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Eternity エタニティ ー永遠の魔法ー  作者: 本堂本子
一章 エーデルクライン公爵家
9/26

7 公女の生活

私の一日は、朝起きて、リーザに着替えさせてもらって、髪の毛を手入れしてもらうことから始まる。

最初は、着替えを含め、入浴の手伝いや、髪の毛を結ってもらうことなど、他人に身の回りの世話をされることにものすごい抵抗を覚えた。

サーラやケメトには、『自分のことは自分でやれ』と言われ、育てられてきたからだ。

しかし、リーザに、


「貴女はもう、魔女の里で暮らしていた頃の平民ではありません。今は、大国グランツベルグの筆頭公爵家の公女なのです」


とピシャリと言われ、有無を言わせず服を剥かれ、風呂に入れられてからは、抵抗を諦め、大人しくされるがままになっている。


そして、着替えた後、広い自分の部屋で朝食を取る。一人で、黙々とそれを食べると、次は、勉強に入る。

国の歴史、地理を始め、公女としての立ち振る舞い、ダンスなどの教育を専門の家庭教師に教わる。


そして午後からは、ハデスの要請により、魔術書の訳や、魔法の訓練を行う。

魔法の訓練では、周りを十人ぐらいのエーデルクライン家屈指の魔法使いや魔女たちに囲まれて訓練をする。

間違っても逃走したり、魔法を暴走させたりさせないためだ。

常にピリピリした空気で、緊張感がえげつないこの訓練が私には好きではなかった。

しかも、自由に魔法を使わせてもらえない。

爆裂殺技(マラ・ラヴィアータ)の精密度を高めてみたかったのに…………


魔術書の訳は、ハデスでも読み解けない、古代語を利用しているらしく、唯一、古代語を読み書きできる私が、エーデルクライン家に代々伝わる魔術書の解読をしている。

里では誰もができていたことなので、驚いたが、魔術書を読むことでかなり勉強になり、やって良かったと思う。

魔法の訓練や、魔術書の解読が終わると、剣術の訓練が時々あるが、ない時は、基本部屋に軟禁されてしまうため、筋トレや邸宅内図書館で本を借りてきて、読んだりしている。


また、現在、魔法は、基本魔法から学び始めている。


古代魔法は、現在の魔法と比べても、はるかに威力のある強大な魔法。

そこらの金貨や宝石とは比べようのない価値がある。

皆、喉から手が出るほど手に入れたいと思うほどの代物だ。

魔法に精通したハデスも、古代魔法を手に入れるために「魔女の里」を血眼になって探したという。

だからこそ、古代魔法は古代の遺産ともいわれている。


私という古代魔法を受け継ぐ者を手に入れたハデスだが、問題もあった。

それは、古代語という爆裂殺技(マラ・ラヴィアータ)を含め、古代魔法の詠唱に使われている言葉。

私のような「魔女の里」の者からすると、普通に唱えることができるが、ハデスなどの里以外の者が聞くと、耳慣れない発音に唱えられても、魔法を発動させることはできないらしい。


つい先日、それを検証していたハデスが、爆裂殺技(マラ・ラヴィアータ)を発動させることができずに、苛立たしげに立ち去ったことからもこのことがわかる。

私は、少し爆裂殺技(マラ・ラヴィアータ)を初歩的な魔法だとバカにしていたハデスが、発動できなかったことに、心がスカッとした。


私が最近習っているのは、初級魔法の水球(ウォーターボール)火球(ファイヤーボール)

詠唱は古代語ではないが、私にはフツーに発動させることができた。

攻撃力は、非常に弱い初級魔法だが、水属性、火属性の基本となる魔法だ。

連続発動ができるように練習していたそのとき。


「まだ、そのレベルなのか。エーデルクラインの公女が情けない」


私をあの男(ハデス)そっくりの赤色の瞳で睨みつけ、私の周りにいた魔法使いたちを押し除けながらやって来たのは、この家の一人息子、公爵家嫡男のスチュワートだった。


これが私達義兄妹(きょうだい)の初めての会話?であった。


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