表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/50

粛々と進むイレーヌたちのマーキュリー化

4月8日。イレーヌたちは全身脱毛を施された。異世界の技術は目覚ましく、陰毛を完全に除去すればあそこは幼女のそれと変わらない。2人はあそこをパイパンにされたことで強い恥じらいを覚えた。全身脱毛の狙いは表向きは魔法戦士に絶望感を抱かせないためだが、実はマーキュリーの恥じらいをより強くさせることにあった。費用はヒナドリ公国が全額負担した。マーキュリー化はイレーヌたちを型にはめるのではなく、あくまでもひとりひとりの個性や魅力を最大限に引き出すことに重きが置かれた。日本語の講義ではイントネーションや発音、発声に重きが置かれた。不思議とマーキュリーには声が綺麗な女性が多数を占め、2人も例外ではない。日本語の講義では成績はあまり重視されず、あくまでも会話する力が問われた。更には聞く力。キャッチボールの基本が問われた。いかに少ない語彙力で魔法戦士と楽しく会話できるか。単純に語彙力ではなく、相手を楽しませる力が問われた。ふだんの生活では美意識の強さが極めて重要な要素。三十路ともなればついつい手を抜いたりしがちだが、マーキュリーは自慢の金色に輝く胸のつぼみに化粧筆で化粧するのをルーティンにしなければならなかった。[見えない箇所]にこそ美意識は宿るもの。イレーヌたちはリセたちから魔法戦士に見せるくらいの気持ちで自分たちのからだに化粧するよう助言された。でも化粧はうっすらと。ケバケバしくしてはダメ。マーキュリーは売春や夜の女に成り下がるのではない。2人はリセたちとラインで会話するたびに自分たちはまだまだ若いと感じられる機会が増えた。更には家庭菜園を始めた。イレーヌたちは同じマンションの違う階に住んでいる。ベランダのスペースを有効に活用し、家庭菜園に取り組むことで張り合いが生まれた。マーキュリープロジェクトではマーキュリーにヨガのエクササイズをあえて課さない。これはイレーヌたちが実戦で転ぶことで魔法戦士に安心感を抱かせる狙いがあった。これは従来のミルカ制度の対極を目指すものだ。マーキュリーはジーパンなど色香のない服装を禁じられ、ふだんからミニスカートを履くように指導された。しかも今は春だから大気が不安定になりやすい。しかも薄い下着を身にまとうことが求められた。そのためイレーヌたちはまるで10代半ばの女の子みたいにされていった。マーキュリーはミルカとは全然違う。確かに仏蘭西人形みたいな美少女や絶世の美女は皆無。その代わり磨けば光る原石がゴロゴロしていた。イレーヌたちは具体的に魔法戦士とどうなりたいのかを常に考えるようになっていった。実際にはどうなるかわからないが、マーキュリーが半信半疑ならば魔法戦士と理想的な関係は築けない。イレーヌたちはどちらがリードするにせよ[つつましい生活]を望んだ。できれば肩肘張らない関係がいい。私たちはミルカではないし、すでに三十路。でもまだ女を諦めたくはない。漬物石みたいな重たい存在にはなりなくなかったし、リードするにせよリードされるにせよ気持ちよい関係でありたいものだ。マーキュリーは勝ちに固執せず、負けるときはすんなり負ける。そうありたいものだ。あとになってあれこれ蒸し返されたくはない。だからこそ勝ちにはそれなりにこだわるけれど、あまりガツガツしたくない。三十路にもなればさすがに実の娘と張り合うのはしんどい年齢になりつつある。だからといって女を諦めるには時期尚早。幸いにもイレーヌたちは脱落しなかった。三十路の女からすればかなりの環境の変化に見舞われたはず。良くも悪くもイレーヌたちは魔法戦士に憧れる年齢ではなくなっていた。憧れると勝てなくなるのは勝負の世界の常識だが、マーキュリーは違った。魔法戦士をリスペクトしながらも今さら憧れたりはしない。イレーヌたちからすれば魔法戦士は将来の相手であり、もはや身内同然なのだ。マーキュリーは魔法戦士以外の女の子との交際を禁じられた。これはシードマンやミルカと全く同じ。なのでイレーヌたちは常に魔法戦士を意識しながら生活していた。マーキュリーが魔法戦士と同居するのは早くて対戦から数ヶ月後。遅くて2年後。最近は両者の実力が拮抗し、魔法戦士の[通い妻]にされたミルカもいる。でもそれは決して恥ずかしいことではなく、むしろ名誉なことだ。イレーヌたちは喫煙もギャンブルも禁止。お酒は嗜む程度。酒癖が悪ければマーキュリーにはなれなかった。イレーヌたちのマーキュリー化は粛々と進められていった。良くも悪くも三十路の女は地に足がついているから浮かれたりしない。半年後や1年後など誰にもわからないのだ。マーキュリーは月収30万円。ボーナスが1年分支給されるから年収が720万円。長くは務められないが悪くはない。イレーヌたちは貧しかったので大満足。あとは魔法戦士とどれだけ健全な関係を築けるかだ。2人は確かな手応えを感じた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ