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01


 時系列としてはリヴァイス99以降。


 新章、逃亡者ウェイトのお話しです。


 お楽しみいただければ幸いです。




 コンビニからの帰り道、気が付いたら見知らぬ草原に突っ立っていた。


 一瞬、戸惑ったが、


 色の無い夢の中から天然色の現実世界に引き戻されたような、


 妙な解放感を感じたのを覚えている。




 ---




 あちらの世界ではいろいろあってドロップアウトな隠遁生活をしていた俺は、


 突然このリヴァイスという異世界に飛ばされてきた。



 着の身着のままで来てしまった平凡男の俺が問題無く暮らせているのは、


 向こうの世界からの客人"召喚者"が、一目置かれている存在だったから。



 役立つ知識や特別な能力を持っている召喚者は、


 この世界で昔から重宝がられてきたようで、


 召喚者っぽい迷い子が困っているのを見かけたらまずは保護すべし、


 というのが古くからの習わし、らしい。



 草原沿いの道をあてもなくうろうろしていた俺は、


 街道警備の衛兵さんたちに保護され近くの町まで連れてこられて、


 いかにも魔法使いっぽい雰囲気の老人の『鑑定』魔法で、


 間違いなく召喚者であるというお墨付きをいただき、


 この世界で暮らす上での諸々を学ぶこととなる。




 ---




 ここリヴァイスは、いわゆる剣と魔法のファンタジーな異世界。


 フル装備な騎士様たちが全力勝負で切磋琢磨したり、


 やんちゃな冒険者たちが怖い魔物と闘ったりするのが日常茶飯事。



 そういう真っ当なファンタジー感にケンカ売っちゃうような存在が、


 あちらの世界から呼び出された召喚者。


 古来より、授かった特異な能力や尖った知識で大活躍、


 っていうか、良くも悪くも大暴れ。



 まあ召喚者だからといって全員がチートでイケてるわけでは無く、


 こちらの世界に来ると授かる能力"固有スキル"は玉石混合、


 つまりはピンキリ。



 召喚者本人にとっては宝くじみたいなもので、


 召喚する側としてはガチャみたいなもの、なのかな。



 それでも、この世界のお偉いさん方にとっては大変に魅力的な存在らしくて、


 最近、主要各国で全面禁止とされるまでは、


 国を挙げての召喚儀式が続けられてきたそうです。



 俺の場合は、その手の召喚儀式で無理矢理お呼ばれされたのではなく、


 何となくこちらの世界に迷い込んでしまうという、いわば自然現象。


 こういうのは"天災召喚"と呼ばれているそうですね。


 


 こっちの世界に来た召喚者のお楽しみ"固有スキル"ですが、


 残念ながら俺が授かったのはチート方面の派手なモノでは無かったわけで。



 召喚者のもうひとつの武器"お役立ちな知識"の方ですが、


 あっちの世界でのんべんだらりとした暮らしを続けていた俺には、


 こっちの世界で役立つような凄い知識は全く無かったわけで。




 結局、この世界での一般常識程度の教育を終えた後は、


 それなりの額のお金と日用雑貨を支給されて独り立ちすることとなる。



 どっかのお城からスカウトされるとか、


 イケてる冒険者チームから声掛けされるとか、


 その手の主人公ムーブなルートに進むことは無かったわけですが、


 幸いなことに、こんな俺でも食っていける仕事もあるのです。




 こうして俺、乙来 植絲 (オツライ ウェイト)は、


 このリヴァイスという異世界で、


 冒険者ウェイトとして生きていくことになった。



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