第7話 破壊活動
「分からない存在が、そんなにこわいのかな。」
ケイリス団本部の休憩室の席でキュエルは独り言を呟く。
前回のG班との合同任務から数日、X班は大きな任務は起きておらず軽作業や訓練を行っていた。
その間、キュエルは考え事をしていた。何故知らない事がこわいのか、何故命まで奪わなければならないのか、と。彼はその理由が自力で導けないでいた。
「どうした、キュエル。最近集中できていないようだが。」
キュエルが座る席の向かい側にセンジロウやってくる。彼は飲み物をキュエルの目の前に起き、席に座る。
「…はい実は僕、分からないんです。前にG班がやった事、言われた事が。本当にアクジキイノシシの命まで奪う必要があったのか、分からないものがそんなにこわいのか。考えても考えても分からないんです。」
「ふむ、確かに他者の考えを完全に理解する事はできないだろう。だが…」
センジロウが何か言おうとするも、任務のサイレン音が鳴り遮られる。
『ストロー都三番街にて不審者出現。X班は現場に急行せよ。』
「呼ばれたな。話は任務の後だ!」
センジロウとキュエルはX班と合流しトレーラーに乗り込み、現場へと向かった。
移動中…
「現場では不審者が大砲を連射しているらしい。既に周辺の建物は破壊され、怪我人も多数出ている。
皆は盾を装備し住民達の避難、保護を最優先にするんだ。」
「「「「了解!」」」」
「キュエルはコネクトシステムを持ってくれ。」
「了解しました!」
X班を乗せたトレーラーが現場にたどり着く。その時点で辺りに人は見当たらず、辺りは一部の建物を除いて廃墟も同然になっていた。
X班のメンバーは辺りを注意しながら先に進むと、奥から爆発音が聞こえた。急いでそこに駆け付けると大砲を肩に担いだ怪人がそこにいた。その怪人は大砲の引き金を引き、目の前の建物を破壊した。
「あの人が報告にあった不審者か。大人しくしろ!」
X班のメンバーは大盾を前方に、光線銃を構える。
「あ?ああ、その制服は、ケイリス団か。あんな皇帝が作った組織、うわああああッ!!」
「!」
「!総員、盾を構えっ!」
怪人は大砲をX班に向け、引き金を引く。センジロウが守りに集中する指示をするが、キュエルはコネクトシステムを起動させながら前線へ駆ける。
「待てキュエル!」
「装着っ!」
紫の鎧は素早くキュエルの身に装着され、キュエルはオールコネクトとなる。腕をクロスさせ防御耐性を取り、砲弾を迎え撃つ。大きな爆発と爆発音と共に煙に隠れる。
「どうだッ!」
煙が晴れると受けた衝撃で僅かに後方に下がったぐらいで、装甲は無傷のオールコネクトが腕を十字にしたまま立っていた。
「何!?」
「やああああ!」
オールコネクトは怪人に向かって走る。
怪人も大砲を構えるが、再度撃つには時間がかかるのかすぐには撃てないようだ。
その隙を活かしてオールコネクトは拳を握って振りかぶり、持っていた大砲を殴り飛ばした。
「むっ!?」
怪人の手から離れ、地面に転がった大砲をオールコネクトは踏み付けて破壊した。
「どうです、これでもう武器はありません。降参して下さい。」
オールコネクト、キュエルは怪人に降伏するよう促す。怪人の前方にはオールコネクト、後方には盾を構えたX班がいる。
怪人は息が上がってるが、降伏するつもりはなかった。
「フーッ、いくらいい奴ぶっても、フーッ、あの皇帝が作った組織は信用できねぇな!」
「なっ!?」
怪人は右手に力を込めると一瞬白く発光し、先程壊した物と全く同じ大砲を出現させた。そしてそのまま銃口をX班に向ける。
「まずい!」
「総員!盾を構えろっ!」
「フーッ、くらいやがれッ!」
怪人は汗を流しながらもX班に向けて大砲を撃った。X班のメンバーは衝撃に備えて盾を構えている。
オールコネクトはそのX班の元へ走りながらマッハコネクトへ変わる。そのまま自身が肉壁として正面から受けた。
「なっ!?キュエル!!」
マッハコネクトは大きく吹っ飛ばされ、X班が構えていた盾に強く叩き付けられる。
マッハコネクトの装甲は頑丈ではあるが、高速で移動するために軽く防御力には優れていない。装甲は無傷だが中のキュエルへのダメージは大きい。
「フーッ、フーッ、これで、フーッ、終わりだッ!」
怪人の息切れは激しいが大砲をX班に向ける。
だが、すぐに大砲を下に降ろした。
(体力がもう危ういか、仕方ない。)
怪人の姿が人間の姿に変容する。
「今回は、フーッ、このぐらいに、フーッ、しといてやる、フーッ。」
その人間は汗を流しながらその場を去って行った。
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