私の好みは年上好き (2)
Side:山下悠里
(・・・さい・・・ ・・なさい・・・ おきなさい・・・)
遠くから誰かが私を呼んでいる、あぁもううるさいな!あと5分だけでも寝かせてよ~。
うっすらと目を開けると隣にはあの男の人がいる。もしかして私、知らないうちに寝ちゃったのかしら!?まだ会ってちょっとしか経ってないのに、いつの間にかゴールインしちゃうのかしら!?確かに初めて見た時に私好みの見た目年齢で、がっしりとしてて、若い男にはない渋さがあってステキとかも思っちゃってたけど、いきなりベッドインはないでしょ~。いやぁ!恥ずかしいわぁ~、じっと見られていたのは知っていたけど、そんなにがっついているって思われちゃってたのかしら!?
「・・・う~ん、 ・・・ここは?」
(お二人とも大丈夫そうですね)
キョロキョロ
どこから声が聞こえるのかしら?私とこの人だけだと思っていたのに・・・
「大丈夫です。・・・って私誰と話しているんだろ?あなたはだれですか?どこに居るんですか?私からは見えませんが、・・・もしかして幽霊!?」
(私はあなたたちの心に直接語り掛けています。私はあなた達とは別の世界の管理をしている者です。あなた達から見ると別の世界の神のような者です。あなたたちは私の精神世界に転移させております)
「精神世界!?ここは日本ではないのでしょうか?起きる前に猛スピードの車に轢かれそうだったけど、もしかして死んだのでしょうか?」
(いいえ、あなた達は死んではおりません。私の使役獣を身を挺してかばって頂けたので、良き魂を持つものの命が果てるのが惜しいと思い、この場所に転移させました)
転移ですって!!!私はあれしちゃったのね~。異世界転移!これから違う世界に行って貴族のお姫様になって悪役令嬢とかにいじめられて、ざまぁな展開しちゃったりしちゃうのかしら!?
「あの動物は大丈夫だったのでしょうか?」
「はっ、そうよね?さっきまで私が抱っこしていた白いモフモフちゃんはどこに行ったの?」
頭の中でお花畑みたいな事ばかり考えてたけど、忘れていたわっ!モフモフちゃんを抱っこしていたのよね。
(使役獣は、今は別の場所にいます。後ほど会うと思いますので心配しないでいいですよ)
無事なら良かったわぁ。
「あの~、すみません、なぜ転移でこんな別の世界まで移動させたのでしょうか?移動が出来るなら車の当たらない程度の距離の移動でも良かったのではないでしょうか。あと、もう安全でしたら元の場所まで戻していただけると助かるのですが」
そうよね、転移なんてさせなくてもちょっと車のほうをどかせば良かったんじゃないかしら?私が聞きたい事聞いてくれてよかったわぁ。やっぱり見た目がタイプだと、気配りもできるのねぇ。
(すみません、私の転移ではあなたの世界間での移動は出来ないのです。あなたの世界からこの精神世界への転移と、この精神世界から私の管理する世界への転移のみでしか出来ないのです。なのであなた達がこの世界から元の世界へは戻れないのです。すみません・・・)
「えっ、て事は俺たちは日本へは戻ることが出来ないのでしょうか?」
「!そうなの!?そうしたら私のトラック、道路におきっぱになっちゃうの?駐禁切られちゃうじゃない!あ~、また切符代払わないといけないの~?」
この前駐禁で切符きられて払ったばっかりなのにまた払わないといけないのはいやよねぇ・・・
「いや、そもそももう戻れないから反則切符の支払いも出来ないよ・・・」
それもそっか。もう払わなくていいのならまああまり考えないでいいわね。
(なので、申し訳ありませんが、あなた達お二人は私の世界へと転移して頂かないといけなくなりました。我が使役獣を助けるために元の世界から決別させてしまった事を申し訳なく思いますし、別の世界への移住は大変かと思います。なので、私からはあなた達が問題なく暮らすことが出来るように力を授けたいと思います)
私の考えていた異世界転生で伯爵令嬢になるとかじゃなくて異世界転移!?それだとざまぁとかは無いのかしら?そのかわりスキルを貰えるなら楽しい事できそうだわね。
「あの、俺がこれから行く先って、どのような世界なのでしょうか?危険などはないのでしょうか。また頂ける力とかって何か制限はあるのでしょうか。今のこの状態で移住しても問題はないのでしょうか?行ったとたんに死んでしまうような事は無いのでしょうか。」
そうよね、私うっかりしていたわぁ。日本と同じ所に行くわけじゃないから、死んでしまうかもしれないわね。何かしらの力が無いと生きていけないような所じゃ楽しむのも無理よねぇ。
(これから行く世界は、魔法が発達している世界になります。大気などは地球と同じですが、地球にはない魔法素、魔素と呼ばれるものがあります。魔素がある為、動物から魔物になった生物がおります。魔法が発達してしまった為、地球のように化学などが発展せず、あなた達が想像する中世ヨーロッパのような情勢です。言語などももちろん別の世界になりますのであなた達の言語とは別になりますので、それに関しては言語がわかる力を授けます。魔法に関しても基本的なところは使えるようなスキルを与えたいと思います。それ以外に、欲しいスキルがあれば遠慮なくおっしゃってください。出来る限りの事は致しますので、新しい世界を楽しめるように致しますので)
魔法がある中世世界。ファンタジーって事よね?剣とか使ったことないけど、私でも使えるのかしら?無理っぽそうよね。剣よりも私は魔法を使えたほうが良いわね。そういえば魔法でこっちに転移とかさせたんだから、転移の魔法が有れば日本に戻る事も出来るのかしら?
「ちょっと質問なんですが、もらえるスキルで、元の世界に戻る事が出来る力なんかを貰う事は出来ないのかしら?」
(申し訳ありません、転移のスキルはお渡しできるのですが、それはあくまでも同じ世界での転移のみとなりますので、異界への転移は出来ないのです)
「そっかぁ~、残念ですけどしょうがないですわね。ちなみに私たちをこの精神世界?へ転移しなかった場合って、どうなっていたのかしら?ケガくらいで済んだのでしたら無理に転移しなくても良かったんじゃないかな~なんて思うんだけど・・・」
(あなた達を転移しなかった場合ですが・・・転移しなかった場合、ブレーキを掛けないまま走ってきた車にそのまま轢かれ、あなた達二人と使役獣ともに即死しておりました。近い未来の予知でそのような結果と決まっておりましたのでこちらの判断で転移させて頂きました。地球での死亡=輪廻の輪へ戻る事になりますので記憶もすべて消されて別の体に生まれ変わることになっておりました)
「そ、そうだっだのね・・・じゃあ今回こっちに送ってもらえなければ人生終わっていたのね。そう考えるとこのまま新しい世界で生活できるって、結構ラッキーなのね。じゃあ残りの人生は楽しまなくちゃね!」
転移しなかったらひき肉になってたのね・・・転移してくれて良かったわぁ。それなら次の人生、楽しみましょうか。できればこの人と一緒に過ごせるとうれしいわぁ。二人きりで別の世界に行くんだから、この絆、逃さないわよ~。
「あの~、すみません、もらえるスキルで、地球で売っているような商品を取り寄せできるスキルってありますか?あと、定住しないと荷物が増えちゃいそうなので何か持ち運びが出来る物があるとうれしいんですけど。危険な場所に行くって思いますので、何か身を守る力とかも欲しいですね。」
(物を取り寄せるには何かしらの対価が必要なので、対価交換のスキルを授けましょう。これはこれから行く世界には無いスキルですので、気を付けて使ってくださいね。また持ち運びが出来るスキルでしたらアイテムボックスが良いですね。別の世界へ行きますので、お二人には身を守る事が出来る力も授けます)
「ありがとうございます。これなら今までと同じようにできます。」
物を取り寄せるスキルねぇ~。それなら今までと同じようなものも食べれそうだわね。じゃあ私のほうはそれとは別で魔法でなんでもできるようになれば彼の力になれて、傍に居られるかしらね。君が必要なんだ!離れないでくれ!!って、言われちゃったりして~~~♪
「私のほうは、物でも魔法でもなんでも作れるような力が欲しいわ。作ったものを持ち運びできるアイテムボックス?も欲しいわね。あとは作ったものなんかに力を与える事が出来るとかあると助かるわ~。」
(それでしたら、なんでも作れるかはわかりませんが、創造魔法なら、ある程度の物も作れるし、魔法の生成も可能です。こちらも次の世界には無いスキルになりますので十分注意してくださいね。あとは付与魔法、アイテムボックスを授けます。他に何か必要な物はないでしょうか)
「できれば、転移した先で使えるお金や数日分で構いませんので水や食料が欲しいです。後は魔物に遭っても戦えるくらいの武器と防具が欲しいですね。俺の対価交換の力って、何を対価にすればいいでしょうか。できれば対価になるような物も少し欲しいですね。あとは転移したとこがどこなのかわかるような地図とかも欲しいですね、そうでないと転移の後にどこに向えばいいかわからないのも怖いんで・・・」
そうね、そっちの事も忘れていたわね。差し当たっての食事や装備なんかもないと転移してすぐデッドエンドみたいになっても嫌よね。それに私のほうは創造魔法って言っていたけど、同じように対価が必要とかだとすぐに作れなくて使えない魔法になるのも嫌よね!?
「私のもらう創造魔法って、対価は必要ないのかしら?何かしら対価が必要なら最初に使える分くらいの何かが欲しいわぁ」
(わかりました。向こうの通貨と水、食料などをアイテムボックスにいれておきます。対価交換のスキルは各世界で流通しているお金や物を基準に考えそれぞれをポイントに変換して交換する力になります。なので最初は通貨を使用するのが良いでしょう。地図に関しては地理認識のスキルを授けます。これで自分のいる場所が頭の中にわかるようになります。創造魔法に関しては必要なのは魔力になりますので、あなたの魔力数値を高く致します。他に気になることはないでしょうか)
うれしいわぁ。これなら最初から有利だわね。
「転移される場所って、どんな感じなんですかね?森とか草原とか、魔物がたくさんいる場所とかじゃあないですよね?着いてすぐに自分の力がわからないまま戦闘とかってないですよね?」
(転移先は町にほど近い人の居ない所へ転移してもらう予定です。あまり近くには強い魔物が居ない所には致しますが、弱い魔物などは居るかもしれませんので、戦闘の練習も兼ねてみてください)
「それなら良かった。では後は大丈夫そうですので、色々とありがとうございました。第2の人生と思って頑張って生きてみようと思います。」
(それではこれから転移させてもらいますので、楽しんでみてくださいね。そうそう、魔物の体内にある魔石や、皮などに価値があるものもありますのでそれを町で換金することで生活が出来ると思います。それとは別にダンジョンなどもあり、宝箱やドロップアイテムなどもありますので色々と試してみてください。では頑張ってください)
これから私は彼と二人きり・・・絶対に落として見せるわ!アラサーの根性見せてやる!