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旧車物語  作者: 3気筒
12/71

第12章 それぞれの朝

お久しぶりです汗

時間が無くて更新が遅れております泣

ところで、こんな駄文にこんなジャンル。

需要はあるのか!?あるわけねーべ!!←旭風

でも、性懲りもなくこれからも書いていこうと思います←

 早朝5時半、最初に目を覚ましたのは、一番初めにぶっ倒れた旭だった。

「・・・」

 軽い頭痛を押さえながら、昨夜の出来事を思い出す。部屋を見渡し、こぼれた酒や物の散らかりようを見てため息をつき、とりあえず美春と翔子は後でお説教することが即決定された。起き上がり、まだまだ眠りから覚めそうに無い皆を踏み潰さないように洗面所へ行く。


『ぐにゃ』


「?」

 なにかを踏み潰したらしく足を退かすと、そこには苦しそうな顔をした圭太がうなされながらぶっ倒れていた。

 旭は、とりあえず洗面所にたどり着き顔を洗い、歯を磨き、アパートの共同風呂に行くため、タオルと石鹸を持って部屋を静かに出た。今どき珍しい木造のアパートの通路を一番奥に進むと、まだ早朝ということもあって、お湯は張ってあるが沸いていない風呂場に着いた

。とりあえず沸かしながら頭を石鹸→シャンプーの順番で洗う。リーゼントのセットに使っている『ヤナギヤポマード』は油性なので、最初に石鹸で洗わないと落ちないのだ。

 とりあえずお湯も沸き、湯船に入り、ふぅっと一息。今日は翔子がうちに来た本来の目的であるサンゴーフォアの修理をしなければならない。

 風呂から上がり、服を着る。上は黒いTシャツ、下は黒いニッカという出で立ちで、ドライヤーで頭を乾かす。パーマがかかっているため、何もしなくてもリーゼントが出来上がる。パーマのかかっていないサイドや後ろは匂いのしない水性ポマードで押さえた。


 外に出て思い切り伸びをした後、玄関に置いてある工具箱を引っ掴んで、サンゴーフォアのもとに歩いていく。

 とりあえず、タンクからガソリンコックと、キャブレターを取り外すのにタンクを外す必要がある。

 タンクの中のガソリンは、昨日の時点で相模湖の駐車場でお漏らししている為あまり入っていないが、ポンプで吸い取りながら空のポリタンクに移していく。

 抜けたらシートを外して、タンクを止めているボルトを外す。そしたら、傷つけないよう、慎重にタンクを持ち上げる。



 パラリ・・・



「!?」


 タンクを持ち上げた時、なにかが落ちた音がした。が、その音はバイクなどの部品である鉄ではなく、なにか軽い物のような音をたてた。

 不思議に思ってタンクを一旦地面に敷いた新聞紙の上に静かに置いた後、地面を見てみると、薄汚れた小さな茶封筒が落っこちていた。

 タンクとフレームの間に挟まれていた為、ものすごく折れ曲がった茶封筒は、長い間そこにあったらしく、所々に油滲みがある。

 旭はそれを拾う。中でカサカサと音がするので、手紙自体はどうやらビニール袋に入っているらしい。裏を見ると、『翔子へ』と書いてあり、下の方には『衣笠佳代』とある。おそらく、今は亡き翔子の本当の母親の名前である。

 一瞬、開けて中身の手紙を見てみようと封を切ろうとして、止めた。人の手紙を見るのは趣味じゃあない。

 旭は茶封筒をそのまま胸のポケットにしまった。後でお説教したら渡そうと思った。

「とりあえず、コックからいくかぁ」

 旭は1人作業に入った・・・





「・・・朝かぁ・・・」

 旭が作業に入って1時間くらいたった朝7時半。圭太が目を覚ました。うつ伏せのまま起き上がろうとして腕に力を入れるが、身体が重い。それは、体調が悪いとかダルいとか面倒くさいとかでは無く、物理的に重いのだ。

「あれ・・・なんか上に・・・?」

 なんとか起き上がると、上に乗っていたものが『ドスン』と音を立てて落ちた。どうやら由美の足が圭太の背中に乗っていたらしい。大きないびきを掻きながら、由美が寝ていた。

「まだみんな寝てる・・・?」

 圭太があたりを見回すと、同じくぶっ倒れている翔子が静かな寝息を立て、奥の方で寝ている美春が「あっく〜ん・・・すきぃ・・・」とか言いながら寝ている。

「旭さんがいないなぁ・・・」

 とりあえず立ち上がり、軽く背伸びをしてから圭太は玄関に向かう。

 ドアを開けて外に出るとそこには、旭がサンゴーフォアのタンクに、もらったヨンフォア用のガソリンコックを付けようと格闘していた。

「おはようございます」

「おぉ、圭太か」

 旭は、圭太をチラッと見て挨拶をした後、またすぐに作業に戻ってしまった。

「難航してるんですか?」

 圭太が上から覗き込みながら聞いたら。旭が小さいスパナを使いながらナットを締めて、ちゃんと装着出来たかを確認しながら答えた。

「おぅ・・・やっぱしポン付けとはいかなかったわ。なんとかコック側を加工してくっつけた」

 ひっくり返されたタンクの裏を興味ありげに見ている圭太に旭が言う。

「とりあえずコックはOK。次はキャブだな」

 そうして、タンクを隅の何も無いところに置いた。作業中、何かあって塗装がハゲたりタンクが凹まないようにする為だ。

 純正エアクリーナーボックスを外す為に、サイドカバーを開ける。すると、なにか小さな黒い箱が鎮座していた。

「なんでこんなモン・・・?」

「どうしたんですか?」

 何かを疑問に思っている旭に、圭太が訪ねる。素人目には全くわからないが、旭には何か気になる代物らしい。

「GPSだ」

「え・・・?」

「盗難防止に、シート下やサイドカバー下なんかに付けるモンなんだが・・・翔子ちゃん、よくこれ付けれたなぁ」

 そう言って手に取ったのは、GPS発信機だった。判りやすく言えば、『ココセコム』と似たような物で、盗難されたりしても、GPSが発する電波で、『今それがどこにあるのか』が分かるのだ。

「お母さんからもらったって言ってましたから・・・よほど大事なんですね〜」

 圭太が呑気に言うが、旭には引っ掛かることがある。

 この『ココセコム』など、いわゆる『盗難保険』みたいな物で、月々利用料がかかるのだ。昨日軽トラの中で話を聞いた限り、家族との関係が良好では無く、バイトもしていない一介の女子高生の翔子が、GPSを付けれる余裕が果たしてあるのか・・・

 それに、箱には『GPS』と書かれたラベルが貼ってあるものの、メーカーや貸出会社の名前は1つも書いていないのだ。

 しばらく考えていたが答えは出てこず、とりあえず今は目の前のキャブレターの交換をすることにした。

「まぁ、いいか・・・とりあえず作業に入ろう」

「僕も手伝います」

「マジか?サンキュー。まぁ、交換だけだからあまり時間はかからねーし、勉強ついでにやってみっか?」

 そうして2人は作業に取り掛かる。旭の指示にしたがいながら、圭太も手伝う。なれない手つきだが、旭のわかりやすい説明を受けながらなんとかこなしていく。2人は真剣な表情でバイクに向かった。






「ふに〜・・・」

 朝8時頃、窓から漏れる日の光を感じながら美春が目を覚ました。しばらく布団の上で頭痛のする頭を出来るだけ回転させながら昨夜のことを思い出していたが、自分がお酒を飲もうと言い出したあたりまでは覚えているが、そこから先は全く覚えていない。辺りを見回すと、旭の姿が無い。

「あれ・・・?あっくんは・・・?」

 寝呆けた頭で昨日のことを頑張って思い出すがまるで思い出せない。そこで、参考資料として以前酒を呑んだときはどうなったのかを思い出すことにした。

「確か前は・・・」

 思い出す過去の出来事。酔っ払った勢いで旭の頭をわしわし撫でたり旭の頭にビールをかけたり旭の膝枕の上で嘔吐したり・・・

 前の自分の失態を思い出し、もし今回もそんなことをしてしまっていたら・・・

 美春は恐怖と悲しさでガクガクと震えた。脳内妄想は嫌な方向へどんどんフル加速していく。

『オレ、お前みたいな酒に溺れた女、デェーッキレーだから!』

 と言って、自分に背を向けて部屋から出ていく旭の姿を想像して、美春は泣きそうな顔で布団から飛び出した。

「あっくん!!ごめんなさいですからどこにも行かないでぇ!!」

 玄関を飛び出して、いきなり叫ぶ。朝から近所迷惑で誤解を生むような発言をした美春を、2発目のキャブレターの調整をしていた旭と圭太が不思議そうに見つめる。

「なにしてんだ?オメってよぉ?」

「美春さん、おはようございます」

 2人がバイクをイジッている光景を見て、美春は「へ?」とアホな子みたいな顔で立ち尽くし、その後すぐに安堵の顔になって「よ、よかったぁ・・・」と言いながらへなへなと崩れた。

「朝から近所迷惑な悲鳴上げンなよ、タダでさえ単車がウルセェんだかんよ?」

 言いながらまたキャブレターに向き直ろうとしたが、「あ・・・そーいやぁ」と旭は顔を上げた。

「ところで美春ぅ・・・オメ、昨日はよくもみんなに酒なんか飲ませやがってぇ・・・!」

「ギクッ・・・!」

 旭が立ち上がり、美春に向かって歩きだす。サングラスをしていない為、その怒った表情が逆に怖い。美春は身の危険を感じ、少し後退りした。

「ご・・・ごめんなさい!」

 即座に土下座モードに入る美春。しかし、旭は容赦無く美春の前に立ちはだかった。

「オメー、すーぐ酔っ払ってダメになるんだから酒なんか呑むな!大体、由美ちゃんとか翔子ちゃんなんか昨日酷かったんだぞ!?未成年なんだから呑むな!呑ますな!」

「あっくんだって未成年なのにタバコ吸ってるじゃ・・・」

「みぃ〜は〜るぅ〜・・・!?」

「ごごご、ごめんなさいです!!」

 自分のコトは棚に上げて怒る旭に美春が不満を言うが、旭の怖い顔に美春は黙ってしまった。

 それから延々、旭はキャブレターを治しながら美春に説教をするコトになった。






「むにゃ・・・?圭太・・・?」

 それから33分後、由美が起きた。

 辺りを見回すと、自分の部屋では無いコトはなんとか理解した。

「ここドコ・・・?」

 だんだん頭を覚醒させながら、由美はここが旭の家で、昨日は泊まりで皆で酒を飲んだコトを10分位かけて思い出した。最後は翔子と2人で酒を無理やり飲ませ合い、ぶっ倒れたのはさらに10分かけて思い出した。

「翔子ちゃんにお酒は禁物ね・・・」

 自分が言えたコトでは無いが、由美はそう思った。もう二度と飲まない。いや、それはさすがにアレだから、「成人するまで禁酒」を心の中で誓った。

「あ〜・・・圭太達がいない・・・?」

 周りを見て圭太達がいないのを確認して、由美は少し考えてから、昨日翔子が旭の家に来た目的を思い出した。今ごろ、外でサンゴーフォアを治しているんだろう。

「あ・・・旭さんの声が聞こえる・・・」

 玄関の外から、旭の声が少しだが聞こえる。内容はわからないが、旭の声しか聞こえない。

「独り言かしら?」

 少し外が気になるが、今はとりあえずまだ寝ている翔子を起こそう。そう思い由美は翔子を探す。

 翔子はこたつ机の横に小さくうずくまりながら寝ている。気持ち良さそうに寝ている翔子の寝顔を見て、悪いと思いながらも由美は翔子の肩を揺すった。

「翔子ちゃ〜ん、朝よ?」

 2、3度揺するが、全く起きる気配は無い。寝言で「帰ります~・・・」とか言っている。

 由美は、その意味不明な寝言を聞いて笑ってしまった。

「まぁ、昨日あれだけ飲んだら、疲れちゃうわよね・・・?」

 翔子の幸せそうな寝顔を見て由美は近くにあった毛布を翔子に掛けた。翔子から聞いた友達関係の話が本当なら、こんなに楽しんだのは初めてなんじゃないかと思った。

「昨日ははしゃいだからなぁ・・・」

 翔子の顔を見ながら、昨日の夜のコトを思い出す。

 興味本位で酒を飲んで、酔っ払って、挙げ句の果てには美春と翔子の3人が最後まで残って、自分の圭太に対する想いを話し、美春をイジメ、最後は翔子と酒飲み合戦になり・・・

「・・・・・・!!」

 ここまで思い出して、由美は急に顔が自分でもわかるくらいに真っ赤になった。いくら酔っ払っていたと言っても、自分は2人に自らの圭太に抱く想いを告白してしまったのだ。急に恥ずかしくなり、由美はその場で頭から湯気を上げながらぶっ倒れた。そして、翔子と変な言い争いになり、自分が美春に恥ずかしいコトをしてしまったのも思い出し、さらに湯気が立ち上る。

「ど・・・どーしよー・・・」

 もしあの出来事を2人が覚えていたら・・・

『由美ちゃん、昨日は凄い告白してたよねぇ〜』

『私も驚きました。圭太さんに報告しなくちゃいけませんよね?』

 2人がそんなコトを言い合っている所を想像して、由美は立ち上がり玄関に向かった。もし美春があのコトを覚えていたら、後頭部下に手刀を入れて記憶を無くしてもらわなくてはならない。

 靴を履いてドアノブを捻り外に出ると、そこにはしゃがみながらキャブレターを治している旭と圭太、そこから少し離れた所で美春が土下座していると言う奇妙な光景が広がっている。

「あ、おはよう」

「ど、どうしたの・・・?」

 圭太の困った顔を見ながら由美も困惑した。だってそうだろう。玄関から外に出たらいきなり美春が土下座して泣いてて、旭はキャブレターを治しながらぶつぶつ小言を言ってるし。

「昨日みんなにお酒を勧めたコトを旭さんが怒ってるんだよ。もうずっとこんな状態だよ・・・」

 圭太が呆れながら言う。

「ゆーちゃーん・・・」

「ゆーちゃん?」

 美春が泣きながら由美のコトを呼ぶ。呼び名が少しおかしいが、由美はなんとか突っこまないで返した。

「私・・・昨日なんかしたぁ・・・?全然覚えてないよぉ・・・」

 えぐえぐ泣きながら美春が言う。その言葉に由美は安堵した。

「な、なんにもしてないわよ・・・!?私達、最後みんな潰れちゃったし・・・!」

「由美ちゃん、なに焦ってんよ・・・?」

 旭の鋭い返しに、由美は動揺するが、圭太が止めに入った。

「旭さん、もう許して上げましょうよ。もう美春さんも反省してるし」

「そーだな、さすがに許してやるかぁ」

 意外とあっさり許した旭に由美と圭太は驚いた。美春は「本当!?」と言いながら顔を上げた。

「まぁ今回は許してやるよ。そんかわし、またみんなに酒なんか飲ましたらダメだかんな?わかった・・・」

「あっくんだいすきぃ!!!」

 旭が全部言い終わる前に、美春は旭に飛び付いた。相変わらず旭が大好きなんだな、と2人は思った。

「いや、オメ、どけし・・・」

 旭が恥ずかしがりながら言い、3分後、やっと解放された。

「けーちゃんもゆーちゃんもありがとうね!」

「なんですかそのあだ名・・・」

 圭太が呆れながら言うと、美春は胸を張って答えた。

「何って、圭太君だからけーちゃん!由美ちゃんだからゆーちゃん!翔子ちゃんは、しょーちゃんだと男の子みたいだから、小さい『よ』を取ってしーちゃん!あっくんは旭だからあっくん!!」

 自信満々に言う美春を3人はしばらく見ていたが、やがて旭と圭太は作業に戻り、由美も圭太の横にしゃがみ作業を見るコトにした。

「そーいや、風呂入りたかったら入ってこいよ。奥の通路を歩いてけば風呂場があんべ?このボロアパートぁ共同風呂でよぉ?」

 旭の言葉に、由美が「いいんですか?」と聞く。

「バスタオルは、オレの部屋に新しいヤツを美春が沢山持ってきやがったから、そこから持ってけばいいよ」

「ありがとうございます!」

「じゃあゆーちゃん、一緒に入ろ?」

 美春が由美に言うと、由美は昨日の夜のコトを思い出して真っ赤になった。

「い、私は遠慮するわ・・・!美春ちゃん先入ってよ!!」

「どーしたのゆーちゃん?顔真っ赤ぁ」

「昨日布団かぶんないで寝てたかんなぁ、熱でもあんじゃねーか?」

 美春と旭が心配そうに言うが、由美は「大丈夫です!」と言って2人を納得させた。

「じゃあ、お言葉に甘えて私が先で、その後でゆーちゃんが入って、最後はけーちゃんかしーちゃんね」

 美春が1人でまとめた。部屋に戻ってタオルと歯ブラシとを持って出てきた。

「脱衣場に洗面所もあるから、そこで髪の毛乾かしたり歯磨き出来るから。あ、ドライヤーは私の使って?歯ブラシは予備のヤツ5本もあるから、後でみんなにあげるね!」

 美春が早口に言って風呂場に走っていった。

「じゃああと少しだし、気合い入れて治してやんべーか」

「引き続き手伝います」

「じゃあ私も!」

 3人は、今は夢の中にいる翔子のサンゴーフォアに付けるヨンフォア用キャブレターに向かって作業を開始した。

 キャブレターはそんなに手間は掛からなかった。こちらは最低限の加工ですんだ。羽黒が大事にしまっていた為、キャブレター内も正常で問題はなかった。後は装着したキャブレターのセッティング出しだけだ。

「多分、スクリューの番手やジェットなんかはこのまんまでイケると思うんだが・・・」

「スクリューとジェットってなんですか?」

 旭の独り言に、圭太が質問した。

「スクリューとジェットってのは、簡単に言えば空気とガソリンを供給すんための穴だ。ちなみにジェットは2種類あって、スロージェットとメインジェットってのがある」

「メインとスロー・・・?」

 今度は由美が聞いた。確かにまだまだ素人の由美には難しい話かもしれない。旭は、「あー・・・」と言いながらわかりやすい説明を考える。

「エンジン掛けてアイドリングしてん時から低回転時に使うヤツがスロージェットで、メインジェットはそこから上の回転で使うんだよ」

「難しい・・・」

 由美は素直に言った。頭の中で旭の言ったコトを反芻するが、全く理解出来ていないに等しい。

「それはともかくとして、とりあえずセッティング出しするべ」

 旭の言葉になんとなく理解はした圭太とちんぷんかんぷんな由美の2人はとりあえずここから先は手伝えるコトも無いので見守ることにした。

 旭は鍵を捻ってコックをONにする。ガソリンが漏れてこないコトを確認して、キックをした。

 カシャン!

 カシャン!

 カシャン!

 カシャン!・・・・・・バラバラバラバラ!!

「おぉ、掛かった掛かった」

 旭がエンジンを掛けて、数回吹かす。シングルカムのフォア特有の音が辺りに響く。

「掛かったぁ!!」

「うん」

「アイドリングが高い・・・」

 3人の反応はバラバラだが、とりあえず組み付けは成功した。

「スクリュー絞るか」

 タコメーターを見ると、アイドリング時の回転数は約2300と高めだ。旭はキャブレターのネジを絞めると、アイドリングの回転数が落ちていき、最終的に1500回転前後に落ち着いた。

「ガソリン漏れ無し、部品組み付け忘れ無し、ネジ緩み、締めすぎ無し、完調だな」

 これで、翔子のサンゴーフォアの修理が終了した。

 後は本人が目覚めるのを待つだけだ。


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