冒険者登録
街に入り、おすすめの宿屋をクリフに紹介され、まずは宿をとることにしよう。
「いらっしゃいませ、こんにちは!本日は食事でしょうか?それとも宿泊でしょうか?」
10歳くらいの女の子がそう挨拶してきた。
「こんにちは。泊まりたいのだけど部屋は空いているかな?あと、こっちの動物も一緒に泊まりたいんだけど大丈夫かな?」
「宿泊ですね。あいにく、部屋は大部屋か、二人部屋しか空いていないのですが、どうしますか?テイムしているのであれば動物も一緒で大丈夫です。」
「悠里、大部屋と二人部屋しかないけど、どうする?」
「私は二人部屋が良いわ~。この世界に来て知らない人と一緒に寝るのはちょっと無理ね。京さんなら一緒でも問題ないでしょ?」
「じゃあ二人部屋をお願いしたい。食事とかもあれば取りたいんだけどどうかな?」
「二人部屋ですね。了解しました。食事も大丈夫ですよ。うちは夕方と朝しかお出ししておりませんが大丈夫でしょうか。」
「じゃあ夕食と朝食もお願いするよ。泊まりはとりあえず7日間でお願いするよ。」
「かしこまりました。それでは二人部屋2名使用で1人1日大銅貨2枚、7日ですので大銅貨14枚になります。食事は1食銅貨5枚になります。食事は食べる際に都度お支払い下さい。」
銀貨2枚を支払い大銅貨6枚のおつりを貰う。ついでに冒険者ギルドの場所もきいてみるとするか。
「俺たちはこれから冒険者に登録しに行きたいんだけど、冒険者ギルドってどこにあるか教えてもらえるかな?」
「はい。冒険者ギルドは宿の前の道を真っ直ぐ行った先にある3階建ての大きな建物になります。入口に大きな剣と盾の木彫りがある場所になります。」
「ありがとう、じゃあこのまま行ってみるよ。」
「お気をつけて。」
悠里とハクと一緒に冒険者ギルドに向う事にする。
道を進むと先のほうに一際大きな建物が見えてきた。入口には大きな剣と盾が飾ってある。これだな。
開けっ放しの扉をくぐると、中は酒場のようになっていて、その先にカウンターが並んでいた。壁を見ると紙がたくさん貼られている所がある。俺は酒場の中央の広い通路を歩いてカウンターに向っていく。
「おうおっさん!見ない顔だな。」
テーブルで飲んでいたモヒカンでトゲトゲのついた肩当をつけた世紀末風な男が俺に声をかけてきた。これはあれか、冒険者ギルドのお約束の因縁付けか。
「さっきこの街に着いたところだ。俺に何か用か?」
「新参者か、ここが初めてなら冒険者に登録に来たんだろ?」
「そうだ。」
おっさんが綺麗な女連れて歩いてたらいちゃもんを付けたいのだろう。なめられたらダメだから突っかかってきたら一発かますか。
「おっさんこれから登録か。それなら右端のカウンターが受付カウンターだ。用紙はカウンターの手前にあるぞ。記入は名前と使う武器を記入くらいで大丈夫だぞ。文字を掛けないなら、俺が代わりに書いてやるからいつでも言ってくれな。あのカウンターの受付嬢はつんつんしたしゃべりをするが、人見知りが激しいだけだから気にしない事だな。」
ただの優しい奴なだけだった。しかも丁寧な説明をしてくれるし、代筆まで買って出る。どんだけ見た目とのギャップがあるのか・・・
「ありがとう、右端だな。」
「良いって事よ。冒険者は危険な職業だ、無理しないで大変なら周りに助けてもらうんだぞ。」
用紙を記入して俺たちは右端のカウンターに向った。
「当ギルドでの登録ですか?」
「ああ、二人で登録したい。これが用紙だ。」
「かしこまりました。それではこのボードに手を当ててください。」
手を当てる?これは何か俺の情報を抜き取るのか?この世界は個人情報の保護はあるのか心配だ。
「このボードであなたの情報を読み出し、ギルドカードに登録させます。この情報はあなた個人しか閲覧できませんし、こちらには情報は残りません。また、この読み込みに際してはこの端末だけでの読み取りになりますので、どこにもデータは漏洩されませんのでご安心ください。」
まさかの個人情報保護がすごい!しかも思っていた事をそのまま説明されている。この受付嬢は俺の頭の中を覗いているのではないか?
そうして俺たちは冒険者に登録をした。