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あたたかな公園  作者: 如何敬称略
少女は見えていない
6/14

戻ってきた休日

名前を相手に聞くときはまず自分から名乗る。


人生においてそれなりに大事なことを学んだ昭和の日。また少し平日を挟んで4連休。僕は、朝から公園に行き、ゴツゴツしたテーブルで徐々に課題を精算していき、何とか5月6日振替休日、4連休最終日に終えることができたのだった。その間、少女は既に課題が終わっていたのか、ずっと漫画を読んでいた。


そんなこんなで課題の無い休日が帰ってきた。とは言っても、漫画を読むくらいしかすることもないのだが。


状況的に選択肢は一つしか頭に無かった。僕は、漫画を三冊ほどかばんにつっこみ、朝9時に公園へ出かけた。


途中でコンビニに寄り、麦茶とチョコドーナツを2つ買った。ちなみに、GW中だけでポイントが結構溜まった。


今日も太陽がドヤ顔で地上を見下ろしていてじわじわとした暑さがあった。公園に行くとそれ以上に「あつい」子どもたちが居て、当然暑かったが、平日に陰で冷えた僕の心を温めてもくれた。


テーブルへ行くと、やはりまだ芦高さんは来ていないようだった。それでも僕は、定位置化してきた、少女が座るであろう位置とは反対側に腰を据えた。麦茶を一口飲み、漫画を読み始めた。


公園で課題をやると、確かに捗ったのだが、漫画はそうでも無いみたいで結局一冊読み終わる頃には子供が昼食に帰り始めていた。帰る子供と入れ替わるかのように芦高さんは来た。GW中、課題をやっていたときもこのくらいの時間帯に来ていた。僕が先に初めて来たときは、まあ、とても驚いていた。


芦高さんの着飾った姿は初めてあった日以来見ていない。あれ以来、いつも公園に散歩で来るような軽装が多い。だがとても似合っていた。


「こんにちは。まさか朝から公園で漫画を読む高校生がいるなんて。和山礼さんは暇人ですか」

「会っていきなりそんな言葉が出るなんて、芦高五月さんは酷いなぁ」


暇人なのは否定しないんですねと言われたが、腹が立つわけでもなく、ただただ事実だった。それにしてもフルネーム…、根に持たれているのだろうか。


「一応、漫画を読むので忙しいんだけどね」


僕は一冊に三時間ほどかかってしまう。確かに読んでいる時間は長いがたくさんは読めていない。忙しい、忙しいと僕は言った。


「そうですか…。今日はおすすめの漫画持ってきたんですけど…」

「是非とも見せてください!」


静かな公園に響いてしまって少し恥ずかしかった。思わず食い気味になってしまった。まだ昼食は食べてないけど。


これまで何回か漫画の話をしたが、勧められる漫画はすべておもしろくて、ことごとくはまった。おすすめの漫画というワードに僕は期待値がカンストしてしまっていたようだった。


一瞬驚き、目を丸くされたが、芦高さんもそのつもりのようだった。


子どもたちにあたためられた心が更に熱くなるような気がした。


こうして僕の休日は始まっていった。

やっぱり難しいですが、書いているうちに作られていく感覚は面白いですね。

もちろん、全体の話の流れはある程度考えてあるのですが、そこから自分も予想していなかった展開になるのは驚きました。

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