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2.ビギニング

「君たちに覚醒したエレメントの結果を通知し、それぞれにランクを進呈したがもう皆確認済みだろうか。今から話すことは君たちの今後の学園生活に大いに関わってくる。心して聞いてくれ。」


エレメント覚醒の儀から1日、5月4日の放課後、担任がなにやら重要そうな面持ちで話を始めた。

窓際の席の俺は、耳を傾けながらもぼーっと遠くの空を眺めていた。


「これまで説明してこなかったが、実は君たちのランクは変動しうる。というのも早速、来月に能力活用試験が行われるからだ。」


能力活用試験?なんなんだそれは。周りを見渡しても誰一人としてぴんと来ていない様子だという風に見受けられた。しかしそんな俺たちを置き去りに担任は話を続ける。


「本来なら最初に言っておかなければならなかったのだが、この学園でのランクシステムはただ競争心をあおるためだけのものではない。これは君たちの未来を意味づけるものだ。というのも卒業時のランクによって君たちは社会での必要性を判断される。未来の選択肢を広げるには一つでも上のランクを目指さなければならない。」


ーー全く担任の言っていることが飲み込めなかった。ランクが将来を左右するだと?それではまるで商品の品定めをして出荷しているのと変わらないのではないかと思えた。俺たちはブランドではない。しかしこのクロム学園は帝国が直接運営する機構である。嫌でもそのルールに従うしかないのか?いやそんなことを「はいそうですか」で受け入れろという方が難しいだろう。


「もとよりこの学園はそのようなシステムで、帝国の発展のため優秀な人材を輩出することを計画されている。しかし、すぐに帝国の発展に直接貢献しうる人材とはどんな者だ?君たちも薄々気づいていたのではなかろうか。そう、文字通り”強い”者だ。」


やはりか。以前の予想通り、帝国がエレメント能力の強さを欲していることは近年の情勢から見て明らか。しかし面と向かってその事実を伝えられるといい気分はしない。

確かに俺は何者にもなれない自分を変えたくてこの学園への入学を決意したが、それが文字通りの強いヤツになることとは自分でもちょっと馬鹿らしく思える部分もある。だが、そんなことは言っていられない。すなわちこの学園での自らの価値を示すには、やはりエレメントの強さを知らしめるしかないということだ。


「話を戻すが、来月に行われる能力活用試験は君たちの持つエレメントを使い対敵対人物を想定した模擬戦闘を行ってもらう。もちろん全員参加だ。詳細は追って連絡する。成績次第でランクが上がることが見込めるから日々の鍛錬を怠らないように。」


そう言って担任は解散を宣言した。

何とも飲み込みがたい話だったが、改めて内容を反芻したのちに頭の中を覆った思いは一つ。

ーー俺の学園生活はまだ終わってはいない。

逆転のチャンスはある。最弱の闇のエレメントであっても、もし好成績を残すことができればランクが上がり未来の可能性は広がる。俺が何者になれるかはまだ分からない。しかし目の前の好機をそう易々と逃すものか。やってみるしかない。

俺はこれから最弱の闇のエレメントで下剋上を目指す。

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