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装着戦士コネクト  作者: 最部郎
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第1話 試作起動

 舞台は地球から遠く離れた惑星スサノ、その星にある大陸の1つ、サバイヴ大陸という場所となる。

 その大陸はかつて何もなく気性の荒い動物がはびこる荒野だったが、ある者が大陸全体の皇帝となってから、高度な科学技術を得る事になる。

 まだ発展途上だが、着実に大陸全体を都市化させてきている。


 そしてその中でも特に発達した都市部の街、セイキョー。そこにはサバイヴ大陸全体の治安維持のために、活動する団体が結成されていた。

 その名はケイリス団。皇帝が自ら建てた団体で、民の税金が維持費となっている。


 ケイリス団は今日も任務が発生している。


『国境断崖にて落石発生。

 巻き込まれた者がいる模様。

 K班は速やかに救助へ急行せよ!

 繰り返す。』


 任務発生のサイレン音と共に指示の放送が、ケイリス団の本部に鳴り響く。


 ケイリス団所属のK班は国境断崖という地点へ、一気に大人数が乗れる大型車で急行して行った。


「最近多いな、倒木やら落石やら。」

「ああ、身体強化の魔法が使えない人は苦労してるだろうな。」


 この惑星ではいわゆる魔法が使えるのだ。


 今はまだ仕事がない団員が施設内の廊下で話していると、また任務発生のサイレン音が鳴る。


『マグざんにて噴火発生。

 M班は周辺地域の住民の避難へ急行せよ!

 繰り返す。』

「あっと、俺行かないといけねえわ。」

「そうか、気を付けてな。」


 さっきまで話していた団員はすぐに気を切り替え、任務地へ向かって行った。


「本当に自然災害が多い。

 なんか段々増えてる気すらする。」


 残った団員が独り言を言っていると、1人の者が声を掛ける。


「センジロウさん。」

「団長!話とは一体?」

「私の部屋に来なさい。話があります。」

「了解致しました。」


 独り言をしていた団員のセンジロウはケイリス団の団長に呼ばれ、団長の部屋に入室する。


「話とは?」

「センジロウさん。あなたにこれを渡します。」


 団長はセンジロウにアタッシュケースを1つ渡す。


「これは一体?」

「シユハが製作した、いつでも一瞬で鎧を装着できる装備の試作品らしい。

 団員の実績を確認し、あなたに渡すのが最適と判断しました。

 中に説明書もあるので、次の任務で使う機会が使ってみて欲しい。」

「私に、新装備を...、了解しました!」


 センジロウは敬礼した後、アタッシュケースを持って退室する。

 センジロウはこれまで、ケイリス団の団員として救助活動や危険生物の駆逐等、一際多くこなしてきたのだ。


(俺が期待されているのか、成果を出さねば!)

「あ、センジロウさん!おはようございます!」

「ああ、おはよう、キュエル。

 いつでも任務へ向かえる準備はできてるか?」

「もちろんです!救急箱をいつでも持ち歩いています!」

「いや、普段はそんなに装備しなくて良いだろう。」


 キュエルはセンジロウが率いるX班の一員で、救護係だ。


「ところでそのケースは何でしょうか?」

「これか?これは一瞬で鎧を装着できる新装備の試作らしい。

 俺の今までの功績から使うよう渡されてな。」

「そうだったんですか!凄いです、センジロウさん!」


 センジロウとキュエルが話していると放送が鳴る。


『ハガネ洞窟 内部にて未確認生命体の目撃情報が多数あり。

 X班は至急、調査へ急行せよ!

 繰り返す。』

「あ、仕事だな。」


 センジロウとキュエルは移動用の大型車が停めてある駐車場へ向かう。

 2人が着いた頃には既にX班は全員合流していた。


 大型車にX班全員が乗り、ハガネ洞窟へ発進した。



 現場へ向かう道中、センジロウは車内で新装備の説明書を読んでいた。


(この機器を腰に付けると帯が飛び出し、使用者に固定される。そして機器の右側にある穴に、同梱しているカードを挿す事で鎧を身に纏える、と。

 鎧を装着するまでの間の隙が大きそうだな。


 この鎧を装着すると、身体能力も上がる、か。

 ぶっつけ本番で使用するのが不安だ、使う機会が無ければいいんだが。)

「え、リーダー、それは新装備ですか!?」

「真っ白な機械ですね。」

「ああ、まだ試作品らしい。

 それよりも、もうすぐ現場に着くはずだ。

 皆、気を引き締めろよ!」

「「「「「はい!」」」」」


 大型車は現場のハガネ洞窟前に駐車する。

 車両からX班の6人が出てきて、辺りを警戒しながら洞窟内部へ進んだ。


 洞窟内部は当然暗く、たまに水滴が地に溢れる音が聞こえる。

 何者の気配もしない。


 X班は懐中電灯で照らしながら警戒して歩んでいる。


「何もいませんね。イタズラの報告だったのでしょうか。」

「…妙だな。ここには本来コウモリが生息しているはず。なのに、生き物の気配がなさ過ぎる...!?」


 センジロウはとっさに後退する。

 その直後、センジロウがいた地点に勢いよく矢が突き刺さり、地が音を立ててえぐれる。


「敵襲だ!相手は飛び道具を持っているっ!」


 X班は瞬時に戦闘態勢に入る。

 後衛は岩陰に隠れる。


 しかし、それから飛んで来たモノは矢ではなかった。


「…中々、次の攻撃が来ませんね。」

「何か、空気がさっきと違う、ような…?」

「ん、言われてみれば、空気の香りが僅かに…違うような…」

「うぐっ!?」


 X班の人達が次々と倒れ始める。

 懐中電灯が辺りに転がる。

 暗くて分かり辛いが、辺りはガスに包まれていた。

 それもただのガスではなかった。


「しまった、毒ガスか!?」

「惜しいですね、命に別状があるものではないですよ。」


 強い眠気に襲われながらもセンジロウはどうにか意識を保ち、膝を着いて目の前を凝視する。

 洞窟の奥から何者かが歩いてくる。


「適正がある者はいなかったみたいですね。

 ま、無くても数週間苦しむぐらいで済みますから、心配しなくてもいいですよ。」

「お前、何者なんだ...!?」

「へえ、適正がないのにまだ意識があるんですか。

 いいでしょう、僕はマサヨシ。

 ローエンジェルの四天王ですよ。」


 マサヨシと名乗った者は人型だが、人の姿が離れた外見をしていてボウガンを持っている。

 声質は若々しく軽い。


「答えろ...!お前は、我々の敵か!?」

「今の皇帝の方針を維持し続けるなら、敵ですね。」


 マサヨシはボウガンをセンジロウに向ける。

 マサヨシは持っていたアタッシュケースを開き、新装備を使おうとする。


「ぐっ!動け…!俺の身体!!」


 しかし膝を着いて立つ事すら出来ず倒れてしまい、機器とカードを落としてしまう。


「何をしようとしたかは分かりませんが、ここまで動けたのは見事ですね。

 僕らの敵である事は確定みたいなので、死なない程度に弱らせますか。」


 マサヨシが今にもボウガンの引き金を引くその瞬間、


「やめろーーー!!!!」

「え?」


 奥から1人誰かが突進する。

 突然の事でマサヨシは守りが遅れ、突進をモロに受けて体勢を崩す。


 その人物はキュエルだった。

 キュエルはセンジロウに自身の手をかざし、光を当てる。


「…回復魔法が一切効果がない...。

 僕では治せないのかな。」

(あいつ、この場にいたか?…いや、そうか。

 岩陰に隠れていた1人で、岩陰にいるまま今やってるみたいに倒れてる奴等を介抱して周ってたのか。

 目の前の奴ばかりに気を取られて気付けなかったか。

 というかそもそも、あいつ適正がある!?)


 体勢を立て直したマサヨシはキュエルに語りかける。


「あなた、僕等の所に来ませんか?

 この場で無事という事は僕等と同じ素質を持っているという事ですよ。」

「和解というなら乗りますが、それは皆さんを裏切れって事ですよね。

 それに今と同じ事を他の方々にもしている、そうでしょう?」

「ええ、そうですよ。

 僕等がやろうとする事はいわば革命、革命に多少の犠牲は付き物です。」

「ならば断ります。

 僕は、誰も犠牲にならない道を選びたい!」

「そうですか。じゃあ、手荒ですが無理やり連れて行きますか。」


 マサヨシはキュエルにボウガンの引き金を引く。

 キュエルは咄嗟に避ける。


(狙いにくい手足を狙ったとはいえ、矢を見てから避けた?)

「…うぐっ…、キュエルッ!新装備を!腰に巻いて!カードを挿せッ!!」


 センジロウが最後の力を振り絞り、キュエルに伝える。

 新装備を使うように、と。


「っ、分かりました!」


 キュエルは飛んでくる矢の弾幕を避けながら、落ちた懐中電灯に照らされた機器とカードを手に持ち、岩陰に隠れる。


(えっと、腰に巻いて?)

「そんな岩陰に隠れたつもりですか!?」


 一際強く放たれた矢が岩陰を砕き、砂煙を巻き上げる。


「ゲホッ、ん、固定されてる?

 これからカードか。」


 幸いな事に砂煙がキュエルの姿を隠し、マサヨシの追撃はこなかった。

 キュエルは腰に巻いた機器側面にカードを挿す。


 すると、機器から白い鎧が飛び出し周りに浮き、キュエル自身も黒いスーツに覆われる。

 スーツが完全に着用されると、浮いていた鎧が勢いよくキュエルに飛んでくる。

 足、スネ、前腕、肩、胸部と背中、そして頭全体に白い鎧が装着される。


 砂煙が収まり現れたのは、白い鎧を装着した戦士の姿だった。

ご覧頂きありがとうございました。


作者の趣味で書かれていますが、興味を頂ければまた見てくれると幸いです。

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