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祝、解放。
とりあえず、エルサニア・ニルシェ両国から、
アホなことしないなら、今のところは冒険者として自由に過ごしても良い、
というお墨付きをいただきました。
まあ、我ながら人畜無害・影響力皆無なザコ召喚者ですし、
国家間のアレコレに関わらないなら自己責任な冒険者稼業でもしてろ、
ってことでしょうかね。
「それで、これからどうしますっ」
えーと、監視員からどうやって逃げ出そうかを思案中……
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例の召喚者保護政策の関係上、
どんな召喚者でもザコのままノラでうろうろされるのは困るってことのようで、
しばらくの間、ノルシェさんが監視員として同行してくれることになりました。
あの素敵な獣人変装魔導具を常時装着してくれておりますので、
俺的にはリルシェさん、ですね。
何だか、嬉しいような、モニョるような……
「つまり、私が同行するのは嬉しいけれど、ひとり旅出来なくなったのが残念ってことですねっ」
あー、まさにそんな感じです。
ってか、お歳頃乙女が怪しげ野郎とふたり旅するなんて、
倫理的にどうかと思いますよ。
「ふたり旅での安全性も、乙女としての安全性も、私の実力であれば全く問題無かろうとのお墨付きを関係各方面からいただいておりますっ」
どんな方面なんですか……
えーと、同行監視員として抜擢されたってことは、
ノルシェさんは魔族領内のアレコレにとても詳しくて、
こちらでの生活に関しては全く問題無しってことですよね。
「このニルシェ王国には何度か訪れたことがありますが長期滞在するのは初めてですね」
「魔族領内は私たち人族にとって馴染みの薄い国ばかりっ」
「未知の世界を巡る世直しぶらり旅、すっごく楽しみですっ」
未知ですか……
って、ちょっと待った。
ぶらり旅はともかく、世直し旅って何です?
「モノカから、いつも通りのぶらり旅を楽しんできてね、と応援されてきました」
「つまり、普段通りの世直しぶらり旅ってことなのですっ」
俺、ぶらりはともかく、世直しの方は向いてないと思いますよ。
「旅の合間に毎日たっぷり、手取り足取り鍛錬三昧ですよっ」
「これからもよろしくお願いしますっ、ウェイトさんっ」
よろしくされたくないですよぅ……




