スキルの確認
「京さん、どう?スキルわかったかしら?」
「そうだな、とりあえずはある程度は理解したよ。アイテムボックスを見てみたら食料とか水、装備品と通貨が入っていたな。これで寝るところがあれば何とかなりそうだな。」
「私のほうにも同じ物が入っているわね。まずはここがどこなのかと近くに人が住んでいるところがあるかなど調べる必要がありそうね。」
「俺のほうに地理認識ってスキルがあるぞ。・・・何々、頭の中にここら辺の地図が出てきて、自分がどこに居るかわかるな。ここから少し南に行くと道があるみたいだ、その先に街のような場所があるな。問題はこの地図の縮尺がわからないから、どのくらい進めば着くかがわからない所かな。」
「地図があるなら便利ね。少し歩いてみてどのくらい進んだかで、着く時間もわかるかもしれないわね。」
「そうだな、じゃあ道に出るまで話しながら進むか。行く前にアイテムボックスの装備を身に着けておいたほうが良さそうだな。魔物が居る世界って言ってたからな。」
「そうね、じゃあアイテムボックスから出しましょうか。」
俺たちはアイテムボックスから装備品を出してそれぞれ装備した。悠里は今着ている服の上からローブを羽織り、杖を持っている。俺は皮の軽鎧を出してみたが、これってどうやってつければいいんだ!?脇に留め具が着いているから留め具を取り外して首を通して留め具を付けてみた。ブーツに履き替え腰にショートソードを履いて完了だ。
こうして見ると、お互い異世界に来たって感じがしてきており、お互いの恰好を見合って笑い合った。
道には30分ほどでたどり着いた。この進み具合だと、街までは半日くらいで着きそうだ。
「今歩いた感じだと半日くらい歩けば街に着きそうだな。どうする?このまま進んでみるか?」
「う~ん、考えたんだけど、太陽の位置見る感じだともう少ししたら夜になりそうなのよね。そうすると歩くの危ないから、この先に見える大きな木のあたりで休んで、明日の朝にでも向かったらどうかしら?」
「そうだな、夜歩くのも知らない所だと危険だからな。じゃああそこまで歩きますか。」
まずは木に向って歩いていく。その間にステータスボードを出し、対価交換スキルを確認してみた。
スキルを押したようなイメージをすると別の画面が立ち上がった。この画面は俺がよく見ていた通販大手ネットショップと同じ画面だな。カテゴリ分けされているのでまずは泊まる為の準備をしようと思う。対価が無いと使えないとの事だったので、元のステータスボードのアイテムボックスを出して見て、その中の一番高そうな金貨を1枚ドラッグして、対価交換の画面に持っていく。
[ポイントに変換しますか?]
表示が出たのでOKを押すと、ポイントが増えた。10,000ポイントだ。1金貨=10,000ポイントか。他の硬貨も入れてみるか。
金貨と同じように銀貨、銅貨もそれぞれ入れてみるとポイントは10,100ポイント、10,101ポイントとなったな。1金貨=100銀貨=10,000銅貨で1銅貨=1ポイントのレートのようだな。
大木の下に到着した。
「悠里ついたな、今歩きながら対価交換スキルを使ってみていたんだが、買えるものは大手ネット通販の商品とかが買えそうだな。アイテムボックスの硬貨を入金してポイントに変換してみたところ1銅貨=1ポイント=100円位で考えると良さそうだな。売っているおにぎりが1ポイントになっているからレートはそのくらいかと思うぞ。」
「対価交換って便利ね~。じゃあ休むために色々と買わないといけないわね。寝場所と食事が出来るような物を探してみてもらえないかしら。私のほうも創造魔法で何が出来るかを調べながら歩いていたわ。これが有ったら便利かな?って思う魔法とかも作れるみたいよ。」
「創造魔法はアイデアが具現出来るから便利だな、ネットで買えない物も作ったりできそうだな。じゃあまずは寝床を準備するとするか。」
対価交換スキルでアウトドアグッズを探してみる。まずはテントだな。あまり狭いのも嫌だから3~4人用で良いかな。おっ、安いな55ポイントか、これで良いか。後は寝やすいようにコット(組み立て式簡易ベッド)を二つか。一つ40ポイントで買えるな。寝袋はそんなに寒くないし、魔物に急に襲われると出にくいから毛布にするか。厚手のフリース毛布が20ポイントであるな。次に食事できるようにチェア、テーブル、コンロ、鍋と飯盒、食器だな。暗くなるといけないからLEDランタンも買うか、後は焚き火台もあると良いな。食事はどうするか、面倒だからレトルトカレーで良いか。飯盒で米炊いて、レトルトカレーかければいいか、あとは適当に缶詰とかを買えばいいな。食事以外は200ポイントで賄えるな。テント類も合わせても400ポイント以下で収まるな。
「夕飯はカレーで良いかな?」
「いいわね、私もいろいろあって疲れているから簡単な物で良いかと思っていたわ。」
「じゃあまずはテントを組んで、それから食事の準備をしちまうか。」
テントを出し組み立てていく、そのあとはコットの組立をして、テーブル、チェアを組立していく。悠里には近くで薪になる枝を拾ってもらう。
焚き火台に枝を重ね、火をつけるのに悠里は生活魔法の着火で着けている。魔法ってすごいな。俺のほうはカセットコンロでお湯を沸かし、レトルトカレーを温める。飯盒は焚き火の上にセットし米を炊いていく。
缶詰を出して、新たに対価交換スキルでビールを買い足し
「悠里、ほらっ。」
「ありがと~、ちょうど飲みたいと思っていたのよ~♪」
「キャンプにはビールが合うからな。後はコメが炊けるまでは缶詰でも食べようか。」
「いいわね~、このチープな感じでも好きよ。異世界でどうなることやらと思っていたけど、私たちのスキルがあればどこでも暮らせそうよね。」
「そうだな、こんな便利な力があれば、地球でもこの先でも生きていけるな。」
そういえば、この先の事を考えていなかったな。悠里はどうしたいとかあるかな?俺はまあ、縁が有って悠里と会えたし、地球人として同郷は俺たち以外に居ないだろうから、この先も一緒に居たほうが良いのかと思っている。俺みたいなおっさんだと嫌かもしれないけどな。悠里はアラサーとか言っていたけど20代半ばで通用する容姿をしているし、大きな瞳通った鼻筋、育ったお胸と、かなりな美人さんだからな。一度悠里の意思を確認しておいたほうが良いな。
「悠里、これからの事を考えているんだけど、この先どうする?俺は縁有ってこの異世界に転移したから自由にのんびりとスローライフでもしてみようかと思うんだけどな。」
「あらっ、京さんはのんびりスローライフしたいのね。ん~、私はあまり考えていなかったけど、この世界って地球よりも文明は遅れてるのよね。京さんと離れたら二度と地球の物が手に入らないし、折角新しい人生を始めるのだから、二人で楽しまない?私は京さんはタイプだし、私の創造魔法と京さんの対価交換スキルならどこでもやっていけると思うわ。」
「そうか、俺も悠里は美人で話しやすいと思っていたし、俺たちのスキルがあればどこでも暮らせるから、今後一緒に永住の場所でも探してみようか。」
「これからよろしくね、京さん。」
「悠里、こっちこそよろしくな。何かしたいことが出来たり、別の旅をしたくなったら言ってくれよ。」
まあ実際旅をしていれば出会いも別れもあるから、現状は一緒に居ましょうって事だろうな。俺のようなおっさんと一緒に長くいても楽しい事はないから、悠里が別にやりたいことが出来たり、永住出来る環境が違ったらそこで別れればいいとは思っている。