はじめての戦闘
交代で眠りながら見張りを行い、朝になった。
朝食は面倒なので、アイテムボックスに有った携帯食料と水で済ませた。テントなどはどうせまた使うので組んだ状態でアイテムボックスにいれ、街に向うとするか。
「みんな準備は良いか?まだ街までは半日近くありそうだから魔物も出るかもしれない。注意しながら進むことにしよう。」
「了解よ~。急いで行っても疲れるからのんびり行きながら警戒しましょう。」
「はいでち!あたちは索敵も出来るから、敵が出たら教えるでち!」
ハクが索敵が出来るならそこまで気を付けなくても良さそうだな。大木の下に忘れ物がないか確認して街に向って歩き始める。
30分ほど歩くとハクが何かに気が付いたようだ。
「待つでち!この先に何かいるでち!」
20mほど先を見るとガサゴソと何かが動く気配がある。立ち止まって警戒すると、それはぴょんと道に出てきた。
「あいつはホーンラビットでち!あんなだけど肉食でち。真っ直ぐ突っ込んできてあのツノで刺してくるち!」
ツノは長さ20㎝くらいだが、鋭角で良く刺さりそうだ。危険なので離れた状態で攻撃したほうが良いかもしれないな。
「悠里、いい機会だから、魔法を使って攻撃してみたらどうだ?」
「そうね、遠距離から攻撃したほうが危なくないわね。毛皮が焦げるとかわいそうだから、火ではなく土とかのほうが良いかも知れないわね。鑑定で魔法の種類もわかっているかわこれで行くわ。ストーンバレット!」
悠里の前に魔法陣が発生して、そこから小石が数個現れ、すごい速さでホーンラビットに向っていく。そのままホーンラビットのお腹に命中し、貫通した。
「やったぁ~、倒したわよ♪」
「お疲れ様悠里、結構威力があるな。あんなもの食らったら大けがしそうだな。」
「そうね、威力とかは加減できそうだけど、とりあえずはあのくらいあればある程度の敵が出ても大丈夫そうね。」
倒したホーンラビットをアイテムボックスにいれ先に進むことにした。
少しするとまたハクが警戒しだした。
「またこの先に何かいるでち!たくさんいるみたいでち!」
「たくさんいるか、じゃあ今度は俺がやってみるから、悠里は待っていてくれな。」
「了解よ。でも危なかったら私も攻撃するから、気を付けてね。」
出てきた敵は緑色した子供のような魔物が3匹だ。子供の様だが、顔は醜悪で口が裂けており、牙を出して威嚇してきている。手にはこん棒やナイフを持ち、魔物同士で意思疎通をしているようだ。
「ギョギョ、ギャハーーー」 「グギギギギ、ギャハハ!」 「ギャッギャ!」
「あれはゴブリンでち!そんなに強くないけど、連携してくるから気を付けるでち!」
うるさい声でこちらを威嚇しているようだ。俺は身体強化を行いショートソードを抜き、右はじで余裕そうにしている奴を狙い上から袈裟懸けで切りつける。そのままショートソードを返し真ん中のゴブリンの足を狙い切り付け、左はじのやつの首めがけて切り込んだ。
最初に攻撃されたゴブリンはそのままあおむけに倒れこみ、真ん中は足を切られ動けなくなっている。左はじに居たゴブリンは頭が体と離れ、そのまま倒れていく。
脚を切られ倒れたゴブリンにショートソードを突き刺し、戦闘は終わった。生き物を殺すので禁忌感がありそうな物だが、なぜが余り感じない。これは転移の影響なのか。まあ殺される危険があるところなので、躊躇しなくなったのは良かった。
「ゴブリンは右耳が討伐証明になるでち!なので、ナイフとかで切って冒険者ギルドに持っていくとお金に替えられるち!ちなみにホーンラビットはツノでち!」
やはり異世界だな。小説のように冒険者ギルドがあり討伐で褒賞が貰えるようだ。俺たちの今の力でも問題ない程度は戦えるようだな。
ハクはこの世界のいろいろなことを知っているようだ。ナビゲーターとしても優秀だな。
街に向う中、魔物が数回襲ってきたがとりあえずは問題はなかった。最後の魔物を倒したときに頭の中で鈴がなっていた。
リリーン
「おっ、なんか鈴の音が聞こえたな。なんだこれ。」
「あっ、私もなんか鳴っているわ~。」
「それはレベルアップの音でち!二人は敵を倒してレベルが上がったみたいでちね!」
レベルアップか。ステータスに何か反映されているのか確認してみるか。
「ステータス、オープン」
ステータスボードを開き、レベルを確認するとレベルが2に上がっていた。
「このレベルが上がると自分も強くなるのか?」
「そうでち!レベルが上がることで力や、素早さなんかが上がるでち!どんどん強くなるから強い敵も倒せるようになるでち!」
レベルが上がって強くなればより安全になって、住める場所候補がどんどん増やせそうだな。生活するにもお金がないと対価交換も出来ないから、稼ぐ為にはレベルをどんどん上げたほうが良さそうだな。