながら圭太のFXを眺める旭は、さっきまでと違いニコニコしていた。

「お前、この辺は変な奴いっぱいいるからよ。単車乗ってるってだけで絡んでくるバカがたくさんいるからまた絡まれたら『旭のダチだ』って言いな?そーすりゃOKよ」

 そういいながら、FXを見ている旭に、圭太が話し掛けてる。

「あ、あのぉ!」

「ん?」

「そ、そのバイク、なんて言うんですか?」

 そういって、二台のバイクを見る。旭といっしょにいた人はまだヘルメットをかぶってバイクから降りていない。

 二台とも同じ型のバイクである。

「あぁ、ありゃスズキのGT380って言ってな、通称サンパチってんだ。てーかよ、FX乗っててなんでサンパチ知らねんだよオメー」

 心底わからないと言う顔で(グラサンをしていてわかりにくいが)聞いてきた。

「じつは親父から押しつけられて・・・成り行きで乗ってるだけだからこのバイクがどういうバイクかわかんないんですよ。ただ、親父から名前だけは昔から聞いていて・・・」

 なんとか伝えると旭は「はぁ・・・」とつぶやいた。

「じゃあこのFXがどういう人間に人気があるのか、を知らないんだな?」

「え?」

 わからない顔をする圭太に、旭が説明をした。

「俺んサンパチもそーなんだが、FXっつーのは族、つまり暴走族や旧車會なんかで人気が高いんだ。市場じゃあ100万つけて売るショップもザラじゃない。」

 旭の説明に、圭太はショックを受けた。これからはどこに行ってもこんな感じで絡まれるのだろうか。ケンカは弱くはないが、さっきみたいに複数人で来られてはなすすべもない。真っ青になって考えている圭太に旭がおかしそうに笑う。

「そんなには深く考えんなよ。さっきみたいなのは滅多にねーんだからよ」

 そう、旧車に乗っているとときたまこういう目にも会うことはあるが、ほとんどは羨望の眼差しや、憧れの的になることもあるのだ。

「あ、ちなみに俺は暴走族じゃあないぜ、そこんとこよろしくな!」

 そして、もう一人のサンパチ乗りの人がやっとバイクから降りてヘルメットを脱いだ。

「紹介するよ、こいつは真田美春、俺の友達だ・・・って痛っ!!」

 旭みたいに、てっきりめちゃくちゃ怖い人が出てくるのかと思っていたら逆にめちゃくちゃ可愛い女の子だったため、拍子抜けした。

 ショートカットにした髪に、綺麗な顔立ち、出ているところは出ていて、引っ込むところは引っ込んでる。脚も長くて、パーフェクトだが、ヘルメットで旭の頭を殴るあたりかなり怖いのかも。

「いてぇ・・・!なにすんだよ!?」

 若干涙目で、(例によってグラサンでわからないが)旭が訴える。

「友達って紹介するからよぉ~、怒っちゃうぞぉ!」

 すでに怒りながら、少し間延びした声で美春は言った。

「だって恥ずかしいんだもんよー、お前みたいな可愛いのと、俺みたいなバカが付き合ってるって言うのが」

 確かに美春と旭が付き合ってるなんて、見ただけでは全く思えないがそんなことを言えば旭の恐ろしい鉄拳と美春のヘルメットが飛ぶから止めた。

「ちなみに赤いサンパチが俺ので、青いのが美春のヤツな。」

 マフラーからタンクラインまで同じサンパチ。結構迫力があり、旭のサンパチはハンドルが鬼ハンでツノみたいに上に伸びている。対して美春のは普通のハンドルだ。

「ま、とりあえず俺の方からFXに乗ったヤツは俺のダチだから手ぇ出すなって市内に話回しとくから、また会おうや、これ番号な」

 そういってメモ用紙にケータイの番号を書きなぐり、圭太に渡した。

「明日ぁ隣街のダムまで美春とツーリング行くからよぉ、暇なら来いよ!」

「あ、僕も明日2人で隣街のダムに行きますよ!」

「ほぉ、マジか!だったらまた連絡くれ!合流出来そうなら合流しようや!!」

「はい!こちらこそ!!」

 そして旭と美春がそれぞれ、自分のサンパチに乗りキックでエンジン始動、あたりにバラチャンの爆音と2スト特有の白煙を轟かせ、圭太に手を振りながらコンビニの駐車場を後にした。

 旭たちが去った後、残された白煙はカストロールの甘い香りがした。


登場人物紹介


中山茶子

職業 大学1年生

誕生日 2月14日(現在18歳)

髪型 長髪(明るい茶色)

身長 164㎝

愛車 とくに無し

家族構成 父・母・圭太(弟)

好きなもの 圭太・家族・由美・友達・懸賞・蟻の巣に水を流すこと・牛乳茶づけ


嫌いなもの 自分を変っていう人・生の魚類・

圭太の姉。幼少のころから変人で近所では少し有名。頭は良く、スタイルもいいので、男からはもったいないと言われている。由美とは圭太と同じく幼稚園からの付き合いで、実の姉のように慕われている。

霧島旭

職業 ラーメン屋・バイク屋

誕生日 12月1日(現18歳)

髪型 リーゼントパーマ(黒)

身長 175㎝

愛車 GT380改

家族構成 父・母・妹

好きなもの 美春・仲間・GT380・カレー・ロックンロール・革ジャン・

嫌いなもの 美春に手を出す奴・筋の通らないこと、または人・自分の顔

細い眉毛、リーゼントパーマ、革ジャン・・・などいかにも『昭和ヤンキー』な見た目をしている男。硬派で熱血漢で喧嘩はめっぽう強くて・・・と隙がないように見えるが、美春にはめっぽう弱い、というか甘い。いつもグラサンを掛けているが素顔は意外とイケメンで、本人はそれがコンプレックス。パワーの割に身体は細い。


真田美春

職業 ラーメン屋・スーパーのレジ打ち

誕生日 5月3日(現18歳)

髪型 襟足長めのショートカット(蒼黒色)

身長165㎝

愛車 GT380改

好きなもの 旭・旭の観察・旭といること・圭太と由美・GT380・カレー・晴れた日

嫌いなもの 旭を悪く言う奴・旭を傷つける奴・汚い人

旭の彼女。旭には似合わないくらい美人。どこかのんびりした口調で、頑張り屋だがどこか抜けていることが多い。何やら暗い過去を背負っているようだが・・・?旭のことが大好きで、旭に害をなす者には恐ろしいことも平気で実行する、ある意味一番怖い娘


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