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あたたかな公園  作者: 如何敬称略
少女は見えていない
8/14

雨の音

ここ数日のうちに一気に春は姿かたちを消し、制服も最近は半袖の人が増えてきた。

今日は5月24日の日曜日。ここずっと、休日に雨が降ることがなかったのだが、今日は小雨だった。弱い雨が降ったりやんだりを繰り返し、いつもに比べ仄暗い窓の外。


僕は少し迷ったが、天気予報では午後から曇りらしかったので、いつもどおり公園に行くことにした。


僕の部屋には大きな本棚がある。6割の学習に関する本が上方に、残りのスペースに漫画が置かれている。


その本棚の前で、今日持っていく漫画を選んでいると、部屋をノックする音がした。僕が返事をすると、扉が開かれた。


「今日は一緒にご飯でも食べに行かない?」


そう僕に問うのは、父であった。明るそうな声の裏には底知れない疲労を感じた。


「疲れてるんだったらゆっくり休んだほうがいいよ」


これから公園に行こうとしているのもあったから、返事は消極的なものとなってしまうのは仕方なかった。聞いた父も、それ以上誘おうとすることもなく、すんなり引いた。


準備を終え、折りたたみ傘を持って外に出ると、ちょうど止んでいた。また振り始める前に公園に着きたかったから少し急ぎ足でコンビニに向かってメロンパンと麦茶を買い、公園に行った。


なんとか雨が降る前に公園のテーブルに着けた。が、いつも僕が座っている場所の真上の屋根に小さな穴が開いていた。そこを避けるように横にずれた。時計は10時を回っていた。雨が降っているせいもあって、子供の声はなかった。一人静かに漫画を読み始める。暫くしてささやかな雨音がし始めた。


一冊を読み終えたタイミングで時計を見る。時刻は13時を回っていた。メロンパンをかじりながら、小さな水たまりを見て、僅かながら雨が降ってるなと。


二冊目を読み始める。やわらかな雨の音は程よく、僕の意識を漫画に強く向かわせた。


二冊目を読み終える。雨が止んで、一瞬だけ日が射していた。ずっと同じ体勢で疲れたので一旦立ち上がり、公園を軽く一周する。あちこちに水たまりができていた。水たまりになっていないところは射した日光で宝石でも散られているかのようにきらきらしていた。


3冊目を読むためにテーブルに戻ろうとしたとき、公園の入り口の方から足音が近づいてきた。


きらきら光る中、現れたのは、芦高さんだった。力の入りすぎていない、ラフないつもどおりの服装だったが、一層きれいで眩しかった。時刻は16時前だった。


その後は、いつもどおりおすすめの漫画を教えてもらって、いつもどおり二人で漫画を読んだ。


17時には芦高さんは帰ってしまった。


僕は少し遅れながら、公園を後にした。



一週間が経ち、再び日曜日となった。


考えるのは、芦高さんが今日は何時くらいに来るのかということ。先週は雨が降っていたから遅れただけ、そう思って今日も公園に向かった。



帰りながら、今週はどんな漫画を読もうか悩んだ。

雨の後、雲の間から見える青空に、地面を反射する光。そして鼻腔をくすぐる雨の匂い。

関係ないですが私が好きな情景の一つです。

皆さんはどんな情景が好きですか。

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